2021年調理師活動実績
こんにちは。
今日は、2021年の調理師としての活動を振り返ります。
(前回書いたバリスタとしての活動実績はこちらです↓)
スラッシュキャリア は本業と副業という分け方でなく、「どれを本業と決めず、それぞれを並列に位置付けることで相乗効果をねらう」はたらき方。
取り巻く状況によって、どの職能、属性が強く出るかは変わりますが、3つのキャリアに優劣はつけていません。
それぞれの分野で得た経験や能力が相乗効果を為していると感じることも増えました。
さて、2021年は、昨年に比べて調理師としての活動ボリュームが大きかったと感じます。
料理代行で独立をしたり、イベントに誘ってもらったりと、自分だけではできなかっただろう経験もたくさんさせてもらいました。
記録動画があるものは添えているので、興味があるところだけでもご覧になっていただけると嬉しいです☺︎
時系列にみていきます。
1-3月
2019年頃から少しずつ主催をしている朝食とドリップコーヒーのポップアップイベント。
2020年後半からは《日曜の朝食会》としていっしょにつくるワークショップ形式にし、コンスタントに開催しています。
《日曜の朝食会》 直火式キューバサンド
3/7、自家製のローストポークとハム、チーズ、ピクルスでつくるキューバサンドの会を開催。
《日曜の朝食会》 生の春菊とグラナパダーノ、柑橘、くるみのストラクチャートースト
3月後半から、より自分のやりたかった形に寄せて、オーストラリア式のメニューでの朝食会に切り替えました。
この回は、生の春菊とグラナパダーノ、柑橘とくるみで構成するオープンなトースト。
「え、合うの?」と一瞬おもわせる素材どうしをパンの上にのせてあげる。
何を、何といっしょにどのくらいずつ口に入れるのかで、印象が変わるたのしさ。
その驚き、からのおいしさ。
そういうものが、現地で感動した食体験のうれしさではなかったか?
自分に原体験があって、心から楽しめることをやるほうが結果的に参加する人も楽しんでくれる、という感覚が徐々に身についていった時期でもありました。
朝食会の説明文より。
オーストラリア時代に学んだ、お皿の上で好きにくずして食べるストラクチャートーストは、組み合わせに意外性があったり、見た目にたのしさがあります。
この意外性やたのしさが真髄だと考え直して、チャレンジしていきたいとおもいました。
◎ひとつひとつの素材が引き立て合うこと
◎調味料で味をつくるのでなく、素材ごとの香りや味や食感で全体の味の構成をすること
このスタイルをストラクチャートースト(structured toast)と名付けました。
4月-5月
《山梨》 オージーブレッキー / アボカドスマッシュ
4月は、友人経由でいくつかおもしろいことをさせてもらいました。
3週目の週末には、 山梨県甲州市でコーヒー店を営むバリスタの友人に声をかけてもらい、オーストラリアスタイルの朝食イベントを初共催。
メルボルンでバリスタとして腕を磨いた彼女がコーヒーを、
ニューカッスルで調理師として働いていた私が調理を担当。
友人とは、東京のコーヒーショップで同僚で、オーストラリアに滞在していた時期も、現地でやっていたことも違いますが、
朝食の文化を知ってもらい、楽しんでもらいたいと考えたとき、同じ体験をもっているから、同じところを目指すことができます。
古民家カフェをお借りし、フードロスを出さないため完全予約制での開催当日。
お客さん同士がみなさんお知り合いで挨拶を交わしている様子、サービスをする側、される側というより、心地良い場をいっしょにつくっている感じ。
目指していたオープンでフレンドリーな空気を感じてもらうことができたかな、とおもいます。
《日曜の朝食会》 アボカドスマッシュのストラクチャートースト
翌日、東京でも同じメニューで朝食会を開催しました。
