Asako Sumimoto

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  • 【日記】日曜日から新しくなる

    日記を書きます。日曜更新。

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やさしくないから優しくしたい/1月7日(日)〜1月10日(水)

1月7日(日) 今日から3日間、単著に専念することにした。やっと時間をつくれた……と思ったのに、洗濯をしたり、ちょこちょこ掃除したりしてなかなか始めようとしない。何から始めていいかわからないのだ。ずっとそう。しかしなんとか重い腰を上げ、国会図書館のサイトでいくつか文章をダウンロード、印刷する。国会図書館のサイトってこんなに便利になっているのか! いやこれは状況的に考えて、男でも「図々しい」と言われるのではとか、そもそもリブの中で田中だけがこうやって書いて公に文句垂れること

    • バートルビー、あるいは革命と批評をめぐる走り書き

      以前、メルヴィルの「書記官バートルビー」を読んだというHさんが「わたしのことが書いてある、バートルビーはわたしだと思った。でも本当に使えないおっさんと一緒にされたくない」と言ったので、思わず「いや、その本当に使えないそのおっさんこそがバートルビーですよ!」と力説したことがある。「書記官バートルビー」とは「せずにすめばよいのですが……」と言いながら仕事を断りつづけ、よくわからない理由で弱って死んでいくという、それだけの話なのだが、世のあまねく人々の「仕事したくない」という気持ち

      • あけましておめでとう/12月31日(日)〜1月6日(土)

        12月31日(日) 社交を断つといいながら、忘年会に参加。焼肉おいしかった。 1月1日(月) コーヒーを飲むとすごく頭がすっきりしたので調子に乗って2杯飲む。喫茶店のトイレで屈んでいるときに、地震。ただの二日酔いかもしれないという疑惑が少しだけ浮かぶ。世界は微動だにしていないのに、自分だけがただ揺れているときがたまにあるのだ。ツイッターで確認して、地震であることがわかった。震源が石川県で、大津波警報が出ている。日本海全域で注意報以上が出ていることがわかり、福岡の実家にも

        • 書こうが書くまいがそんなことはどうでもいい/12月24日(日)〜12月30日(土)

          12月24日(日) クリスマス気分に屈しないという強い気持ちでぶり大根をつくる。案外めんどくさくてびっくり。 12月25日(月) 朝起きてだらだら骨つきチキンを食べていたら15時。結局クリスマスに屈しているし、年末モードになっている。仕事をしなければと思いつつスタートが遅れた日はつい遊んでしまう。MADARAMANJIさんという美術作家の作品集を買いに代官山蔦屋書店へ。作品もいくつか展示されていた。見たいと思っていたので見れてよかった。 12月26日(火) 病院。テ

        やさしくないから優しくしたい/1月7日(日)〜1月10日(水)

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        • 【日記】日曜日から新しくなる
          18本
        • 昔の日記
          1本

        記事

          同じことをくり返しているとして、われらは何をくり返しているか/12月3日(日)〜12月9日(土)

          12月3日(日) 好きなブランドの最後の展示会へ。18年続いたブランドが解散になるというので、お別れの挨拶がてら顔を出した。普段服にこだわりはなく、おしゃれな空間は気後れするので、友人にもついて来てもらう。服が好きなわけでもなくおしゃれでもないわたしにとってこのブランドは特別だった。服を着てもいいと思えるのはこのブランドがあるからだった。 以前ここのデザイナーさんに「服が似合わない」と言われたことがある。何人かの人があれはひどい発言だったと言ったけれど、わたしはそうは思って

          同じことをくり返しているとして、われらは何をくり返しているか/12月3日(日)〜12月9日(土)

          お疲れさま会/11月26日(日)〜12月2日(土)

