epicurean_hippo
実際に飲んだ日本酒の感想などを、様々な情報を交えて紹介しています。新たな日本酒に出会う度に書いていますので、不定期更新。日本酒好きの方や日本酒に興味がある方などに読んでいただければ嬉しいです。
澤屋まつもと、こと京都の松本酒造のお家騒動から時も経つが、同社を離れた松本日出彦氏の手によるお酒。 「日日(にちにち)」という銘柄で、いくつか種類があって、これは全量山田錦(兵庫県東条産)のもの。12%の低アルコール酒。栓を開けると、パッと香る淡い「メロンクリームソーダ」の香り、だがこれは飲んでいると感じることはない。全体的に穏やかで日本酒の様々な要素がバランス良く入っていて綺麗な呑み口。12%の低アルコールだが、味の芯が通っているので、薄く感じることは無い。もちろんアルコ
全国には千数百の酒蔵が存在し、同じ蔵でも銘柄造り違いも数種類はあるだろうから、ふらりと覗いた普通の街の酒屋でも、見たこともない酒に巡り合っても不思議ではない。 秋田県の奥田酒造店の「千代緑」という銘柄。こちらは、蔵付き酵母「MS-3」を使った大吟醸磨きの無濾過生酒。「無加圧甕口」と書いてある。酒を絞る際に圧をかけず、自然に垂れてくるものをそのまま瓶詰めしたものだ。具体的な絞り方はわからなかったけど、圧がかかっていない「袋吊り」と似たようなものだろうか。生産量も少ないらしい。
生産量が少ないのに、人気がある。必然的に入手困難。そしてこちらのお酒は名前が知れている割には、飲食店でもあまり見かけない。富山県は清都酒造場の「勝駒」。 その大吟醸、純米吟醸、純米の三種類の飲み比べがあったので、試してみた。大吟醸と純米吟醸は山田錦。純米は純米吟醸と同じ精米歩合50%ではあるが、酒米が五百万石といった違いがある。 流行りの華やかな部類の酒ではない。サッパリ・シッカリといった感じ。香り、旨味、甘み、酸味、苦味と日本酒が有する風味は入っているけど、どれが突出し
山口県は長州酒造が造る「天美」。復活蔵に最新の設備、新進の女性杜氏、現代流行のモダン酒の代表格であろう。 流行りの「甘旨フレッシュフルーティー」と思いきや、爽やかなフルーツ感に軽い苦味が乗った酸味、どちらかと言えばドライな印象。微ガス感で口当たりも良い。白身魚の刺し身にも、脂っこい炒めものにも、卒なく寄り添う。なかなか良く出来たお酒。 ところが、大きめのぐい呑みで飲んでみると、「ああ、この風味、懐かしい〜」と思わせる、昔の清酒の香ばしい米の香りとアルコール感。その昔、地場
兵庫県は山田錦の一大生産地であり、その中でも品質が高い酒米を作る地域が「特A地区」。社(やしろ)、東条、そしてこの吉川(よかわ)だ。 それら地域近辺の酒蔵の方に、「ブランド山田錦ってどう違うの?」と尋ねたことがあるが、「他の地域はわからないけど、特A地区のものだけは見たらわかる(粒が立派)」とのことだった。 さて、その吉川山田錦使用のこの而今、綺麗で爽やかな香り、全体に締まりよく、バランス良く、フルーティーさも感じるが、品の良い苦味があり、ドライな印象。それでいて、しっか
石川県は白山市にある「吉田酒造」さんが造る、「吉田蔵」というシリーズ銘柄のお酒。我々のとっては、「手取川」という銘柄の酒蔵といった方が解りやすいだろうか。 その中でも「吉田蔵u」は比較的新しいラインナップで、地産地消、自然志向的な方向性のものだそうだ。 地元の酒米を使う。ワインで言うところの「テロワール」的な考えもあるだろうが、先細りする米農家の保護支援、そして自社の未来の酒造りを見据えた良質な酒米の確保といった切実な意味の方が大きいのだろう。 山廃造りの低アルコール1
酒米によって日本酒の味が変わるのか?私もそんなに飲み比べた訳ではないので、酒を呑んで酒米を当てる自信はない。酒米の成分や形状が日本酒の味に影響を与える部分はあるとは思うけど、どちらかと言えば、造りに依存するところが大きいのではないかなあ。。というのが、現状の私の意見。 この千葉県は寒菊銘醸さんのお酒。「剣愛山」は酒米としては「愛山」だけど、「剣」というのは徳島県の名山「剣山」のことで、最近徳島県で生産が始まった「愛山」を使ったお酒ということ。磨き50%の純米大吟醸。米も高け
長野のワイナリーがワインを造っていない期間に造る日本酒。それが、小布施ワイナリーの「Sogga pere et fils / ソガ・ペールエフィス」のシリーズ。生産数も限られており、人気も高く、入手困難酒の一つ。 ワイン用の瓶、栓も圧搾コルク。ぱっと見これが日本酒とは思えないだろう。もう一つの特徴としては、裏ラベルの圧倒的な能書きの量。 こちらの「Riz a Sak Naturel / リア サケ ナチュレル 生酛」は、地場の無農薬美山錦70%精米に、協会1号、2号、3
