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マガジン

  • 日本酒を愉しむ

    実際に飲んだ日本酒の感想などを、様々な情報を交えて紹介しています。新たな日本酒に出会う度に書いていますので、不定期更新。日本酒好きの方や日本酒に興味がある方などに読んでいただければ嬉しいです。

記事一覧

研ぎ澄まされた酒

澤屋まつもと、こと京都の松本酒造のお家騒動から時も経つが、同社を離れた松本日出彦氏の手によるお酒。 「日日(にちにち)」という銘柄で、いくつか種類があって、これ…

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4か月前

名実共に圧を感じさせない酒

全国には千数百の酒蔵が存在し、同じ蔵でも銘柄造り違いも数種類はあるだろうから、ふらりと覗いた普通の街の酒屋でも、見たこともない酒に巡り合っても不思議ではない。 …

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6か月前

贅沢な「地酒」

生産量が少ないのに、人気がある。必然的に入手困難。そしてこちらのお酒は名前が知れている割には、飲食店でもあまり見かけない。富山県は清都酒造場の「勝駒」。 その大…

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6か月前
1

懐かしき香りを纏うモダンな酒

山口県は長州酒造が造る「天美」。復活蔵に最新の設備、新進の女性杜氏、現代流行のモダン酒の代表格であろう。 流行りの「甘旨フレッシュフルーティー」と思いきや、爽や…

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6か月前

美味しいお店で呑みたいお酒

兵庫県は山田錦の一大生産地であり、その中でも品質が高い酒米を作る地域が「特A地区」。社(やしろ)、東条、そしてこの吉川(よかわ)だ。 それら地域近辺の酒蔵の方に…

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7か月前

古き器に注ぐ新しい酒

石川県は白山市にある「吉田酒造」さんが造る、「吉田蔵」というシリーズ銘柄のお酒。我々のとっては、「手取川」という銘柄の酒蔵といった方が解りやすいだろうか。 その…

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7か月前

エレガントで清楚な愛山の酒

酒米によって日本酒の味が変わるのか?私もそんなに飲み比べた訳ではないので、酒を呑んで酒米を当てる自信はない。酒米の成分や形状が日本酒の味に影響を与える部分はある…

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7か月前

自然淘汰で醸す酒

長野のワイナリーがワインを造っていない期間に造る日本酒。それが、小布施ワイナリーの「Sogga pere et fils / ソガ・ペールエフィス」のシリーズ。生産数も限られており…

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8か月前

なるほど確かに美味い酒

「パーカーポイント」、ワイン評論家であるロバート・パーカー氏によるワイン採点。昔、ワインをよく飲んでいた頃は気にもしていたが、最近とんと忘れていた。。パーカーポ…

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8か月前
1

蔵元が造る倉本という酒

酒屋で目についた、表札みたいなラベル。説明書きを見ると、酒造会社も蔵元も同名。すなわち、倉本酒造の倉本さんが造る倉本っていうお酒。 国内の酒蔵で、酒蔵(会社名)…

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8か月前

複雑にして綺麗なお酒

夏になると飲みたくなる日本酒。それって夏酒ってこと?まあ、夏酒もそうなんですけど、個人的には甘重いお酒をロックで行きたいんですよね〜 ということもあり、甘くて重…

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8か月前

去りゆく夏を想う酒

夏酒の定義は様々で、スッキリ、サッパリとか、夏の食事に合わせてとか、その味や造りは酒蔵によって異なる。夏の時期の中心に発売される季節酒ではあるので、人気の夏酒と…

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8か月前

「日本一小さな酒蔵」より小さい酒蔵の酒

ネットなどで、「日本一小さな酒蔵」で検索すれば、まずは「射美」で有名な岐阜県の杉原酒造さんがヒットするだろう。 そもそも、「日本一小さい」というのは、何が小さい…

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9か月前
2

酒米界二大スターの酒

関東では燗酒を出す呑み屋以外であまり見かけない「秋鹿」だけど、関西では少し探せば普通に買える。筆文字による渋いラベルが多い秋鹿シリーズの中で、目を惹くポップな絵…

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9か月前

米の凄みを感じる酒

ナチュール、自然派。ワインの世界ではもはや定着しており、専門店や、それを得意とするレストランなども多い。当初は「???」と感じるようなワインも結構有ったが、最近…

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9か月前
2

はっさくに合う謎の酒

「昔、〇〇酒造の社長さんに、”日本酒ってはっさくに合うんだよ”って勧められてことがあって。。」と、酒屋の大将が仰るので、「じゃあ、今お店にあるもので、はっさくに…