こちらは提供型でなく、いっしょにつくるスタイル。
同じメニューでも、切り口を変えるとまた違う体験になります。
《熊本》 野外イベントサポート
全国的にもイベントシーズンのこの時期、山梨出張の翌週は、
ドライブインシアター九州というイベントで、フードブースを担当することになった農家の友人夫妻に声をかけてもらい、調理サポートの機会を得て熊本へ。
イベント開催自体がむずかしい時期でもありましたが、他者との接触を減らせるドライブインシアターに新たな可能性を感じました。
《マルシェ出店》 スパイスビーストカレー
5月の連休、間借りコーヒーでお世話になっているPersimmonさん主催の miniminiマルシェに、スパイスカレーで出店させていただきました。
せっかくなので、あまり食べる機会のないものをと考え、友人から分けてもらった素材を中心に組み立てた、Beast = ケモノのスパイスカレー。
(鹿肉、イノシシ肉を使用)
自分自身がいろんなイベントに来場者、主催者として加わってきて感じることなのですが、
誤解を恐れずにいえば、催事の場で「おいしいもの」というラインを守ること自体は、そう難しくないとおもうんです。
というよりおいしさは前提で、それ以上におもしろいこと、
もう一歩踏み込んで言えば《驚き》が求められている。
そこで、制限があったとしても、みんなで共有できる何かたのしいことを実現したいと考えていました。
今ある環境でベストを尽くすのは、消極的な方法では全然なくて、実はすごくエキサイティングな体験なんですよね。
《日曜の朝食会》 ぶどうとトマトマリネ、モッツァレラのストラクチャートースト
日曜の朝食会も細々と開催していました。
種なしのクリムゾン、ミニトマト、ふたつの素材をつなぐのが、はちみつとビネガーのマリネ液。
キュウリスライスを挟んで口直し効果を。
丸い形と大きさを揃えた見た目もかわいいメニューになりました。
《日曜の朝食会》 その場でつくる自家製ツナ・コンフィ
5月後半、年に2回ある鰹の旬の時期にやりたかった「自家製ツナ・コンフィ」を使った会を。
春の初鰹、秋の戻り鰹と、カツオが入手しやすい時期は必ずつくる自家製ツナです。
日本のツナ缶はチャンクよりフレークが多くて、扱いにくいと感じていたので、
「自分で作れるなら作りたい」と考える人は多いのでは、という予測がありました。
朝食会はワークショップ形式なので、終了後にご自宅で作ってみた、との報告をしてくださる方も。
こういった《その後の変化》の報告はとてもうれしく、自分のモチベーションにもなっています。
6月-7月
《日曜の朝食会》 アナナス ・ ダブルメルト
6月後半、出回り始めたパイナップルをスパイスコンポートに。
その場でつくる《チーズボード》と、焼きたてのトーストに溶かすバターと合わせてのダブルメルト。
ある状態のものを違う状態にする、という特性、水や火の使いかた、素材の組み合わせで、おもってもみない世界が出現してくるたのしさ。
視点を切り替えるだけで同じ素材、手間でたのしめるのは、料理という発明のいいところですよね。
料理代行サービス 「HELP MEALS」 リリース
7月半ば、フリーの調理師 としてご家庭で調理作業を代行するサービス HELP MEALS をはじめました。
はじめた経緯と、なにを目指すのかはこちらのnoteに書いています☺︎
この8ヶ月前に、代行会社で料理代行の仕事をはじめました。
2020年春から、COVID-19の影響を観察し考えることはいろいろあったのですが、代行の仕事を選んだのは、
「積み上がる仕事に切り替えたい」という理由がありました。
動き自体は小さくとも、自分で決めてその結果を引き受けていけるようなやりかたでいろいろ試したい、という気持ち。
積み上がる仕事、とは何か?
