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センバツ出場校どうなった?『近畿ブロック7代表』


センバツ2024近畿勢の現在地


京都国際:京都大会優勝→近畿大会優勝

波乱続きの春季近畿大会2024


報徳学園と大阪桐蔭が揃って予選準々決勝で姿を消し、まさかの大本命不在というなか開幕した春季近畿大会2024。

それでも大方の下馬評は、やはり大阪と兵庫の各代表校だ。

春は秋と違って各府県の優勝校のみ、そこに開催地の2位と3位を加えた8チームでのトーナメントが組まれる。

兵庫公立3校→うち2校が初戦敗退

大阪桐蔭を破った大阪学院大高は府大会で初優勝を飾り、開催地の兵庫からは異例の公立3校が近畿大会に登場。

報徳学園を倒した東洋大姫路との競り合いを制し、決勝戦でも須磨翔風に打ち勝った社高校が兵庫チャンピオンとして有力視された。

東洋大姫路は3位決定戦でも接戦を演じた末、明石商に逃げ切られているものの、センスある2年生集団が主体の伸びしろ充分なチームだ。

大阪も初戦敗退で須磨翔風も2戦目大敗

そんな兵庫県勢で近畿初戦を勝ち抜いたのは、大阪学院大高を撃破した須磨翔風のみ。

社高校は奈良の天理に0-11と大敗し、明石商は近畿大会を制することになる京都国際に7回コールドで敗れている。

残る須磨翔風も続く智辯和歌山戦で0-12と、強力打線の前に為す術なし状態で終わった。

決勝戦も最後の最後に大波乱

これで智辯和歌山が決勝に進み、天理戦で完投したプロ注目左腕の中崎琉生を擁する京都国際と激突。

白熱した投手戦が繰り広げられたが、最後は呆気ない終幕だった。

智辯和歌山の先発はエースナンバーを背負う、2年生右腕の渡邉颯人。京都国際も同じ2年生の左腕、背番号11の西村一毅が先発のマウンドに上がる。

5回に智辯和歌山が1点を先制し、7回に2-2の同点に追いついた京都国際。智辯和歌山は8回から身長197cmの超大型右腕、中西琉輝矢が二番手を託される。

中西については、こちらの記事で確認してくれ。

中西は8回を無安打に抑えるも、9回裏にピンチを招いてしまう。

フォアボールと送りバントでランナーを得点圏に背負い、続く投球も自らの暴投で三塁進出を許した。

これにとどまらず、次の投球でも連続ワイルドピッチを重ね、三塁走者のサヨナラホームスチールでゲームセット。

ひときわ目立つ背番号11の巨人右腕は、ホームベース上で棒立ちのままだった。

京都国際の西村は5安打2自責点の完投で優勝投手に輝き、チームとしても中崎をバックアップできる夏の超絶戦力という大きな収穫を得ている。



センバツ出場の夏注目4チーム


春二冠の京都国際

新戦力が鍵を握る京都外大西

なんだかんだ言っても大阪桐蔭

有力1年生の加入で活気づく近江


京都国際


関西の春は波乱が尾を引く展開となった一方、京都国際の成長は著しい。昨秋の新チーム始動から振り返ると、着実に進化を遂げていることが伺える。

強力二枚看板誕生

まずは昨秋の京都大会決勝。

京都国際が前述したドラフト候補の左腕・中崎、京都外大西も府内屈指に挙げられる同じく左腕の田中遙音というセンバツ2024でも先発のマウンドに上がった、両エースの投手戦に。