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9か月前
研ぎ澄まされた酒

研ぎ澄まされた酒

澤屋まつもと、こと京都の松本酒造のお家騒動から時も経つが、同社を離れた松本日出彦氏の手によるお酒。

「日日(にちにち)」という銘柄で、いくつか種類があって、これは全量山田錦(兵庫県東条産)のもの。12%の低アルコール酒。栓を開けると、パッと香る淡い「メロンクリームソーダ」の香り、だがこれは飲んでいると感じることはない。全体的に穏やかで日本酒の様々な要素がバランス良く入っていて綺麗な呑み口。12%

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名実共に圧を感じさせない酒

名実共に圧を感じさせない酒

全国には千数百の酒蔵が存在し、同じ蔵でも銘柄造り違いも数種類はあるだろうから、ふらりと覗いた普通の街の酒屋でも、見たこともない酒に巡り合っても不思議ではない。

秋田県の奥田酒造店の「千代緑」という銘柄。こちらは、蔵付き酵母「MS-3」を使った大吟醸磨きの無濾過生酒。「無加圧甕口」と書いてある。酒を絞る際に圧をかけず、自然に垂れてくるものをそのまま瓶詰めしたものだ。具体的な絞り方はわからなかったけ

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贅沢な「地酒」

贅沢な「地酒」

生産量が少ないのに、人気がある。必然的に入手困難。そしてこちらのお酒は名前が知れている割には、飲食店でもあまり見かけない。富山県は清都酒造場の「勝駒」。

その大吟醸、純米吟醸、純米の三種類の飲み比べがあったので、試してみた。大吟醸と純米吟醸は山田錦。純米は純米吟醸と同じ精米歩合50%ではあるが、酒米が五百万石といった違いがある。

流行りの華やかな部類の酒ではない。サッパリ・シッカリといった感じ

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懐かしき香りを纏うモダンな酒

懐かしき香りを纏うモダンな酒

山口県は長州酒造が造る「天美」。復活蔵に最新の設備、新進の女性杜氏、現代流行のモダン酒の代表格であろう。

流行りの「甘旨フレッシュフルーティー」と思いきや、爽やかなフルーツ感に軽い苦味が乗った酸味、どちらかと言えばドライな印象。微ガス感で口当たりも良い。白身魚の刺し身にも、脂っこい炒めものにも、卒なく寄り添う。なかなか良く出来たお酒。

ところが、大きめのぐい呑みで飲んでみると、「ああ、この風味

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美味しいお店で呑みたいお酒

美味しいお店で呑みたいお酒

兵庫県は山田錦の一大生産地であり、その中でも品質が高い酒米を作る地域が「特A地区」。社(やしろ)、東条、そしてこの吉川(よかわ)だ。

それら地域近辺の酒蔵の方に、「ブランド山田錦ってどう違うの?」と尋ねたことがあるが、「他の地域はわからないけど、特A地区のものだけは見たらわかる(粒が立派)」とのことだった。

さて、その吉川山田錦使用のこの而今、綺麗で爽やかな香り、全体に締まりよく、バランス良く

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古き器に注ぐ新しい酒

古き器に注ぐ新しい酒

石川県は白山市にある「吉田酒造」さんが造る、「吉田蔵」というシリーズ銘柄のお酒。我々のとっては、「手取川」という銘柄の酒蔵といった方が解りやすいだろうか。

その中でも「吉田蔵u」は比較的新しいラインナップで、地産地消、自然志向的な方向性のものだそうだ。

地元の酒米を使う。ワインで言うところの「テロワール」的な考えもあるだろうが、先細りする米農家の保護支援、そして自社の未来の酒造りを見据えた良質

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エレガントで清楚な愛山の酒

エレガントで清楚な愛山の酒

酒米によって日本酒の味が変わるのか?私もそんなに飲み比べた訳ではないので、酒を呑んで酒米を当てる自信はない。酒米の成分や形状が日本酒の味に影響を与える部分はあるとは思うけど、どちらかと言えば、造りに依存するところが大きいのではないかなあ。。というのが、現状の私の意見。

この千葉県は寒菊銘醸さんのお酒。「剣愛山」は酒米としては「愛山」だけど、「剣」というのは徳島県の名山「剣山」のことで、最近徳島県

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自然淘汰で醸す酒

自然淘汰で醸す酒

長野のワイナリーがワインを造っていない期間に造る日本酒。それが、小布施ワイナリーの「Sogga pere et fils / ソガ・ペールエフィス」のシリーズ。生産数も限られており、人気も高く、入手困難酒の一つ。

