幸せなハウルの朝食。
今朝のこと、台所から「ジュージュー」と何かを焼く音がしていた。
少し遅く起きた私は部屋のカーテンを開けた。外は青空がとても気持ちいい。何かがはじまりそうな朝だ。
まだ少しぼんやりとした頭で「おはよう・・」とドアを開けると「おはよう!」と息子と奥さんが元気よく答えた。
台所で朝食を作っていた彼女がこう言った。
「さぁ、みんな、今日はハウルの朝食だよ!カルシファー、皿を用意するんだ!」
「はーい」といつの間にか息子がカルシファーになっていた。
皿にはおいしそうに焼けたベーコンと目玉焼きがのっかっていた。本当にハウルの朝食だ。ふりかけたコショウはまるで幸せの粉のように見えた。
いつもはパンを焼くだけなのに、どうしたんだろう?何かいいことあったのかな?年末だし、息子がいるし、おいしいものを作りたいと思ったのかな?なんて思って彼女に聞いた。
「どうしたの?朝からベーコンエッグなんて」
すると彼女は少し舌を出して
「あぁ、だって賞味期限が近かったからね!」
だって。
なんか、幸せな気分が一気に現実になっちゃった。
まぁ、いいや。でも、朝の澄んだ景色の中、フライパンで何かを焼く音って、なんであんなにも幸せに聞こえるんだろう。みんなの笑顔を見ながら、私は朝食を食べる。
「すんごい、うまい!」とカルシファーが絶賛してる。
「あたりまえだろ!」とハウルが、いや、奥さんが偉そうに言う。
これ以上の幸せは、たぶん、ない。
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一