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「弟がいる姉」は結婚願望が低いのか?(ブラザーペナルティ被害者の叫び)

2021年に発表されたある論文がきっかけで話題になっている「ブラザーペナルティ」

弟がいる姉には、生まれながらにペナルティが課せられているという、どうにも現代になじまない言葉だ。

17世紀のヨーロッパで生まれたシンデレラと魔女の呪いの呪文のような話だが、まさにわたしは「弟がいる姉」として、40年以上も生きてきた。

なるほどご名答。ありがとうオリゴ糖。

いやぁ、とうとうわかりましたよ。わたしが1.5回も離婚している理由。

今回ばかりは、自分の不出来を棚の上にひょいとあげさせてほしい。

ブラザーペナルティ被害者の代表として、100%他人のせいにした内なる叫びを綴ってみたい。


「弟がいる姉」は、収入が低くなりやすい


「ブラザーペナルティ」は、2021年に発表されたある論文がきっかけで生まれた言葉だ。

この研究によると、「弟がいる姉」は「妹がいる姉」に比べて収入が低く、専業主婦になりやすい。

・弟がいる姉は、文系を選びやすい
・弟がいる姉は、収入が低くなりやすい
・弟がいる姉は、専業主婦を選びやすい

引用:Brothers increase women’s gender conformity

「弟がいる姉」は、年収が低くなりやすい理由


「弟がいる姉」は「妹がいる姉」に比べて、女性としての伝統的な役割を担おうとする傾向があるという。

この意識のことを、「性別役割分業意識」という。

性別役割分業意識
=男は仕事、女は家庭といった伝統的な性別による役割を担おうとする意識のこと

これが、結果的に積極的な女性の社会進出を妨げている。

なぜ、弟がいる姉のほうが「性別役割分業意識」が強くなりやすいのか。

その理由は、以下の2点だ。

1:同姓の親と一緒にいる時間が多くなる
親は自分と同じ性別の子どもの方が一緒の時間を共有しやすいため、父よりも母の影響を受けやすくなる

引用:Brothers increase women’s gender conformity

2:異性の兄弟姉妹と差別化しようとする
人は兄弟姉妹と差別化することを通じて、個性を獲得する傾向があるため、より「お姉ちゃんらしく」「女の子らしく」なる傾向がある

引用:Brothers increase women’s gender conformity

「妹がいる姉」は、父母それぞれと過ごす時間量にわかりやすい変化は生まれない。だから「男性=仕事、女性=家庭」を意識するチャンスが少ないというのがこの論文の結論だ。

もう、納得しかない。

「弟がいる姉」は、結婚願望が低いのか?


たしかに、わたしは父よりも母と一緒にいる時間のほうが多かった。

今思えば、19歳になるまでは母の価値観の刷り込みを修行のように受けていた。

「お姉ちゃんなんだから我慢してね」はあたりまえだったし、小学校のころから、両親が外出していれば夕飯の支度はわたしの役割だった。どんなに思い出そうとしても、弟が手伝いたいと言わない限りは手伝わせた記憶がない。

わたしの場合は貧乏だったのもあって、平等に扱ってもらえるほどのお金がなかったのも災いした。

高校受験の直前に父親が無職になって、突然母に

「女の子は高校なんて行かなくていい。〇〇(弟)を高校に行かせたいからあんたはガマンして」

と言われたことは、今でも昨日のことのように覚えている。

この言葉をきっかけに、わたしは母の言葉を鵜呑みにはしなくなるのだが、それでも19歳までは母の価値観に合わせて、母が望む娘像を真面目に演じていたと思う。

専業主婦(たまにパート)だった母は、性別役割分業意識がかなり強いタイプの女性で、特に自分の主張をすることなく父にただついていく人だった。

「女の子はかわいいのがいちばん。(頭がいい必要はない)」

と、今なら炎上しそうなことを、平気でわたしに言う人だった。

そんなわたしが、母の呪縛から解き放たれた19歳のころに思ったのは、

「結婚だるいなー」

だった。

自分の人生なのに、やりたいことは全部我慢して、男の人のサポートをしないといけない。そんな人生なら別にいらんのやけど。と本気で思っていた。

ブラザーペナルティがホラーに見えてくるのは、ここからだ。

***

結婚願望が薄いわたしでも、結婚したいと言ってくれる人が現れたことがある。

でも、結婚してみて、気がついた。

わたしには性役割分業を排除すべきという価値観があるのにも関わらず、性役割分業をしないことに罪悪感がある。

自分の根本的な価値観
→性役割分業を排除したい(性別に関わらずやりたいことをやるべき)

教育によって植え付けられた自分の価値観
→性役割分業をしなければならない(しないことによる罪悪感が生まれる)

え。こわいんですけど。

ブラザーペナルティの呪いだ。

もしわたしが、弟がいる姉として育ったことで他の女性より「性役割分業意識が強い」としたら、罪悪感が生まれることにも合点がいく。

自分の根本的な価値観を優先する(性役割分業を無視する)

夫に対し罪悪感が生まれる

無意識に性役割分業に従う行動をとる

結婚がつらい

結婚したくない&離婚したい

自分の例を考えると、他にも「結婚願望や子育て願望が少なくなってしまう『弟がいる姉』がいてもおかしくない」と思って調べてみたら、その影響は思ったよりは大きくなかった。

結婚率:平均より0.7%低下
子供を持つ確率:平均より0.2%低下

参考:The effect of a sibling’s gender on earnings and family formation

おそらく母親の価値観をなんの反発もなく受け入れる「弟がいる姉(素直)」が多いからだろう。

わたしのように、母親の価値観に反発しながら、自分の根本的な価値観と罪悪感を残したまま生きる「弟がいる姉(意識高い系)」は割合的にはおそらく少ない。

***

「弟がいる姉(素直)」と「弟がいる姉(意識高い系)」は、悩みが異なる。

「弟がいる姉(意識高い系)」は、収入には大きな影響が出ないものの、結婚願望や子育て願望が普通よりちょっと少ない。

…なんだか、より残念だ。



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