ボス/11月12日(日)〜11月13日(月)

11月12日(日)

母と会う。父が最近コロナになった話を聞く。コロナになったせいで、父はいろいろな予定をキャンセルせざるえなくなったのだが、その中には彼の留学時代のボスとの会合も含まれていた。父は30年以上前にアメリカに留学している。そのときのボスだ。聞いていると、ボスというのはどうやら恩師にあたるポジションらしい。「ボス」と恩師のニュアンスの違いがわたしにはよくわからないが、その口ぶりから、恩師よりは平たい関係なのだろうと予測された。そのボスがコロナ禍に京都賞という世界的な学術の賞を受け、この程来日したのだという。ボスはもう80歳を超えているとのことだから、ボスと父はもう一生会えないのだろうなと思った。父は今年定年を迎えたにもかかわらず、とても忙しくしていて、わたし以上に徹夜をかまし続け、会頭を務めた学会を終えるのを待ってコロナに罹患したのだという。馬鹿だなと思った。身に沁みる愚かさである。わたしも徹夜をくり返して、いまもまだ体調が優れず、人との誘いを断りまくっているので、他人事ではない。こんなことで、人は二度と会えなくなるのだろう。身に沁みるぶん、それならそれで、仕方ないような気もした。人に会わず、誰からも忘れられるのが死ぬことと同じなら、さっさと死んだことにされたほうが気が楽だとも言える。

11月13日(月)

行くのをやめようと思っていたのに、当日になってやっぱり行ってみようと思い、思い大きめの社交場に出かけてみたが、ほとんど人と話せず。ただ行かなければよかったとも思わず、妙にさっぱりした気持ちで帰宅。

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