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ゴールデンカムイを読み終る

面白かった!
ネタバレになるので詳細は書かないが、とても面白かった。

映画を観ているような完成度の高さで、作者の野田サトル氏が 「映画監督になりたかった」 とインタビューで答えていたのを読んで、納得。

伏線も丁寧に回収され、登場人物のひとりひとりに詳細な背景がある。どのキャラクターも魅力的。

個人的には尾形が好きだったが、背景がそんな暗いものとは思わなかった。飄々としてネコみたいなところが良かった。
途中から本当にネコ扱いになっていって、フレーメン反応していたところもかつての愛猫を思い出した (^^)


読んでいる途中、手塚治虫の漫画を読んでいる時と似たような感覚を味わった。濃密でドラマがあり、疾走感と臨場感があるため、どんどん先へ進みたくなる。

そしてとても絵がうまい。セリフがなくても登場人物が何を思っているか、作者が何を伝えようとしているかが伝わる (多分)。


北海道には 10 回ほど旅行で行っていて、先日ほぼ 「車で一周」 みたいなこともやっていたため、すでに行ったところや見たものがたくさん出てきてとても楽しめた。
偶然にも先日 「しづか」 の車両を見たのだけれど、あれがあんなに大きな役割を果たすなんて!
と、なかなかテンション上がった。

この 「しづか」 が展示してある小樽市総合博物館は、とても凄かった。
ガラス製品が好きなこと、および札幌から近いため北海道に行く時はほとんど小樽にも寄っていたのだが、まさか小樽にあんな規模の鉄道博物館があるとは知らなかった!

私は撮り鉄でも乗り鉄でもないが (旅鉄要素はある)、鉄道好きではなくても見どころはある施設だと思う。展示量がハンパない。


また、積丹まで行かなくても小樽の海もとても青くて美しかった。
(青の洞窟ツアーには行っていない)

積丹ブルーと同じ青の小樽


とにかくゴールデンカムイはシナリオがとても丁寧に練られていて、事実や史実にも基づいた上で (膨大な資料を反芻したのではなかろうか) 独特のファンタジーが構成されており、「杉本やアシㇼパって本当にいたのかな」みたいな気分にさせてくれるところが凄い。

「北海道おいしい!」 とかいって楽しげに旅行しているけど、アイヌ迫害や開墾の歴史を紐解くと、「うかれてばかりじゃいけないよな……」 という気分にもなる。

でも、ゴールデンカムイは最後もすごく良くまとめられていて、「これから何をするか」 という希望に満ちているところがとても良いなと思った。


言語に携わる仕事を生業としている者として、「言葉が失われる」 というのは 「生きていた証」 も失われるようでとてもつらいものだと思う。

第二次世界大戦で日本は敗戦したけれど、日本語は残った。
言語が消えれば文化も消える。

私はとあるバンドのファンを 20 年ほどやっているが、彼らの何がいちばん魅力的かと言えば 「歌詞」 なのである。

私が日本語を理解しなかったら、ファンになっていなかったのかもしれない。

日本語以外の言語が母国語であれば、きっとその圏内の同様の誰かの言葉に惹かれていただろうとは思う。
それでも日本語ネイティブでよかった、と思うのだ。




なんだか濃密な漫画を読みたくなってしまって『火の鳥』を電子書籍で購入してみた。
何回か途中まで読んでいたのだが、全巻揃えないまま引っ越しやらなんやらで手放してしまった。

