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2023年2月の記事一覧
1944年のクロスワードパニック
1913年にアメリカで誕生したクロスワードパズルは新聞紙の常連となり、1920年代には爆発的な流行を獲得した。余りの流行の加熱ぶりと、愛好者の中毒ぶりからクロスワードパズルは非道徳的だと思われ、そんなものしてる時間があればちゃんとした本を読んだり、隣人と会話したり、労働に精を出せとモラルパニックが懸念される。何だか何処かで聞いた話で、いつの時代も時間を奪う物と言うのは槍玉にあがりがち。
そん
イギリス貴族とその序列。
貴族ってパーティーの席次を巡って争ってそう。
そんな庶民的な偏見があるけど、そうした争いが起こらないよう、序列と言うのがある。最もよく知られているのは公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5つだけど、王族に関しては別格なのでたとえ称号としては伯爵でも公爵より席次が上と言う事もある。
臣民貴族の場合は勿論公爵が筆頭で、最下位が男爵。その下に『貴族ではない』と定義される世襲の称号である準男爵と、一代
ターレットファイター、デファイアント
デファイアント、その名を聞くと航空機ファンは震え上がる。何せこの戦闘機、戦闘機なのに前に撃てる機銃がない。もちろんミサイルなんてない時代なのでデファイアントは敵の後ろを取っても射撃のできない機体だった。
代わりに後部には四連装の機銃が搭載され、しかもそれらは砲塔(ターレット)によって360度回転するので射角は広い。こうした戦闘機は当時イギリスでターレットファイターと称され、デファイアントはそ
栄光と破滅。ボー・ブランメルの人生
ダンディという言葉は日本では地位が高く、身なりのよい紳士的な男性を指すのに使われるけれど、イギリスでは揶揄のニュアンスをも含み、褒め言葉として使うには不適切とも言われる。
その価値観を体現したのがジョージ・ブライアン・ブランメル。通称『ボー(伊達者)・ブランメル』だった。
ブランメルの祖父は高級売春街として悪名高いバリーストリートの菓子職人で、立地を活かし、娼館に通う上流階級にいっときの
ボー・ブランメル。伝説の美男子とファッション改革。
18世紀頃、男性ファッションと女性ファッションに本質的な差はなかった。赤、緑、青など鮮やかな色と宝石で華美に飾り立て、高価だけど脆いシルクを使い、実際に動くには不適な衣装を着ることこそが男女問わずお洒落であり、富と権力の証。
しかしこうした状況に否を突きつけた男こそがジョージ・ブライアン・ブランメル。通称、ボー(Beau)ブランメル。
ブランメルはシンプルな装いを旨とし、男性ファッション
ハリケーン。栄光の二番手。
1936年、イギリスの主力戦闘機は複葉機だった。
二枚の翼を持つ複葉機は揚力に秀で、機動性が高い一方、二つの翼が邪魔になって速度が出ない。時代は単葉機の時代に突入しようとしていた。王立空軍(RAF)も単葉機を要請する。2社による競作となった。
一つはスピットファイア。単葉機であるのみならず、全金属製であり、アルミ缶のような外殻を持つモノコック構造の戦闘機で、何かもが新しく、正に新時代の飛
赤ちゃん農場。ヴィクトリア時代の闇
18世紀から19世紀にかけてのイギリスでは道徳が強調され、そこからはみ出た者は社会的制裁を受けた。労働に対する称揚は貧困者への蔑視に繋がり、理性と知性への賛美は精神病者への嘲りへと結びつく。貧困や精神異常は不道徳だからなるのだと考えられた(もっとも勤勉な国王ジョージ3世が精神異常に陥ったため、どんな人でもなる時はなるのだとも理解は進んだ)。
こうした中、イギリスで称揚された美徳の一つが女性の