結果は1-2と京都外大西に軍配が上がるも、今春は同じ決勝カードで2-1と京都国際がリベンジ

この決勝で先発完投を果たした2年生左腕の西村一毅は、春の全大会を通じて絶対的二番手に成長。

近畿大会は初戦のvs明石商と決勝のvs智辯和歌山で西村が、2戦目のvs須磨翔風で中崎が完投勝利を挙げている。

エース中崎をバックアップできる二枚看板が形成できた点は大きい。

攻守の要はプロ注の藤本陽毅

打線はセンバツ時とほぼ同じ顔ぶれになるが、近畿大会で4番を張ったプロ注目のショート・藤本陽毅は好調をアピール。

初戦敗退のセンバツで3安打と気を吐いた3番ショートは、近畿大会でも全試合で4番に座り打率5割を残している。

二塁打2本のほか、須磨翔風戦では三打席連続犠打でチームの勝利に貢献。

状況に応じて長短小技を自在に繰り出せる、守備レベルも高いプロ注目のドラフト上位候補だ。

福岡出身の藤本は中学3年時、京都国際の小牧監督宛てに自身の思いを綴った手紙を送り、そこから入学に至ったエピソードも。

高い身体能力を買われて夏の京都大会でレギュラーを獲得し、7番ショートで夏の甲子園にも出場した。

2年秋の新チーム結成後はエース中崎とのダブル主将でスタートし、センバツ後から藤本が単独のキャプテンとして始動している。

@o8bsbl_

活躍する姿かっこよかった輝いてた✨❤️ 夏もたのしみにしてます:’) #選抜野球 #高校野球 #京都国際 #藤本陽毅 #6 #♡

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今年はいつになく、ショートにドラフト上位候補が揃う。

関東では石塚裕惺(花咲徳栄)、後述する今大会にも出場した岩井天史(滋賀学園)と今坂幸暉(大阪学院大高)、そして彼らと遜色ない藤本陽毅の4人が専らプロの評価を集めている。

石塚に関しては、こちらの記事で確認してくれ。

1年生の左打者・小川礼斗

そんな京都国際には夏に欠かせない、新戦力としての期待がかかる1年生も入学している。福井嶺北リトルシニアで活躍した、俊足好打の大型外野手「小川礼斗」だ。

春季府大会ではベンチ入りを果たし、代打出場で空振りの三振に倒れるも、木製バットの登場で人目を引いている。

福井嶺北リトルシニア時代には東海選抜のメンバーとして、台北U15招待トーナメントに出場した経験を有する、今後の活躍が楽しみな1年生だ。


京都外大西


京都外大西も京都国際同様、センバツ時から大きなメンバー変更はない。

春季府大会は決勝で京都国際にリベンジを許したが、昨秋は近畿大会決勝まで進んだ実力チーム。「大野雄大2世」ことエース左腕の田中遙音、不動の4番に座る相馬悠人ら主力メンバーは健在だ。

中日・大野雄大の母校

中日ドラゴンズのエースとして活躍する大野雄大は、京都外大西から佛教大学を経てドラフト1位で入団した経緯を持つ。

高校時代は大野がエースを務め、センバツに出場している。

今年のチームは大野世代の2006年以来となるセンバツ出場を決めたことにちなみ、同じ左腕でエースの田中遙音が話題をさらった。

センバツ出場校として迎えた春初戦は、田中や相馬が控えに回りながらも5回コールド勝ち。

センバツではベンチ外の左腕・木邨歩夢(2年)が、公式戦初登板を3安打無四球の完封勝利で飾った。

この試合で4番に入った前川斗真(2年)もセンバツではベンチ外ながら、春季府大会はクリーンナップを担った新戦力の1人だ。

正捕手がエースナンバーで出場

この春は、ちょっとした珍事もあった京都外大西。

上羽監督曰く「エースナンバーを任せられる投手がいない」ことから、正捕手で主将の乾光葵が背番号1を背負っての大会となった。

エース田中は背番号18、それでも監督の無言の鼓舞激励に応えるように、天敵の龍谷大平安戦で力投を演じる。

ライバルは京都国際と龍谷大平安

龍谷大平安とは2009年の春季府大会以来、6連敗と極めて相性が悪い。今春は決勝進出をかけた準決勝でのカードが実現し、延長10回のタイブレーク戦を制した。

先発の田中は4失点132球の完投、チームとしては15年ぶりに龍谷大平安から勝利している。

そんな龍谷大平安も京都国際も、最後の夏は京都外大西とは反対ブロックだ。いずれも順調に勝ち進めば、龍谷大平安と京都国際が準決勝でぶつかる。

さしずめ夏の甲子園切符をかけた最終決戦は、3校の力が拮抗する京都国際vs龍谷大平安の勝者と京都外大西という構図が妥当だ。


大阪桐蔭


センバツを落とそうが、春の府大会で負けようが、日本一激戦区の大阪で「最強」の称号を有する大阪桐蔭のことだ。このまま引き下がる訳がない。

今年の大阪桐蔭も歴代と遜色ない最強チームだ。まだタイトルとは無縁だが、新チーム結成後の秋季大阪府大会と近畿大会を制している。

履正社との決勝戦は3-2と接戦にもつれ込んだ。続く近畿大会も準々決勝で報徳学園と白熱した試合を展開し、準決勝の京都国際、決勝の京都外大西を撃破。

力負けは2戦のみ

近畿チャンピオンとして臨んだ明治神宮大会は、初戦の関東第一を相手に打ち負けている。関東第一の先発左腕、畠中鉄心に苦しんだ序盤に得点を重ねられたことが最後まで響いた。

