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追記: はじめに。
こちらは、2022年12月に初めてシェア型書店で棚を借りた頃に書いた記事を編集・追記したものになります。
当時は東京の本屋さんで棚を借りていましたが、2023年の転居に伴い、2024年5月現在は京都市内の本屋さんで棚をお借りしています。
場所は変わったものの、間借りをする動機や発信についての考えは変わらないため、間借り書店をきっかけに興味をもっていただいた方には、引き続きこちらの記事をプロフィール的にご案内しております。
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こんにちは。
今日は、2022年11月より始めているあたらしい試み・間借り書店について書きます。シェア型書店というやつです。
私はフリーランスのバリスタ / 調理師 / コーチをしているのですが、固定の拠点を持たず、自分が赴くスタイルでの活動をいろんな角度から模索しています。
COVID-19の流行とともにフリーランスとなり、当時の情勢と自分がもてるものを照らし合わせ、どうしたら人に価値を提供して喜んでもらえるのか、1点に絞って考えた結果、今の形にシフトしました。(当時書いた記事↓)
それから2年以上が経ち、2022年12月現在、料理に関しては出張の形をとる 料理代行 や 料理教室を。
バリスタとしては間借りコーヒーの営業と、ちょっと変わった学びの場として コーチング型のワークショップやコーヒーショップ分解ツアーを。
コーチとしては、パーソナルセッションの提供と、その基礎となる自身の考えの言語化や他者と視点を分け合うことで起きる変化を気軽に体験できる「答えを出さずに意見をそだてるトピックトーク」という場を運営しています。
ひとりの人間がやっていることとして、バラバラで統一性がないように見えるからこそ、ひとつひとつの活動にすべての活動の軸となる自分の願いのようなものが滲むことが必要で、最終的にそこを感じてもらえるような伝え方を意識しています。
それは自分や関わる人の選択肢を増やし、可能性を広げること。
コーヒーも料理も、コーチングをはじめとしたコミュニケーションも、人の興味や可能性を塞がない関わり方を真ん中に据えたくて、
わかりやすく誘導したり、特定のものを勧めたりするスタイルではないため伝わりにくい部分もありますが、短期的な安心や快楽を追うのでなく、自分にできることをして縁を待ち、その先で合う人に出会い、応援し合える関係をつくりたいと考えています。
好きな仕事と、 好きなこと
「好きなことを仕事にしていていいですね」
と言っていただくことも多いのですが、私自身はあまりその自覚がありません。
料理やコーヒーは (好きですが) 好きだから仕事にするというよりは、興味が尽きなくて、工夫したり努力できる対象だから仕事にできるという感じ。
ただただそれが好きで、それだけやっていれば幸せ、という対象ではなく、それを使って誰にどんなことを?という視点と関係性を重視しています。
(努力できる時点で好きなものだといわれればそのとおりなのですが)
では、ただただ好きなものは何なのかというと、私の場合はそれが本であり、読書であり、本屋さんや本のある空間であり、そしてそこに行くことなのです☺︎
棚貸し書店やシェア型書店という取り組みについては以前から知っていたものの、棚を借りるのは今回が初めて。
自宅の本棚はワイン箱2つ分と決めているので、紙の本を買い、読んだら手放すという流れで蔵書の爆発をなんとかセーブしていますが、
こればかりはなかなか理性で抑え切れるものではなく、いつもはみ出しBOOKSが狭いスペースに居座っています。
まとめて売り払ってしまうには思い入れがありすぎたり、何度も買っては手放していたけどまた買ってしまったという、まるで呪われた市松人形のように、なぜか絶対に手元に戻ってくるような本たち。笑
最初は彼らに居場所を作ってあげるつもりで棚を借りようと思いたちました。
その際、自分の他の活動と同じように、この間借り書店も、自分や誰かの選択肢を増やし可能性を広げることにつながってほしいと思い、
愛すべきはみ出しブックスの中から特に「変化を後押しできる力を持つ本」を抜き出してみました。
間借り書店の屋号は「Change is good」といいます。
Change is "still " good
とはいえ、これは誰かに変化を奨励するものではありません。
奨励とはそれを良いことだとして強くすすめることだそうですが、その意図はないです。もしそうなら Change is Great とか Excellent になったことでしょう。