          11月26日(日) とにかく原稿をやる。あと少し、というところでわたしはいつもスピードが落ちる。気が緩むのが少し早いのだろう。結局深夜までかかって、提出。 11月27日(月) 昼まで寝る。予約していた、本日千穐楽の演劇を諦める。夕方までゆっくり過ごしつつ、夜ゲラを返した。安堵。気が楽になったのか、今週は生活リズムを立て直そうと思い、週間計画表をつくる。意外とわたしはこういうのをつくるのが好きだ。じゃないと、毎日何をしていいかわからないから。年末まで仕事はあるので、毎日そ

          お疲れさま会/11月26日(日)〜12月2日(土)

          原稿・睡眠・原稿/11月22日(水)〜11月25日(土)

          11月22日(水) バイト。ここのところまったく成果を上げられていない。時給だからそれでもお金は入ってくるのだが、そろそろ成果を上げないとクビになるかもしれない。 11月23日(木・祝) 今日締切の原稿があるが、資料がまだ読み終わらない。夜が更ける。読みおわないのに、他の読書がしたくてしょうがない。 11月24日(金) 原稿がまだ終わっていない。昨日から徹夜したが、間に合わなかった。編集者から進捗お伺いのメールが来る。今日中には送りますと返すと、月曜朝でもいいよとの

          原稿・睡眠・原稿/11月22日(水)〜11月25日(土)

          ボス/11月12日(日)〜11月13日(月)

          11月12日(日) 母と会う。父が最近コロナになった話を聞く。コロナになったせいで、父はいろいろな予定をキャンセルせざるえなくなったのだが、その中には彼の留学時代のボスとの会合も含まれていた。父は30年以上前にアメリカに留学している。そのときのボスだ。聞いていると、ボスというのはどうやら恩師にあたるポジションらしい。「ボス」と恩師のニュアンスの違いがわたしにはよくわからないが、その口ぶりから、恩師よりは平たい関係なのだろうと予測された。そのボスがコロナ禍に京都賞という世界的

          ボス/11月12日(日)〜11月13日(月)

          大江健三郎の太字ゴチック/11月11日(土)

          11月11日(土) 大江健三郎の追悼番組を観る。テレビに映し出される大江の文章を目で追いながら、大江のように太字ゴチックを使えたら、いいよなあと思った。 わたしが思う大江のよさが凝縮されている。大江のよさとは、多分に陳腐なものだ。陳腐な結末。希望に溢れている。古義人だの鳥だの、主人公には奇抜な名前を付けておきながら、息子には光。大胆だと思う。勇気があると思う。あんなに絶望と慕わしくしておきながら、裏切っていく。

          大江健三郎の太字ゴチック/11月11日(土)

          たくさん仕事をした/10月15日(日)〜10月20日(金)

          10月15日(日) たくさん仕事をした記憶しかない。 10月16日(月) たくさん仕事をした記憶しかない。 10月17日(火) 夕方まで仕事で膨大な資料読みの仕事をし、17時から鼎談に参加する。それまで視覚情報として受け取っていた言葉が音声となって入ってきたのでビビってしまい、全然言葉が出てこない。ただ、他のお二人からはキラーフレーズがバンバン飛び出し、聞き入ってしまう。 10月18日(水) 記憶はないが、たくさん仕事をしたのだろう。 10月19日(木) 朝

          たくさん仕事をした/10月15日(日)〜10月20日(金)

          無題/9月24日(日)〜9月30日(土)

          9月24日(日) 疲労。 9月25日(月) 疲労。ぼんやりしたくて、映画を観にいくことにする。行きがけに書店に寄って、歌集を2冊買う。永井祐『日本の中でたのしく暮らす』(短歌研究社、2020年)と青松輝『4』(ナナロク社、2023年)。 上映まで永井祐のほうを読む。すでに散々言われているだろうなと軽く調べたらしっかり指摘されていたが、やはり助詞の使いかたがおもしろい。この歌集を読むと助詞とは視角のことなのだなとしみじみ思う。 そして「日本の中でたのしく暮らす」というタ