大阪桐蔭が力負けした試合は、この畠中を擁する関東第一戦、そしてセンバツで今朝丸裕喜に5安打と完全に封じ込められた報徳学園戦の2つだけだ。

プロ注目エース平嶋桂知

春の府大会は、前述した智辯和歌山の中西同様、エース平嶋桂知の自滅で大阪学院大高に敗れている。

平嶋は8回まで散発3安打13奪三振、無失点と完封ペースだった。

続く最終回、先頭打者をフォアボールで歩かせると、プロ注目ショートの今坂幸暉にライト前に運ばれ、悪送球により1-1の同点。

今坂を三塁に置いたワンアウトの場面で、平嶋のワイルドピッチにより逆転を許す。

大阪桐蔭は9回裏に大阪学院大高の先発左腕、前川琉人を打ち崩せないまま府大会ベスト8で姿を消した。

春は一部主力らベンチ外も吉野が活躍

ちなみに春季府大会は、大阪桐蔭の4番を張るラマルら主力を一部欠いている。

ラマルに代わり4番に座った左の巨漢スラッガー、吉野颯真(2年)は大阪学院大高戦を含む2試合で3安打と開花傾向だ。

吉野については、こちらの記事で確認してくれ。

夏に向けて仕上がり万全

春季府大会後は、ラマルらセンバツのスタメン組も練習試合で復帰している。平嶋も強打者の徳丸快晴も、リードオフマンの境亮陽も順調だ。

境亮陽については、こちらの記事で確認してくれ。

歴代1位 甲子園69勝を誇る西谷監督

センバツ2024で、甲子園通算勝利数の新記録を樹立した大阪桐蔭の西谷浩一監督。それまでの歴代最多勝利数は68、長きにわたり智辯和歌山を率いた高嶋仁監督だ。

そんな高校野球史に名を刻む2人の超絶レジェンドを語るには、論よりデータの方が早い。

高嶋監督:1993~2005年にかけて39勝

ここで少し整理すると、高嶋監督が智辯和歌山での甲子園初勝利は47歳。遅咲きながらも、ここから西谷監督が頭角を現す2005年までの甲子園13年間で39勝も挙げている。