good という言い回しは、場面によっては「すばらしい!」ではなく「悪くない」「いいね」といった程度のニュアンスにもなりますし、何より私自身が、不安を煽って変化を迫るような風潮には閉口しています。
変わることも、変わらないことも本人の選択でどちらもOK、他者が踏み込める類の話題ではないと考えています。
大事なのは本人が納得をしているのか、自分の腹に落ちた選択をしているかどうかです。着目するのは、まずはこの1点のみで良いというくらい。
変わりたくない人・現状に満足しているという人までアラを探すように自分を見る必要はないし、満足という感覚は本人が持てていることが大事で、他者と比較したり無理に共有すべきものではないんですよね。
しかしながら、私個人はこれまでの自分の経験から「変化することはいいものだ」と思っています。というのも、
そのとき居る場所が辛かったり、希望が持てなかったり、あるいはもっと別の道や可能性があると知ったとき、迷いに迷ったり、悩みに悩んだりしても、変化を選ぶことで打開してきたことが少なからずあったから。
しかしそれはあくまで自分自身が、能動的にそれを選びたいと決めたことが前提で、うまくいかないとき匙を投げずに止まって考えることができるのは、自分が選んだ自覚と、意思決定までの思考の集積を持っているからだと思うんです。
結果として無駄になったり痛い目をみることがあっても、変化について私がおおむねポジティブなのは、損はしても後悔は少なかったからでしょう。
言うなれば、 Change is still good 「それでも、変化はいいものだと思う」というのがコンセプトなんですね。
基本的にはそんな考えでいながら、今回の取り組みにどんな意味を込めているのか、もうすこし詳しくお伝えします。
こちらは間借り書店 Change is good のステートメント。↓
棚にいっしょに置いてもらっています。
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変化のきっかけは至る所にありますが、それを発見し検討したとき、
結果として自分の内側にあるものと向き合うことになると思っています。
自分自身が最終的にその変化を選ぶかどうかというところで迷う人が多いことを 日々いろいろな場面で感じており、その理由としておおきいのが
多様な生き方のサンプルを知らないこと、ではないかと感じてきました。
変化はいつだって怖いし、先の予測ができないことはだいぶ避けることが できるようになってきましたが、内発動機ではじまる経験はジェットコースターのように いろんな感情をもたらし疲労困憊にさせられる一方で、いつのまにか自分を守り、 引っ張ってくれるような存在になることを私自身が実体験から学んできました。
そういう変化の楽しい面ももっとたくさんの人に知って、実践していってほしい。
そんな、きっかけをすでに見つけている人たちを後押しできるような本を選びました。
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この本たちは、何か変化を求める人に向けて、いま感じている何がしかのハードルを自身で乗り越えられるような言葉を置いておきたいと思って選んだものなんです。
変化はこわい
私自身の主張は「それでも変化は良いものだ」ですが、そんな戯言のもっともっと本能寄りにある感情としてやはり「変わりたくない」があります。
私はちょうど成人する頃、動物病院で働いていたのですが、一年半勤めたなかで最大の学びは「学習で得た理性は本能の前にはほぼ無力」という気づきでした。ちょっと身も蓋もない言い方ですが、
今でも、変える / 変わる必要があるという頭で考えたことに対して、「でも、変わりたくない」という、より本能っぽい欲求があまりにも強いことを知らされる場面に出会い、やっぱりこれは生物みんなに共通するものなんだなと感じることがよくあります。
特にコーチングセッションなどでは、わかりやすく変化を求める(という主訴を持った) 人とも多く接してきましたが、それが内発動機と繋がっていない場合、いたずらに時間がかかったり、途中でそれが自分のものでないと気がついたりして振り出しに戻ったり、方向性が変わることがあるんですね。
理性と本能のあいだには大きな開きがあると思うのですが、その間にあるのが「感情」で、私自身はこれが鍵となるような対話で、これまで無数の気づきを得てきました。
それで、変化を拒みたい本能には「変わることはうれしい、たのしい」といった感情で以て付き合うとうまくいきやすいようだ、という仮説を持っています。
「変わりたいけど、変わりたくない」
それがいちばん正直な心持ちなんだ!と叫びたくなるような状況に有効なのは、変化の過程や新しい取り組みそのものに、うれしさやたのしさといった感情が伴う工夫を入れていくことではないでしょうか。