          無題/9月24日(日)〜9月30日(土)

          日記にかかない幸せ/9月17日(日)〜9月23日(土)

          9月17日(日) トランポリンを跳ぶ。たくさんの技を次々と習得し、ついにぐるっと前に一回転する。喜んで、何度も何度も回る。一瞬、ふと我に返ってとても危ないことをしているような気がしたが、深く考えない。こわい気持ちに追いつかれないよう、逃げるように何度も回った。 汗をかいたので銭湯へ。シャワーの前でぼーっとしていると銭湯のヌシに見つかって、体を洗われる。ヌシは備えつけのボディーソープを指して、「おめえ、これが不満なんだろう?」と言う。それからこちらの反応を待つ間もなく「おれが

          日記にかかない幸せ/9月17日(日)〜9月23日(土)

          魚を食べる日/9月10日(日)〜9月16日(土)

          9月10日(日) 日中は仕事。夜、引き続き、金原ひとみ『デクリネゾン』(集英社、2022年)を読む。これはもう絶対飲みながら読み通そうと思い、大昔に買ってあった日本酒を引っ張り出す。酒のアテはキムチとクリームチーズ。わたしはこういうときに一貫して脂っこいものを食べ、ブクブクと肥え太ってきたけれど、最近やっと酒のアテに野菜を食べることを覚えた。 9月11日(月) 仕事の合間に『ブルーピリオド』第14巻を読む。藝大に通う主人公の「作家の人って制作につまったりしないのかな」「

          魚を食べる日/9月10日(日)〜9月16日(土)

          『西郷隆盛は犬アレルギーだった』というラブストーリー/9月3日(日)〜9月9日(月)

          9月3日(日) 11時ごろ起きてご飯を食べてから、もう一度眠る。寝ている間にトリプルアクセルを練習する夢を見る。夢の中では体が軽く、目覚めてもなお跳べる気がした。 9月4日(月) 読書。『問題=物質となる身体』(青土社、2021年)を読む。10頁しか進まず。かなりむずかしい。そしてこれは単著に活かせないかもしれない。21時に単著進捗報告会に参加し、参加者に相談して『問題=物質』を読むのは一旦やめることにした。どうなることやら。 9月5日(火) 友人と作業。単著作業は

          『西郷隆盛は犬アレルギーだった』というラブストーリー/9月3日(日)〜9月9日(月)

          凝視したい/8月27日(日)〜9月2日(土)

          8月27日(日) 朝早く起きて、大西巨人『神聖喜劇』第5巻(光文社文庫、2002年)残り200頁を怒涛の勢いで読み進める。14時から読書会なのだ。模擬死刑、招集の延長、神山のブロマイド、吉原や大前田のあれこれなど、盛りだくさんだった。かなり追い上げたが、開始時刻には間に合わず、結局30分ほど遅れて読書会に参加。会では5巻の感想、および通読しての感想を話し合う。二松学舎大学の山口ゼミが作成した人物相関図を見渡しながら、東堂にとって最も重要な人物は冬木ではなく大前田ではないかと

          凝視したい/8月27日(日)〜9月2日(土)

          遠い夏休みのように/8月20日(日)〜8月26日(土)

          8月20日(日) 午前中は少し喫茶店で作業をしていたが、午後、帰宅し読書。大西巨人『神聖喜劇』第4巻(光文社文庫、2002年)を読み進める。リビングでエアコンと扇風機を回し、ビーズクッションに体を預け、これでもかと堕落した態で読書していると、わたしにも夏休みが来たような心持ちになる。黙々と読み進めると、どれくらい時間が経っただろう、お囃子が聞こえてきた。太鼓の低いデンデンという音と鉦の高いチャンチャンという音が混じったあの音が近づいてくる。リビングの窓を開けてしばらく眺めて

          遠い夏休みのように/8月20日(日)〜8月26日(土)