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ホームスクール こどもの時の読み聞かせ

※画像は3歳の時、スペインのマラガにて


息子がまだ幼かった頃、寝かしつけるのに本を読み聞かせてた時の話。


5歳の頃、「プチ哲学シリーズ」

このプチ哲学シリーズには、「デカルト氏の悪霊」をはじめ、「カント教授の多忙な一日」「アインシュタインのひらめき」などがありますが、息子のお気に入りは、「崇高なるソクラテスの死」という本です。

「ギリシャ人って、「ス」ばっかりだね。ソクラテスとか、メレトスとか、アリストファネスとか。」と、息子は言います。おかげで、日常で「ス」が最後につく言葉、「ピタゴラス」とか「フセンヌス」とかが出てくると、妻と3人で大笑い。

「走れメロス」も大好きなのだが、メロス、セリヌンティウスも「ス?」「ス?」と聞いてくるのが、またかわいい。

走れメロスは、息子と二人で海岸沿いのサイクリングロードを走る時、夕日が沈みかけた時の、定番の話。あまりに話に聞き入ってしまって、前方を全く見なくなってしまう時は、ヒヤヒヤもんです。

6歳の頃、「ソフィーの世界」

西洋哲学史の流れをつかむにはちょうど良い本ですが、小説としての話も長々とあるので、小説部分は飛ばしながら読んでいきました。

息子にはまだ読んでませんが、講談社選著メチエに「現代思想としてのギリシャ哲学(古東哲明 著)」という本があり、私が今まで読んだ本の中で10指に入るお気に入りの本なのですが、ソフィーの世界は、この本をいつか読んで聞かせるための布石です。

私自身が哲学という学問を知ったのは大学生の時で、高校時代には「倫理」の授業は1時間すら無かったですし、親も哲学とは無縁の人でしたので、大学生になるまで哲学を知る機会が全くなかったのです。

もちろん、自分自身で街の本屋に行き、全く知らない「哲学」のジャンルの本を手に取って買っていれば良かったのですが、もっと早いタイミング、それこそ中学生になったぐらいの年頃で知っていればと、そこには悔いが残るのです。

それの投影になってしまうのかもしれませんが、息子には若い時分から哲学を身近に感じてもらい、「自分で考える」ということに早く気づいて欲しいと思っています。

ホームスクールを行っている家庭ならわかっていただけるかと思いますが、こどもが自主的に何かをすることをひたすら見守ってあげるのか、それとも親が機会を与えてこどもの方向性を広げて行くのか、双方が理想的なのでしょうけど、私は後者を選びたいと思います。

哲学だけでなく、音楽や旅や、色んな機会をそっと息子に与えて、それに影響を受けるのか、全く影響を受けないのか、それは息子に任せたいと思いますが、幸い妻が息子のやりたい事を見守るタイプですので、夫婦が互いに逆のタイプであるのは、いいことだろうなと思っています。

7歳の頃、「吾輩は猫である」

息子が移動中の車の中で10秒で書いた漱石の絵

この本が面白くて二人でゲラゲラ笑って、寝かしつけるどころか目が醒めてしまって逆効果になっています。

「吾輩(猫)」の飼い主である「クシャミ先生」の友人が曲者だらけで、息子はホラふきの「迷亭」や、男前で学生の「寒月」など、ほとんどの登場人物がお気に入りで、クシャミの娘の「とん子、すん子、めん子」などは名前が出るだけで笑ってしまうのです。

1つ1つの話が落語の様に面白く、迷亭が後輩の「東風」と明治時代ではまだ珍しい洋食屋に行って「トチメンボーを食べさせろ」と言う話や、クシャミの家に泥棒が入って山芋を御大層に盗んでいく話、夫婦喧嘩でクシャミが妻に向かって「この、オタンチン・パレオロガスが!」と悪口を言う話を聞くたび、息子は「トチメンボ~~~」「オタンチン・パレオロガス~~~」と悶絶し笑いだします。