「パーカーポイント」、ワイン評論家であるロバート・パーカー氏によるワイン採点。昔、ワインをよく飲んでいた頃は気にもしていたが、最近とんと忘れていた。。パーカーポイントは日本酒対象にもあって、こちらのお酒はそのパーカーポイントで高得点となって火が付いたと酒屋さんに聞いて、「ああ、そんなのあったなあ。。」って思い出した。 岡山県のお酒は兵庫県での取り扱いは意外に少ない、灘を代表として酒処である兵庫県に、遠くの地域の珍しい酒ならともかく、隣の県からわざわざ輸入しようとは思わないの
酒屋で目についた、表札みたいなラベル。説明書きを見ると、酒造会社も蔵元も同名。すなわち、倉本酒造の倉本さんが造る倉本っていうお酒。 国内の酒蔵で、酒蔵(会社名)=蔵元名=杜氏名=銘柄の酒ってどのぐらいあるかな?全体としては少ないんじゃないかなあ。銘柄には地域性とか拘りたいし、なかなか自分の名前の酒って出しにくいじゃない? 奈良県の田舎にある小さな酒蔵さんで、蔵元杜氏である蔵元さん(若い人とのこと)が造られているお酒。「ツゲノワール」とあるのは、この酒蔵がある地域が、奈良県
夏になると飲みたくなる日本酒。それって夏酒ってこと?まあ、夏酒もそうなんですけど、個人的には甘重いお酒をロックで行きたいんですよね〜 ということもあり、甘くて重めのお酒を探していた中、ふと目についたのがこちらのお酒。 奈良県は美吉野醸造さんの「花巴 ナチュール✕ナチュール」。甘重、ロックとかになってくると、酒を酒で仕込む「貴醸酒」となってしまうんだけど、こちらも造りでは貴醸酒の範囲なのだろうが、そもそも、「貴醸酒」は複数の酒蔵の登録商標なので、その酒蔵グループに入っていな
夏酒の定義は様々で、スッキリ、サッパリとか、夏の食事に合わせてとか、その味や造りは酒蔵によって異なる。夏の時期の中心に発売される季節酒ではあるので、人気の夏酒とされるコイツを、夏のうちに飲んでおく。 この「カブトムシ」、香りりはそんなに高くないが、口に含んでみると、柑橘系?リンゴ?ちょっと独特で、柑橘系ならライム、リンゴなら芯の渋いところ?のようなクセのある感じ。 味の方は。。とにかく「酸」。酸を中心に全てが組み立ててある。その酸は、芯が太くて先が鋭い円錐形みたいな形か。
ネットなどで、「日本一小さな酒蔵」で検索すれば、まずは「射美」で有名な岐阜県の杉原酒造さんがヒットするだろう。 そもそも、「日本一小さい」というのは、何が小さいのだろうか?年間生産石高(製造量)?、資本金?設備規模?敷地面積?ちなみに、杉原酒造さんの生産石高は60石〜80石ぐらいという話は聞いたことがあって、同社サイトには100石以下って書いてある。一升瓶で一万本以下ってことだ。 100石未満だったら他にもあるんじゃないだろうか?ウチの近くの酒蔵も年間100石も造っていな
関東では燗酒を出す呑み屋以外であまり見かけない「秋鹿」だけど、関西では少し探せば普通に買える。筆文字による渋いラベルが多い秋鹿シリーズの中で、目を惹くポップな絵柄。面白そうなので買ってみた。 酒蔵の自営田で栽培された酒米の二大メジャーである山田錦と雄町を両使いした限定酒。二種類の酒米をどのような使い方をしているのかといえば、麹米が雄町で、掛け米が山田錦らしい。その名も「ゴールデンコンビ」(銘柄はGOLDENCOMBI)、酒米の二大スターの共演。 秋鹿らしい力強い味わい。強
ナチュール、自然派。ワインの世界ではもはや定着しており、専門店や、それを得意とするレストランなども多い。当初は「???」と感じるようなワインも結構有ったが、最近は進化や淘汰が進んでワインとしての美味しさも向上していると思う。自然派は結構ですけど、まずワインとして美味しくないと話にならない。 昨今、日本酒の世界でも「自然派」を称する酒が出てきている。私自身は日本酒は「技術」の積み重ねの酒であると考えているので、自然派って何ぞや?という感はあるが、「無農薬栽培米」とか、「無添加
「昔、〇〇酒造の社長さんに、”日本酒ってはっさくに合うんだよ”って勧められてことがあって。。」と、酒屋の大将が仰るので、「じゃあ、今お店にあるもので、はっさくに合うお酒ください!」というやり取りで購入した一本。「はっさく」とは柑橘類のはっさく(八朔)です。 「日本酒にはっさく?」一瞬意外に感じるかも知れない。日本酒のアテと言えば、スルメ、塩辛などの珍味などをまず連想してしまうからね。でも、よく考えてみると、お酒と果物の相性は良いに決まっている。そうでなければ、フレッシュフル