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はっさくに合う謎の酒

「昔、〇〇酒造の社長さんに、”日本酒ってはっさくに合うんだよ”って勧められてことがあって。。」と、酒屋の大将が仰るので、「じゃあ、今お店にあるもので、はっさくに合うお酒ください!」というやり取りで購入した一本。「はっさく」とは柑橘類のはっさく(八朔)です。

「日本酒にはっさく?」一瞬意外に感じるかも知れない。日本酒のアテと言えば、スルメ、塩辛などの珍味などをまず連想してしまうからね。でも、よく考えてみると、お酒と果物の相性は良いに決まっている。そうでなければ、フレッシュフルーツカクテルの立場が無い。

でも、酒屋の大将の話では、カクテルではなく、あくまで酒の肴として、はっさくをつまみながら酒を呑むということで、はっさくが持つ酸味と甘味と、日本酒が持つ米の甘みが、それぞれを食べた(飲んだ)後に、フラッシュのように弾けて楽しめる??のような感じらしい。

兵庫県 千代田蔵 二十歳、旅のはじまり 22BY

「じゃあ、はっさくに合わせる酒ってどんな酒?」ということで選んでもらったのがこれ。兵庫県の太田酒造(千代田蔵)という灘の酒蔵。その若手が試験的に醸造したものを酒屋ショップブランド的な感じで製品化した「二十歳、旅のはじまり」という手作り感満載のマイナーな酒。これ、欲しくても普通に入手不可能でしょうよ。。夏酒みたいなラベルだけど12月出荷。。。

ガス感があって少し甘めのフレッシュな酒だけど、この酒、柑橘類を食べた時に感じる皮やワタの部分に含まれる苦味が、飲んだ最初から最後までピーンと張った感じで続く。すなわち、最初はハッサクに寄り添い、最後に双方の甘味を引き出してフィニッシュする感じだ。なるほどね。。まあ、そう言われればその通りだけど、ちょっと難しい合わせ方かも。

お酒と食のマリアージュ、もしくはペアリングにはいろいろな考え方がある。同じような風味と調和させたり、敢えて喧嘩するもので双方を際立たせたり、お互いに無いものを補ったり、ネガティブな要素をマスクしたり。。他にもいろいろ。

日本酒って食とのマリアージュ、ペアリングには最強の酒だと思うけど、合ってしまうが故に複雑、繊細、微妙な合わせ方というのは逆に難しい。

「はっさくに合う謎の酒」、このお酒じゃなくっても合うものはあると思うので、こうゆう楽しみ方もアリだね。

筆者 2023年2月 投稿記事より抜粋

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