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ヨロイマイクロノベル

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思いつくままツイッター上であげていた140字ほどのお話(あるいはその断片のようなもの)をまとめています。
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#小説

ヨロイマイクロノベルその21

201. 恋人が顔はめ看板ごと帰ってきた。大名の格好がやけに似合う。「ようこそ古都××へ」。…

5

ヨロイマイクロノベルその20

191. こんな夢を見た。「それってあなたの感想ですよね? と口にする彼氏を助走つけて殴った…

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ヨロイのマイクロ連作

「ネオンの虎」1. いよいよ王は狂い、ネオンカラーの虎を国中に放つ。春めいてきたから、とい…

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ヨロイマイクロノベルその17

161. 決起集会に集まったのは俺と犬(ジロ)。そもそも呼びかけてなどいないのだから充分な成…

3

ヨロイマイクロノベルその16

151. 無敵中だい、と朝からぶつかってくる近所の子供たち。夕方にも後ろから当たられた。ずっ…

5

ヨロイマイクロノベルその15

141. 川面は花びらで覆われていた。けれど一本も桜の樹が見当たらない。気になって上流へ向か…

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ヨロイマイクロノベルその14

131. ひたすら米粒に文字を書かされている。「ふっくら」「つやつや」「GGRKS」。謎の言葉もあるがこれも修行だ。できた米を集めて炊く。手を合わせながら火加減を見る。坊主から見張られている。やがて釜から湯気が立ち「あと15分」という文字になる。すでに焦げた匂いが充満している。 132. ベジタリアンNが泣きながら銘菓ひよこにかぶりつく。土産売り場のすぐ近くで。両手でつかんだひよこを頭からかじり、また別の一匹に取りかかる。そして新たな二匹、という具合に虐殺行為は続く。頭がこ

ヨロイマイクロノベルその13

121. スマートウォッチに表示されっ放しの「サンタ遅延のお知らせ」が消えた。ベルみたいな通…

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ヨロイマイクロノベルその12

111. 朝から玄関先のクリスマスツリーが騒がしい。大量の鳥たちがツリーに宿り、大きな黒い山…

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ヨロイマイクロノベルその11

101. 小人になったわが家族は剪定された樹を囲む。幹は白く細い枝も短い。頂上に紅い星の形を…

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ヨロイマイクロノベルその10

91. 小人が籠を担いでベッドを走り回る。かけ声を発して何周もする。前は父、後ろは祖父の姿だ…

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ヨロイマイクロノベルその9

81. 「僕をのぞく君もまた僕にのぞかれているんだからね」と深淵がささやいた。深淵はぐるぐる…

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ヨロイマイクロノベルその8

71. 母が四つ葉のクローバーを封筒で送ってきた。裏庭で見つけたらしい。幸せのおすそわけ。そ…

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ヨロイマイクロノベルその7

61. 新調したさらさらのシーツで眠ったあとも雨は続いていた。知らない子供に青い長靴を履かせて指定の施設へ出かける。だれがいい? と訊かれたので濁音が少ない方、と答え、最も濁音が多い方に一票入れた。帰り道、整髪料の匂いが漂うひと気のない通りを歩く。いまや子供は消えていた。 62. 初の握手会を前に手のひらがざらざらだ。ハンドクリームがないのではちみつで代用する。蒼い虫が群がりだした。くすぐったくて身もだえていたら、虫も散った。甘い香りを残し、肌はつやつやになった。けれど、握