笑いだけでなく、吾輩の想い人(猫)である三毛猫のミケ子が死んでしまう話など、悲しい話もあり、息子はこの小説のラストシーン、吾輩が溺れ死んでしまう結末を、どんな想いで聞くのだろうか、不謹慎ながら楽しみでもありました。

この小説は明治時代の言葉遣いや単語など、7歳ではかなり難しい内容ではあるので、私が読むときに瞬間瞬間翻訳し、単語も置き換えたりしてるので、まるで2ヶ国語を同時通訳しているようで、頭の体操として、とても良いのです。読み終えると結構ぐったりしてしまいます。

ちなみにオタンチン・パレオロガスは、東ローマ帝国皇帝コンスタンチン・パレオロガスと、江戸時代の「まぬけ」を意味するオタンチンという言葉をかけた、洒落だそうです。

その後に読んだのは、夏目漱石の「こころ」。

話がクライマックスまでくると、物語に出てくる「先生」が、すでに死んでしまっていることが悲しいらしく、その「先生の遺書」を読んでいても、「先生って死んでるんだよね?」と何度も聞いてきます。

主人公の「私」については、ちっとも名前が出てこないので、「私って誰?」と、聞いてくるのですが、先生も名前はないし、どう答えたらいいか難しい。でもね、名前なんて重要ではないんだよ。

しかし「こころ」は、30代の時に改めて読んで、今こそが一番、私の心に響いてきます。とりわけ、何者でもない先生、が何者でもないことが、まるで自分のことのように思えてきます。

7歳の頃、「シェイクスピアって、おもしろい!」


この本は、こどもでもシェイクスピアを読めるように分かりやすく書き直されていて、しかもこども達のかわいい挿し絵付き。更には英文とその単語の訳までついているので、英語の勉強にもなります。

息子が最近、詩に興味を持ちはじめたので、妻がこの本を見つけてきました。

私が18歳、大学に入学したての頃、校内の本屋には街の大型書店ばりに本がたくさん並んでいて、そこで何気なく手に取ったのが、マクベスでした。

衝撃的でした。

こんなに面白い本があるのかと、身震いしたのを覚えています。

「良いことは悪いこと。悪いことは良いこと。」

「やってしまって、それで事が済むのなら、早くやってしまった方がよい。」

「女から産まれ落ちたものに、マクベスは殺せない。」

美しい言葉に感動を覚え、すぐにシェイクスピアの他の著作、オセロー、夏の夜の夢、十二夜、ハムレット、リア王などを貪り読んだものでした。オセローに出てくる悪役イアーゴウなんて、もう本当に最高ですよね。

その本を息子に読み聞かせようと何回か試してはみたのですが、シェイクスピアは劇作文ですので、自分自身で読む分には良くても、相手に読んで聞かせるにはかなり難しい本です。

そんな時にこの「シェイクスピアって、おもしろい!」シリーズを見つけ、しかも小説形式で読めるではありませんか。

息子はマクベスがかなり気に入ったようですので、次に本物のマクベスの演劇の動画を、黒澤明の映画「蜘蛛の巣城」を見ました。

普段、どんな映画を見ているかの話は、また今度。

こんな感じで、息子が幼いころから色々な本を読み聞かせてきたのですが、おかげで本を読むのが大好きなこどもに育ちました。11歳になった今では夏目漱石が大のお気に入りで、ほとんどの著作を何度も繰り返し読んでいます。

一番好きな漱石の本は「彼岸過迄」だそうです。

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◆ 神奈川県で、妻と息子(2011年生まれ、現在11歳、小学6年生の学年)と3人で、旅と音楽と哲学を中心にホームスクーリングしています ◆

◆ 中学入学まで残り半年。親が表に出て友達を探すのは残り最後の半年のつもりで、noteで書くことによって息子のホームスクール友達を探しています。これから書くいくつかの記事を読んで、息子と遊んでみようと思った方は、是非ご連絡ください ◆

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