「神」 という概念については 「なるほど」 と唸るものがある。
ふつう、思い付くか?
というレベルの回答だ。

ナメクジがポスト人類として置き換わり、文明を作る話も面白かった。
しかしその先を覚えていない。


手塚治虫作品は 「そこそこ」 読んでいるのだが、いちばんオススメの作品はやはり『ブラックジャック』だろう。
次に『アドルフに告ぐ』だろうか。

個人的にはいちばん好きなのは『七色いんこ』だったりする。

昔、イギリスで通っていた語学学校に、流暢な英語を話す台湾出身の方がいた (台湾から来た人は綺麗 & 流暢な英語を話す人が多かった)。

彼女は親子で通っているらしく、子供はキッズのクラスにいるのだと教えてくれた。

私が日本人なので日本に合わせた話をしてくれたのだろう。彼女もまさかの『七色いんこ』ファンだと言っていた。


私は結構驚いた。
向こうも同じだったのだろう。

だから訊かれた。

「なぜ『七色いんこ』が好きなのか」 と。


漫画自体は手放してしまったので詳細は覚えていないのだが、いんこは 「代役専門」 の俳優である。誰の代役であってもその人そっくりに真似できる (だから 「七色いんこ」 という、「あらゆるものに真似る」 意味の名前が付けられている) けれど、「自分がない」 のである。

私は昔から器用貧乏である。
とりあえず大体のことには 70 点を出せるけれども、「これだけは誰にも負けない!」 というものはない。

言われれば大体のこと (平泳ぎ以外) はそつなくこなせるし、相手に合わせて話もできるけれども、果たしてそれは本当に自分がやりたいことなのかどうか? 「本当の自分」 は何をやりたがっているのか?

というのが分らず、いんこに自分を重ねていたのかもなぁと思う。


いちばんは作中に出てくる 「ホンネ」 というキャラが大好きなのだ。
ホンネの奥さん & 子どもたちがかわいすぎる。
パンと靴下の話と、お皿の大きさに関して泣く話がかわいすぎて大好き (^^) 


しかし、そんなシリアスな話を出会ったばかりの台湾人に言うのもちょっとどうかと思うし、そもそも英語でそれを正しく伝えられないだろう (^^;)

なんと答えたかは忘れたが、テキトーに答えても結構何回も訊かれるので困った。


全然関係ないけど 「日本の相撲取りはなぜあんなに太っているのにあんなに小さいパンツ (まわし) しか身に付けないのか?」 という質問も同時にされ、たとえ日本語で訊かれて日本語で答えてよかったとしても、答えられない質問も投げかけられた。

そもそも、この質問は彼女の中に 「太っている人はデカパンを穿くべき」 という概念があるからこそ出てくる質問ではないのだろうか。

脂肪 (相撲取りの体脂肪率は低いらしいが) と露出するべき肌の比率に関しては、人生において考える時間を持ってこなかった。

そして国技である相撲について私はまったく詳しくない。
(今調べたら国技ではないらしい)

したがってこれも答えられなかった。

なかなかの難問を出してくる人だ。


「海外で暮らすと自分がどれだけ日本のことを知らないのか気付かされる」 とはよく聞くが、まさにこのような質問を受けて、自分が祖国についてさえ詳しくないことを思い知るのである。

また、この質問については未だに調べていない。
テニス スコートはなぜパンツが見えているのか、と似たような質問だろうか。




『三つ目がとおる』も大好きなのだけれど、引っ越しと同時に大量に持っていた手塚作品を寄付してしまった。

酒船石の使い方とかボルボックとか、摩訶不思議な話がてんこ盛りで面白い。


手塚作品は内容が濃くて漫画というよりは小説を読んでいるような感覚に近いため、ちょっと心の準備と時間が要るのである。

気楽に読める作品もあるだろうが (『ミッドナイト』とか?)、ちょっと身構えてしまう要素がある。

『火の鳥』もとりあえず 1 巻だけ読んだ。


先日宝塚の手塚治虫ミュージアムに行ってきたのだけれど、ホンネ グッズが売っていなくて残念だった。
諦めて読んでいないけどかわいかったから『ユニコ』の手ぬぐいを買った。
ネコがかわいい。


↑ ちなみにホンネはこれ。


長くなってしまったので終ろう。



お読みくださりありがとうございました (^^)



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