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緑の風に吹かれて【日常エッセイ】

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自由気ままに書いたココロのエッセイです。
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#幸せ

幸せなハウルの朝食。

幸せなハウルの朝食。

今朝のこと、台所から「ジュージュー」と何かを焼く音がしていた。

少し遅く起きた私は部屋のカーテンを開けた。外は青空がとても気持ちいい。何かがはじまりそうな朝だ。

まだ少しぼんやりとした頭で「おはよう・・」とドアを開けると「おはよう!」と息子と奥さんが元気よく答えた。

台所で朝食を作っていた彼女がこう言った。

「さぁ、みんな、今日はハウルの朝食だよ!カルシファー、皿を用意するんだ!」

「は

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秋風と彼女のハミング。

秋風と彼女のハミング。

夕暮れの出張帰りの電車の中、相席の見知らぬ彼女は、とても幸せそうにハミングをしていた。小さな耳には、うすピンク色のヘッドホンが、子猫が膝で眠っているみたいに、具合よく収まっていた。

あんまりにも楽しそうなものだから、思わず歌い出してしまわないだろうか?と私はそんな心配をしていた。でも、針金をピンと入れたような、美しい姿勢の彼女にしてみれば、そんな心配はなく、ただ、流れる景色の中、その静かな時間を

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こんな小さな幸せなこと。

こんな小さな幸せなこと。

こんな小さな幸せな出来事があった。たまたま朝の通勤ラッシュと時間がずれてたせいか久しぶりに電車の席に座れた。(これも私にとっての小さな幸せ。)

ふと気が付くと、私の目の前に、若い母親がやっと首がすわったくらいの赤ちゃんをひざに抱えて座っていた。それはもう目がくりくりっとしていて、本当にかわいい赤ちゃんだ。

それにしても、赤ちゃんって、どうしてあんなに人の目を見つめるんだろう。目の前にいる私をじ

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彼女の「ね?」の幸せな風景

彼女の「ね?」の幸せな風景

ときどき、あまり物事を深く考えないうちの奥さんの問いかけに、私はとても困惑してしまうことがある。

例えば先日のこと、アニメ番組の話題らしいのだけど「○○ってアニメは確かに面白いのだけど、小さな子供が見るには、ちょっとねぇ・・・。どう思う?」と晩飯の時に私に尋ねてきた。

「どう思う?」と聞かれても私はかなり困るのだ。

だって、私はそのアニメを見たことがないんだから。だから私は「え?」と驚いてし

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仲村トオルと同じ種類の人間と。

仲村トオルと同じ種類の人間と。

「仲村トオルに似てるって言われない?」

ふいに、私はそう言われた。それが例えば、若いアルバイトの女の子に言われたのだったら、それなりに私はうれしいのだけど、これがうちの奥さんじゃ・・、ねぇ、今更ときめきやしないです。

「へぇ?何?いきなり?」

寝転んで本を読んでいた私は、彼女を見上げながらそう聞いた。

「さっきね、テレビに出てたんだけど、なんか似てるな~と思って」

一応、断っておくけど、

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