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「笑い」について、よく考えてみよう。

田畑栄一です。教育漫才というコンテンツの説明の前に…。そもそも「笑い」というものについて、一歩踏み込んで考えてみましょう。


「温かい笑い」と「冷たい笑い」

例えば、笑いには温かいものと冷たいものがありますよね。クラスメートが手を挙げて発表した時に、間違った発言をした。そこで笑いが起こったとします。本能的な笑いの一種で、思わず笑ってしまう類のものなのですが、これはいわゆる嘲笑につながる可能性があります。

心ある先生が「笑ってはいけない」「相手の気持ちを考えて」等とクラス全員に語り掛けて注意をすれば、子どもたちは自省して友達の発言に笑わなくなるでしょう。

もしくは、心ない先生が同じ場面で注意するどころか一緒に笑い、「あなたの答えは面白い!」などと教育的配慮を欠いて無意識のうちに堂々といじめの加担してしまうケースも一部には存在すると思います。この子どもは、以降手を挙げて発言しなくなるかもしれません。道徳心の未成熟な学級では、その後からかわれたり、いじめになる可能性も否定できません。

しかしもちろん、 笑うこと=いけないこと ではなく、配慮しなければならない場面における「ネガティブな笑い」がいけないのであって、「笑い」そのものを否定するわけではありません。ポジティブな「朗笑」までも否定してしまうと、結果笑いの少ない学級・学校になってしまうのです。大事なのは、場面に応じた「笑い」を教えることなのです。教育は、様々に調和が必要なのですが、実は、ここが意外とおろそかにされています。嘲笑やからかいで苦しんでいる子どもは、全国にたくさんいると考えています。様々な自殺の背景を新聞などマスコミ報道で見ると、まさにこの類が多いように感じます。

「笑い」を分類してみると…

実は温かい冷たいの他にも、3つの視点から笑いを分類することができます。それは、

〇愉快な笑い:感情が満たされ楽しい時の笑い
〇社交の笑い:習慣的な笑い、学習した笑い
〇本能の笑い:思わずでる笑い

私たちが「笑う」という行為をする場合、実に80%以上が上記で言うところの「社交の笑い」で占められているといわれています。気遣いの笑いによって相互に気持ちが朗らかになり、コミュニティーは円滑に回っているのです。学校ではこの「社交の笑い」を基盤において指導をしており、例えば「笑顔で挨拶しよう」「1日笑顔で過ごそう」などの「笑顔」にまつわる目標を提示したりもしますが、まさしくこの類に当てはまりますね。というのも、コミュニケーションにおいて相手に伝わる印象の65%が表情やしぐさなどの非言語のもの。対話や会話をしている時には、言葉だけでなくボティーランゲージ(笑顔含む)などでバランス良く表現することが大切で、人間関係を円滑にするあり方として、学校では「社交の笑い」をこどもたちに教えているのです。

暮らしの中で「愉快な笑い」はそう多くない!?

そして、驚くことに。「愉快な笑い」は実は10%程度と言われています。つまり、腹の底から思いっきり笑うことが、暮らしの中であまり多くはないのです。現代の日本社会全体が醸し出す閉鎖的で何とも例えようのないどんよりした空気・雰囲気は学校の中にもあり、子どもも教員も相当なストレスを抱えています。だかこそ、突き抜けるような明るい愉快なイノベーションが学校には必要だと考えました。

大人は、憩いの場で気の置けない仲間とおしゃべりをして、笑ったり不満を言い合うなどして、ストレスを発散しますね。これは「気持ちを緩める、和らげる、盛り上がる、発散する」などのメンテナンスとしての働きであり、心のバランスを図るためのとても貴重な時間です。今学校に必要なことは、「愉快な笑い」。仲間たちと心から安心して笑い合うことで、温かい空気の流れが善き方向に伝搬していくのです。私たちは、「愉快な笑い」の類を創り出したい。「温かい笑い」「朗らかな笑い」「ほっこりした笑い」、安心したポジティブな笑いが、学校自体のメンテナンスになるのです。漫才学習で創造したいと考えているのはそこなんです。「社交的な笑い」と「愉快な笑い」この2つの笑いを体験し、習得することで子どもたちは、「鬼に金棒」となり、「心の根っこ」が十分に張って、自己肯定感が高まっていきます。

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