選択肢を増やすことにも、可能性を広げることにも共通するのは、「現状から何かが変わる」という要素です。今の自分の方法論や価値観では突破できないとき。何かを変える必要が明らかなとき。
おかれた状況との関わり方を決める段階で、こわい気持ちは自然と出てくるものだと思います。
これが危険を避けるための本能だとして、それと天秤にかけているのが単なる理性的なメリットだとしたら、正直、負けて当然という感じがします。
have to の弱さはこの動機の弱さにあると思うんですね。
日々たくさん本を読み、セミナーや勉強会に参加して、自分の中で知識は増えるけれど、自分の外で起きていることにはあまり変化がなく、選ぶ行動はいつもどこか義務的である。
これを読んでくれている人のなかにも、自分にそういう違和感を覚えたことがある人は少なからずいるのではないでしょうか。
意地になったように理性に頼るほど殺伐としてつまらなくなり、ただ耐えてゴールを目指すだけの苦行になってしまう。それでも達成したいことや、短期的な成果を求めるものであれば良いのかもしれませんが、耐えきれずにやめてしまったり、なかったことになってしまうのはもったいないですよね。
現状から少し距離がある得たいものを得ていくには、時間も労力もかかります。だとしたら、楽しみながらやれる人がモチベーションと継続という観点で見たときに強い。
そんなことを、以前よりも強く感じるようになりました。それで、
現状から変化を経た先にある楽しみを、自分のこととして想像できるような10冊の本を選び、今回は棚をスタートすることにしました。
根暗な行動派
本そのものと、本とともにある時間。
これはどんなに自分が変わっても、環境に変化があっても、変わることのなかった自分の好きなもの。
普段のお仕事や主催のイベントでは、提供するものや、開いた場の責任者として振るまうことが求められるので、実際にお会いした方で、生身の私から「暗そう」という印象を受ける人はそれほど多くないと思います。(願望)
公にしている経歴を見たり、活動実績を読んでくれたりした人からは、バイタリティありますね、アクティブですねと声をかけられることもあり、確かにこれだけ見たらそう見えるよねと納得する自分もいます。
ただ、それは後天的に身につけたものというか、必要に応じてもとめた結果そうなっただけだとも感じていて、実際は本だけ読んでいられれば良いというようなあまり明るくない一面のほうが、もともとの自分の性質に近いというのが本音です。
それでもずっと変わらずあるのは、知らないことを知りたい。そんなシンプルな欲求だけです。
でもそれこそが、どんなときも自分を動かしてきたと思うし、その手段として本を読み、知らない世界を知って、そこから湧き出る興味をどうにも抑えることができないという理由だけで行動し、その過程や結果を誰かと分け合うことで、自分は感動し、結果変わってきたのかなと。
もうそれだけで満足で、規模やブランドではない、自分に合うサイズの関係性のなかで、価値観の合う人や、互いに何かを交換できる人と、それぞれらしくいられる環境をサポートし合いたいと思っています。
今日は、あたらしく始めた間借り書店について書きました。
読んでいただきありがとうございます。
最後に、SAZARE BOOKSさんのnoteから引用を。
これまで自分が過ごしてきて、自分のまま成長ができたと感じる環境には、生活に溶け込んだ文化の力が大きく関わっていたと、今さらながら気がついています。
いっしょにいすぎるくらい誰かといた時間も、ひとりで行動して自分を育て直すような時間も、音楽や映像や言葉に励まされてきたと思うんです。
他者に影響を受けるということは、その人たちが読む本や聞く音楽に影響を受けるということでもあります。ひとの言葉や行動の裏には、彼らが触れてきた文化、見てきた世界が必ずあると思うからです。
センスや価値観と呼ばれるものの手前には、そうした蓄積があるだろうし、そこに比較や競争を持ち込むことはあまりできないのではないかなと思っています。
中野新橋の SAZARE BOOKSさん。
東京都中野区弥生町3-21-5梶野ビル1-A
SAZARE BOOKSさんでの間借りは私個人の転居に伴い、2023年9月をもって終了しました。が、お店では引き続き他の棚主さんが棚を創られています。
2024年5月追記
2024年3月より、京都市内のこもれび書店さんにて棚をお借りしています。
京都府京都市上京区椹木町通烏丸西入ル養安町242−1 2階
お近くにお出かけの際は、ぜひお立ち寄りください☺︎
お問い合わせは各SNSでも受け付けています。
よろしくお願いいたします☺︎
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