ワイン用の瓶、栓も圧搾コルク。ぱっと見これが日本酒とは思えないだろう。もう一つの特徴としては、裏ラベルの圧倒的な能書きの量。

こちらの「Riz a Sak Naturel / リア

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なるほど確かに美味い酒

なるほど確かに美味い酒

「パーカーポイント」、ワイン評論家であるロバート・パーカー氏によるワイン採点。昔、ワインをよく飲んでいた頃は気にもしていたが、最近とんと忘れていた。。パーカーポイントは日本酒対象にもあって、こちらのお酒はそのパーカーポイントで高得点となって火が付いたと酒屋さんに聞いて、「ああ、そんなのあったなあ。。」って思い出した。

岡山県のお酒は兵庫県での取り扱いは意外に少ない、灘を代表として酒処である兵庫県

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蔵元が造る倉本という酒

蔵元が造る倉本という酒

酒屋で目についた、表札みたいなラベル。説明書きを見ると、酒造会社も蔵元も同名。すなわち、倉本酒造の倉本さんが造る倉本っていうお酒。

国内の酒蔵で、酒蔵(会社名)=蔵元名=杜氏名=銘柄の酒ってどのぐらいあるかな?全体としては少ないんじゃないかなあ。銘柄には地域性とか拘りたいし、なかなか自分の名前の酒って出しにくいじゃない?

奈良県の田舎にある小さな酒蔵さんで、蔵元杜氏である蔵元さん(若い人とのこ

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複雑にして綺麗なお酒

複雑にして綺麗なお酒

夏になると飲みたくなる日本酒。それって夏酒ってこと?まあ、夏酒もそうなんですけど、個人的には甘重いお酒をロックで行きたいんですよね〜

ということもあり、甘くて重めのお酒を探していた中、ふと目についたのがこちらのお酒。

奈良県は美吉野醸造さんの「花巴 ナチュール✕ナチュール」。甘重、ロックとかになってくると、酒を酒で仕込む「貴醸酒」となってしまうんだけど、こちらも造りでは貴醸酒の範囲なのだろうが

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去りゆく夏を想う酒

去りゆく夏を想う酒

夏酒の定義は様々で、スッキリ、サッパリとか、夏の食事に合わせてとか、その味や造りは酒蔵によって異なる。夏の時期の中心に発売される季節酒ではあるので、人気の夏酒とされるコイツを、夏のうちに飲んでおく。

この「カブトムシ」、香りりはそんなに高くないが、口に含んでみると、柑橘系?リンゴ?ちょっと独特で、柑橘系ならライム、リンゴなら芯の渋いところ?のようなクセのある感じ。

味の方は。。とにかく「酸」。

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「日本一小さな酒蔵」より小さい酒蔵の酒

「日本一小さな酒蔵」より小さい酒蔵の酒

ネットなどで、「日本一小さな酒蔵」で検索すれば、まずは「射美」で有名な岐阜県の杉原酒造さんがヒットするだろう。

そもそも、「日本一小さい」というのは、何が小さいのだろうか?年間生産石高(製造量)?、資本金?設備規模?敷地面積?ちなみに、杉原酒造さんの生産石高は60石〜80石ぐらいという話は聞いたことがあって、同社サイトには100石以下って書いてある。一升瓶で一万本以下ってことだ。

100石未満

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酒米界二大スターの酒

酒米界二大スターの酒

関東では燗酒を出す呑み屋以外であまり見かけない「秋鹿」だけど、関西では少し探せば普通に買える。筆文字による渋いラベルが多い秋鹿シリーズの中で、目を惹くポップな絵柄。面白そうなので買ってみた。

酒蔵の自営田で栽培された酒米の二大メジャーである山田錦と雄町を両使いした限定酒。二種類の酒米をどのような使い方をしているのかといえば、麹米が雄町で、掛け米が山田錦らしい。その名も「ゴールデンコンビ」(銘柄は

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米の凄みを感じる酒

米の凄みを感じる酒

ナチュール、自然派。ワインの世界ではもはや定着しており、専門店や、それを得意とするレストランなども多い。当初は「???」と感じるようなワインも結構有ったが、最近は進化や淘汰が進んでワインとしての美味しさも向上していると思う。自然派は結構ですけど、まずワインとして美味しくないと話にならない。

昨今、日本酒の世界でも「自然派」を称する酒が出てきている。私自身は日本酒は「技術」の積み重ねの酒であると考

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はっさくに合う謎の酒

はっさくに合う謎の酒

「昔、〇〇酒造の社長さんに、”日本酒ってはっさくに合うんだよ”って勧められてことがあって。。」と、酒屋の大将が仰るので、「じゃあ、今お店にあるもので、はっさくに合うお酒ください!」というやり取りで購入した一本。「はっさく」とは柑橘類のはっさく(八朔)です。

「日本酒にはっさく?」一瞬意外に感じるかも知れない。日本酒のアテと言えば、スルメ、塩辛などの珍味などをまず連想してしまうからね。でも、よく考

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