技術や経験という言いかたもできますが、これはもっと広く、
「失われないもの」ではないか、と考えています。
自分が、環境が、変わっていっても失われないもの。
特定の技術・経験以上に、
それ(技能)を使って何を実現するのかと考える経験や、実際に受け取ってくれた人の反応を自分のなかに積み上げていく。
立場(雇用や就業の形態)に関わらず、自分自身のアウトプットと呼べる何かでないと、これは積み上がらないと考えていました。
たとえば、仕事と趣味の違いは何か?と考えたとき、ひとつには
「受け取る相手がもつ期待度」があるとおもいます。
仕事として選ぶのであれば、期待に応えつづけなければいけないし、
そのために、「なにを期待されているのか」と、「自分の技能のどこをどう使えばいいのか」が自分で把握できていることが求められます。
こんなイメージです。
専門性と、届けるツールに分けたとき、
価値を届けるという共通の目的ですが、使うタイミングがちがうんです。
この、専門性を届け、評価されるという一連の流れがあるもの。
そのためのいろいろを、自分で決めていくことができるもの。
同時に、評価も自分のものです。悪い評価でもです。
だからこそ努力できるし、この努力ができないことは仕事にはできないと私はおもっているんですね。
料理代行は、他人が家にくるサービスで、正直まだまだハードルの高い部分はあると感じます。
ただ、それを越えて依頼するというのは、本当にそれを必要とする人がそこにいるということでもある。
基本的には自分のためにしている仕事でも、喜んでもらえるという栄養素は自分にとっても多分必須で、それが積み上がることで、自分も変化していきます。
自分にもそれをやる理由がある、
自分のしていることは、顧客のみならず自分にとっても大きな意味がある。
そう感じられるスタイルで仕事をつくることができたのは、今年1年のなかでも非常におおきなマイルストーンであったとおもいます。
《山梨》 オージーブレッキー / オーガニック・スムージーボウル
7月の終わりに、山梨で2度目となる朝食のイベントを開催しました。
猛暑の山梨に合わせて、メニューはスムージーボウル。
食欲が落ちる夏の食事は、食べやすさが鍵となります。
食べたいと感じてもらえるものに栄養を付加する構成を考えたり、よりオーガニック、という視点を強めにして無農薬のビートルートやブルーベリーの調達をしたり。
チアプディンを加え、食事として満足感のある仕上げにして、パッションフルーツを大ぶりに使い、見た目、味ともにインパクトを。
2人で試行錯誤をしながら、イメージをすり合わせる作業は、前回よりも難しさを感じつつも、その流れ全体がやっぱりたのしかったです。
記録動画はこちら。
8月-9月
《日曜の朝食会》 夏の番外編・おしゃれでおいしいスムージーボウル
翌日は東京でもスムージーボウルの朝食会を開催。
おいしさと楽しさ、両方を感じてもらえる場をどう作るか。
課題を感じつつ、少しずつ何かを変えたり、戻してみたり。
こちらも小さなトライがつづきます。
《山梨》 周年イベント出張料理
スムージーボウルの会の翌週も山梨へ。
友人のコーヒー店の2周年イベントで、フードの提供を担当しました。
この日はお客さんを巻き込んでの、ハンドドリップの大会が行われており、競技の合間に食べてもらえるように、また菜食の方も多くいらっしゃるとのことで、
◎夏野菜の焼きマリネ
◎ブライニングチキンブレストとサルサ
の2種のサンドウィッチをお作りしました。
みなさんの競技を見て、バリスタとしてもとても学びの多い日となりました。
9月-10月
《日曜の朝食会》 ブライニング蒸し鶏 すもも 焼きパプリカ
9月には、ブライニングという調理法を用いたアップデート蒸し鶏のつくり方、活用例をシェアする朝食会を。
焦げを味と捉えること。
フルーツを食事に取り入れること。
日本ではまだまだ一般的でないけれど、海外では普通のこと。
そういう文化を部分的に取り入れることであたらしさを感じてもらうことができます。
自分が興味を持って深めてきたことが活かせる場を自分でつくる。
徐々にそういうことができるようになってきたことが嬉しいです。
《日曜の朝食会》 平飼いたまごのシャクシュカグリーン
この時期、お料理代行で「健康サポート」のご依頼が増えたり、担当のお客様でダイエットをはじめた方がいらっしゃったりと、
個人としても食事と健康について考える機会があり、フリーの管理栄養士さんが開催されているオンライン講座を受講しました。