まさに智辯和歌山が席巻した「高嶋野球の黄金期」と呼ばれる時代だ。これを踏まえた上で、西谷監督の13年間も見ていこう。

西谷監督:2005~2017年にかけて44勝

ここでは高嶋監督の智弁学園時代の甲子園勝利数7もカウントに入れて計上。実は智辯和歌山に赴任以前、奈良の智弁学園で甲子園7勝をマークしている。

在籍は1979年までの8年間。26~33歳まで智弁学園で監督を務め、34歳の時に智辯和歌山への異動に伴い赴任している。

で、話を西谷監督に戻そう。2017年8月、夏の甲子園終了時点で西谷監督は47歳。これは高嶋監督が智辯和歌山で甲子園初勝利を挙げた年緒だ。

この47歳以降、西谷監督の勝利ペースはさらに加速している

2018年以降の7年間で25勝。2020年はコロナ禍で春夏ともに大会が中止されているため、実質6年間で25勝のペースになる。

甲子園初勝利の2005年~2017年→44勝=年間約3.4勝ペース。

2018年~2024年(センバツ終了時点)→25勝(6年間)=年間4.17勝ペース

高嶋監督も47歳以降に爆速ペースで勝ち星を積み重ねているが、西谷監督の47歳以降はさらにギアを上げた二枚腰で猛進しているから末恐ろしい。

なお西谷監督と同じく、47歳で甲子園通算40勝以上を挙げているのは2人しかいない。

PL学園で一時代を築いた西谷監督が憧れる中村監督、半世紀近くにわたり横浜高校を率いた渡辺監督だ。

中村監督も西谷監督も甲子園初勝利は、ほぼ変わらない30代半ば。そして2人とも驚異的なハイペースで白星を積み重ねている。

当時のPL学園は、KKコンビを中心に歴史的なPL旋風を巻き起こした全盛期。中村監督も西谷監督も甲子園での勝ち方を熟知しているとしか言いようがない。

大阪に行けば絶対どこかに必勝本とか奥義みたいなものが、まるであるかと思わせるくらいの強さだ。

一方の渡辺監督は、今回の高校球界三大名伯楽のなかでは一番の年配者。やや高嶋監督に似た遅咲き気味だが、タイプ的には持続といったところだろうか。

松坂大輔を擁する最強横浜がセンバツでPL学園との延長17回に及んだ死闘を制し、この試合を最後に中村監督は勇退した。

横浜が無敗神話を築いたなかでも伝説として語り継がれているゲームだ。そして、この秋には29歳の西谷浩一も大阪桐蔭野球部の監督に就任している。

この頃は、横浜と智辯和歌山が頗る全盛期。PL学園の時代から移ろいつつあった時期でもある。そのチャンスを逃さず、辛抱強く盤石の基礎を築いたのが西谷監督だ

総じて「だから西谷監督が率いる大阪桐蔭は強い」。

期待の1年生「内海竣太」

富山遠征の練習試合では、1年生左打者の内海竣太スタメン出場し話題に。夏の出場機会は未知数だが、現在の打線でスタメンに名を連ねるようなら相当な器だ。


近江


近江は京都外大西と同じで、大きなスタメン変更はないが、強力な1年生打者が2人も加入している。吉田大翼(永平寺リトルシニア)と箕浦太士(大津瀬田ボーイズ)だ。

1年生リードオフマン吉田大翼

右打者の吉田はリトルシニアの日本代表メンバーとして、2023MCYSA全米選手権で打率6割(15-9)と活躍し8連覇に貢献。

春季滋賀大会では背番号6を背負い、走攻守・三拍子揃った1番ショートでスタメン出場を果たしている。

吉田の公式戦デビューは、伊香高校との3回戦。1点ビハインドの9回に代打で登場し、値千金の同点二塁打を放っている。

続く4回戦以降、決勝までの3試合でスタメン(1番ショート)起用された。

1年生4番打者 箕浦太士

箕浦は中学時代からスラッガーとして名を馳せた、182cm85kgという左の大砲。

近江時代に2年連続甲子園ベスト4の立役者として人気を博した山田陽翔(埼玉西武ライオンズ2022年ドラフト5位)が、箕浦の先輩にあたる大津瀬田ボーイズ出身だ。

エース兼4番の二刀流で「甲子園の申し子」と呼ばれた山田と経歴が同じことから、1年生大型スラッガーの登場は話題をさらった。

箕浦も吉田同様、デビュー戦で初打席初安打(レフト前シングル)を記録。

玉川高校との4回戦(4番レフト)でデビューを果たし、準決勝と決勝の3試合連続スタメンで起用されている。

二枚看板健在

2人のスーパー1年生が新たに加わり、課題の打撃に厚みが増した近江。今夏の滋賀大会は今までにはない重量打線の展開も予想されるなか、春の投手陣は安定感を見せた。

背番号はセンバツの時と入れ替わる。センバツで完投した西山恒誠が背番号10、エースナンバーは河越大輝が背負った。

