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遠藤良二の短編小説集

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短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
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#日常

【短編小説】家族の不幸の果てに

【短編小説】家族の不幸の果てに

 今日は祖父が亡くなった8月7日、北海道では七夕だ。僕は祖父のことが大好きだった。死因は自死だ。祖父は足が痛くて歩くのもやっと。7回目の手術がある。だが、手術当日、祖父は家からいなくなっていた。どこに行ったのだろう。祖父は父の親。地元の親戚や近所の知り合いに連絡してもいなかった。仕方がないので警察署に行き、捜索願をだした。
 そして数日後、僕のスマホに警察署から電話がかかってきた。でも僕は仕事中で

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【ショートショート】寿命

【ショートショート】寿命

#私の作品紹介 #寿命 #父

 僕は気が弱く、いじめられたこともあった。

 でも、その度、お父さんが助けてくれた。
「達夫! 負けるな! しっかりしろ」
 僕の氏名は、│森田達夫《もりたたつお》、十九歳。今年、高校を卒業した。

 お父さんは若いころからやんちゃだったらしく、中学時代は神社の
│賽銭《さいせん》を盗んだり、たばこを吸っては授業をさぼっていたようだ。

 ケンカも売ることもあれば

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僕らの日常

僕らの日常

 俺は今日、彼女が出来た。俺の名前は神垣順二、34歳。彼女の名前は前島道子、32歳。

 俺の職業は、大型トラックの運転手。21歳で大型免許を取得した。主に、冷凍したマグロ等の魚を運搬している。

 

 彼女の道子の職業はサラブレットを扱う牧場に勤めている。もともと道子は東京に住んでいた。でも、馬が大好きで北海道にやってきた。中学を卒業して住み込みで牧場で働いている。

 道子と知り合ったきっか

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【短編小説】病死

【短編小説】病死

 僕は今日もストレスの溜まる仕事をしている。この仕事は約二十年続けてきた。事務系。

 以前も胃腸の調子が悪く、検査をするために胃カメラを飲んだ。検査中、カメラが胃の壁に触れるたび、えづき、が起きる。このえづき、というのは「オエッ」となる現象。

 僕の担当医は胃カメラの操作が下手なのか頻繁にえづきに襲われた。結果はピロリ菌がいることが判明した。これは、抗生物質を飲んで菌を殺しましょう、と医師は言

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僕の日常と恋心

僕の日常と恋心

#短編小説 #日常 #恋心

 僕が仕事をする上で、一番大切にしていることがある。それは、人間関係だ。もちろん、仕事をこなすことは大事だとは思う。でも、人間関係が悪いと気分も悪いし、仕事もしづらいと思う。挙句の果てには嫌になり、退職してしまうのではないかと、思う。

 なので、僕は主に職場での人間関係を円滑にしていきたいと常日頃から思っている。

 職場の仲間とつながり、一番いいと思うのは絆ができ

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