学びを朝食会にも応用し、朝にタンパク質と野菜が摂れるメニューを。
また、自分の活動にSDGsへの観点をもっと入れていきたいと考えていたのもあって《卵》を切り口に学びをシェアしました。
記録動画はこちら。
《マルシェ出店》 魚とポークのダブルビンダルー
10/24には、Persimmonさん主催のイベントにて、2度目となるスパイスカレー出店をしました。
魚は刺身用をつかうことで骨の心配をなくし、豚バラを合わせた魚介豚骨系カレーを、アチャール4種とともに提供させていただきました。
11月-12月
《日曜の朝食会》 スモークサーモンとスクランブルエッグのストラクチャートースト
月に1-2回のペースで朝食会もつづきます。
11月には、サーモンエッグのストラクチャートーストを。
エッグスベネディクトだけが持て囃される昨今、ほぼ同じ材料ですが、こちらも簡単でおいしいですよ。というご提案をしたくて開催しました。
《番外編》 生姜収穫ツアー
11月半ば、春にも訪れた熊本に、生姜の収穫をしに行きました。
というより、どちらかというと友人に会いに(遊びに)行っています。
恥ずかしながら、以前は食べるものそれ自体について、またそれを取り巻く環境について、それほど深く考えることはありませんでしたが、
数年前に友人夫妻が農業をはじめ、取り組みかたを見せてもらい、その意図を聞く機会が増えたことで、素材について考えることが増えました。
土をつくって、野菜をつくること。
生業と生活。
狩猟や自然との関わり。
ひとつひとつ、自分たちで答えを出しながら進む姿勢に勇気をもらい、影響を受けつづけています。
山梨の友人もそうなのですが、
その人らしい発展のしかたを見せてもらえるのは、友人として幸せなことだな、と毎回感じます。
これはたぶん、簡単にそうなったわけではないことも知っているから。
《日曜の朝食会》 猪肉パンチェッタとリンゴ、チーズのストラクチャートースト
あっという間の12月。
1週めには、猪肉をつかって朝食会を。
ワークショップでは、友人のインスタグラムの投稿を見ていただき、どのように狩猟が行われているのかをお話し、みなさんからもいろんな知識のシェアがありました。
狩猟は通常の畜産とくらべ、議論のむずかしいトピック。
センシティブな話題ながら、食べものの選びかたや、食文化について話ができることに意味があるのかな、とおもいました。
《日曜の朝食会》 つくりおき視点!カレーの素でスパイスカレー
12/26に、年内最後となる朝食会を。
料理代行の視点から考えた《スパイスカレーの素》の作りかたと、活用例をシェアしました。
記録動画はこちら。
《初同時出店》 間借りスパイスカレー&コーヒー
同日午後には、間借りスパイスカレーを。
食事とコーヒーを同時に販売するのは何気に初めて。
トリッパ、豚肉、レンズ豆のカレー。
バナナのアチャールが思いのほか好評でした。
寒い日でしたが、常連さんを中心に楽しんでいただけたようでよかったです。
------------------------------------------------------
これから。
今日は12月29日現在までの2021年調理師活動実績をまとめました。
読んでいただきありがとうございます。
最後に、今のような活動のしかたを選んだ理由について少しだけ。
今年の夏に、自分のはたらき方についてnoteを書きました。
バリスタも調理師も、いろんな「自分の発揮のしかた」があれば、やめてしまう人が減るはず。
お店で働く以外の選択肢があって、
自分だからできる形を探り、リソースを最大限に活用できる場があって、
それを受け取り、喜んでくれる人を探すことができたら。
長引く緊急事態宣言下の東京で、そんなことを幾度となく考えました。
自分自身が進めるしかない、はたらき方のブラッシュアップ。
大変なこともありますが、取り組む価値もおおきいと感じています。
自分なりの答えも更新しつつ、来年もトライはつづきます。
いま関わってくださるみなさん、ありがとうございます。
そしてこれからあたらしく出逢う方々、たのしみにしています☺︎
お問い合わせは各SNSでも受け付けています。
HELP MEALS(料理代行)
よろしくお願いいたします☺︎
いただいたサポートは、新しい体験をしたり、応援したい方のサポートに使いたいと考えています☺︎普段の活動はこちらです💁 https://www.instagram.com/changeisgoodccc/