西山は昨秋の近畿大会でマダックス(76球3安打完封)を達成し、ドラフト候補としても名前が挙がるMAX143km右腕。河越はMAX130km台の技巧派左腕だ。

なお西山といえばセンバツで登板した際、自身が憧れる山田陽翔の投球フォームと似ていることでも耳目を集めた。

春季滋賀大会の登板は、準決勝でのリリーフ救援のみ。先発の河越が6回3安打無四球の0失点に抑え、西山は3回を4安打されながらも3奪三振1自責点にとどめた。

続く決勝戦は昨秋の滋賀大会と同一カード。昨秋は滋賀学園に7-2と終盤に突き放したが、今春は0-1の投手戦にもつれ込んだ。

岩井天史を完全に封じた決勝戦

近江は河越、滋賀学園は背番号11の高橋侠聖という両左腕の先発で始まった決勝戦。河越は3回に初安打を許し、送りバントでランナー二塁とピンチを招く。

ここでラストバッターの高橋侠聖がセカンドの頭上を越すヒットで、ワンアウト一・三塁。続く1番打者をセカンドゴロに打ち取るも、ゲッツー崩れの間に1点を失う。

結局この1点を守り切った高橋がマダックス(96球5安打1四球での完封)を達成。

それほど頻繁に起こるものではないマダックスが、滋賀県の高校から立て続けに2回も出たことで耳目を集めた決勝戦でもあった。

実は河越も高橋に負けじと、9回97球7安打1自責点と完投。プロ注目の岩井天史を4打数無安打に抑えるなど、敗戦から得た収穫は大きい。

滋賀学園と4季連続同一カードの決勝

近江vs滋賀学園の決勝カードは前述した春秋にとどまらず、実は4季連続継続中。つまり昨年の春から続く因縁対決で、最後の夏もこの2強が妥当だ。

滋賀学園の投手陣は、近江と同じような左右二枚看板を形成。左の高橋侠聖と、エースナンバーを背負うMAX143km右腕の脇本耀士だ。

ただ近畿大会では、先発の高橋と二番手の脇本が智辯和歌山打線に捕まり、逆に完封リレーで0-4と初戦敗退を喫している。

近江の打線は智辯和歌山レベルまではいかないにしても、厚みが増したのは明白だ。岩井のバットおよびコンディションが試合を大きく左右するだろう。

強力1年生コンビの勢いが勝るのか、それとも滋賀学園がリベンジ魂で悲願の甲子園切符を掴むのか。ここが夏の滋賀大会における見どころだ。


近畿ブロックの厳選灼熱2チーム


岡田監督が母校を率いる東洋大姫路

下級生の台頭が目覚ましい智辯和歌山


東洋大姫路


投高打低の兵庫大会において、岡田イズムの攻める野球で絶賛再建中の東洋大姫路。

長らく大阪・履正社を率いた名将が母校の監督に就任し、今年で3回目の夏を迎える。

監督就任当初は、総工費1億4000万円を投じた室内練習場の完成も話題に上がった。

大阪桐蔭の西谷監督を一番てこずらせた岡田龍生監督のことだ、そろそろ出てきてもおかしくはない。

岡田野球と1億4000万パワー

やはり打撃に注力するだけあって、なかなかパワフルな選手が揃う。旧チームから主軸を担う、右スラッガーの露本一惺が中心選手だ。

クリーンアップは左の2年生、見村昊成白鳥翔哉真が露本の脇を固める。リードオフマンも左の俊足好打、渡邊拓雲(2年)が担う。

履正社が全国制覇した2019年メンバーとまではいかないが、あの時も井上広大(阪神タイガース)を軸とした強力打線を構築。

クリーンアップに2年生の小深田大地(横浜ベイスターズ)が座り、同じく2年生の池田凛は勝負強い2番打者として活躍した。

今年の兵庫大会は、近年稀に見る好投手のオンパレードだ。それだけに岡田野球の浸透力と1億4000万円の効果が気になる。

中学日本一の2年生エース阪下漣

東洋大姫路は投手陣も抜かりない。

春季兵庫大会準々決勝で報徳学園打線から13奪三振を奪い、3安打1失点で公式戦初完投を勝利で飾った中島賢也。MAX145kmを誇る、背番号10の頼もしい右腕だ。

とはいえ、今回の報徳学園は岡田監督の言葉を借りれば「飛車角抜き」の試合。プロ注目の今朝丸裕喜間木歩のダブルエースは温存している。

そうしたなか注目したいのが、東洋大姫路で2年生ながらエースナンバーを背負う阪下漣だ。

中学時代は兵庫西宮ボーイズに所属し、3年時に関西選抜の主力メンバーとしてボーイズリーグ鶴岡一人記念大会(日本生命カップ)で全国制覇

阪下は決勝の大一番で先発を託され、優勝に貢献している。

上背180cmを超える阪下は、切れ味鋭いMAX143kmのストレートを投げ込む本格派右腕。

以下の動画は負け試合ではあるが、東洋大姫路の2年生エースは優勝校を相手に堂々としたピッチングを披露している。


智辯和歌山


智辯和歌山も大阪桐蔭同様、なんだかんだ言っても強い。その一言に尽きるが、春季大会では1・2年生が素晴らしい結果を残したのでデータ付き解説にした。

東洋大姫路の2年生軍団はまだ未知数的なところがあるものの、智辯和歌山の有力下級生はそうではない。

1・2年を支える3人の先輩強打者

まずは3年生から。昨秋は主軸を担い、この春から新たにリードオフマンとして打線を活気づけた福元聖矢が好調をアピール。

元々は捕手を務めていたが、今大会は背番号9のライトで出場し早速、自慢の強肩も披露した。

旧チームから主軸に座る左の大砲、松嶋祥斗も一発が飛び出るなど名門の中心打者らしい凄みを見せている。

唯一チームで木製バットを使う不動の4番、花田悠月はドラフト候補に挙がる高校通算18発の右スラッガー。

今大会は不発に終わったが、伝説の3打席連続弾を放った男だ。最後の夏は花田のホームラン量産が、チームの勝敗を左右する。

上記3人の詳細については、後述の「智辯和歌山:主力全データ」で確認してくれ。

2年生エース渡邉颯人

気になる下級生は名門のエースナンバーを託された渡邉颯人、夏のキープレイヤーになる山田希翔松本虎太郎の二遊間コンビが、春の大会で躍動した。

MAX141kmの渡邉は右の本格派で、冬から春にかけての筋トレ強化に伴い10kg増量。下半身に厚みが増し、球速も自己ベストを更新している。

最大の武器は天下一品のコントロール三振も「ここぞの一番」で奪えるのが魅力だ。

中学時代にはジャイアンツカップ史上初の完全試合(大会初戦)を達成し一躍話題に。U15侍ジャパンにも投手兼内野として選出されている。

U15ワールドカップではオープニングラウンドの初戦に先発し、佐藤龍月(健大高崎2年)と堀田昂佑(広陵2年)による3継投の完封リレーでチームを勢いづけた。

藤田一波と奥雄大

日本は結果4位に終わったものの、侍ジャパン不動の1番打者として活躍を見せたのが、現チームメイトの藤田一波だ。

中学時代は取手リトルシニアの投手兼外野手として、ジャイアンツカップと全国選抜の優勝という二冠達成に貢献。

智辯和歌山では1年春から試合に出場する、強肩好打かつ広い守備範囲に定評がある2番打者だ。

同じく2年生の奥雄大と外野のレギュラーを争う。藤田も奥も春の大会で結果を出している。

2年生有望ショート山田希翔

そんな2年生のなかでも爆発的な活躍を見せたのが、身長183cmの大型ショート・山田希翔だ。得点圏に滅法強く、守備でも魅せてくれる三拍子揃ったプレイヤーだ。

春の大会は恐怖の9番打者として、超人的な得点圏打率を記録している。そして山田と二遊間コンビを組んだ、1年生の松本虎太郎も打ちまくった。

3人のスーパー1年生

松本は1年生ながら、春の全8試合に7番固定で出場している。そのほか1年生組では、山下晃平荒井優聖が強烈なインパクトを残した。

山下は智辯和歌山の初陣、vs和歌山高専で公式戦デビュー。

いきなり現れた背番号15の大柄な3番バッターが2安打1犠飛の4打点を叩き出し、球場もザワつきを見せたほど。

この試合を含めた4戦連続「3番レフト」でスタメン出場を果たした。ちなみに松本虎太郎の公式戦デビューもvs和歌山高専だ。

松本は圧巻の3打数3安打でデビュー戦を飾っている。

松本も山下も、さらには県立和歌山戦に代打で登場し特盛2ベースを放った荒井優聖も、公式戦初打席初安打をマーク。

荒井は取手リトルシニア出身の左打者で、捕手としての評価も高い。

秘密兵器「荒井優聖」

藤田一波は取手リトルシニア時代の先輩で、荒井自身も中学二冠達成時の主力メンバーだ。

ジャイアンツカップ決勝では先発の藤田、二番手を引き継いだ同学年でともに智辯和歌山に進んだ朝来友翔らをリードするなど、優勝に貢献した。

ジャイアンツカップ決勝後は旧ジャニーズの亀梨和也と1打席対決が組まれ、荒井は見事勝利している。

さらに補足すると荒井は前述した、近江のスーパー1年生・吉田大翼ともチームメイトだ。

2023MCYSA全米選手権の日本代表メンバーとして共闘し、8連覇の快挙を成し遂げている。

この夏は智辯和歌山の隠し玉として、ここぞという場面や試合で登場してくるに違いない。


智辯和歌山:主力全データ


花田悠月 177cm79kg 右投右打

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