しろうち/雑貨バイヤー

雑貨店のバイヤー。バッグ・服飾雑貨・ハンカチ・傘・バスグッズ・スマホグッズの仕入担当。…

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雑貨店のバイヤー。バッグ・服飾雑貨・ハンカチ・傘・バスグッズ・スマホグッズの仕入担当。趣味は野球観戦/スワローズ歴25年以上。

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    思想を持ったお店をつくったり、運営、デザインをしているひとやその感想などの記事をまとめるマガジンです。

  • バイヤーのお仕事/小売雑記

    バイヤーの仕事を通じて日々感じたあれこれや小売に関する雑記

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ストーリーに必要なのは、「何」を「どのように」語るか

小売の世界では、モノからコトへと言われるようになって久しい。市場には製品が溢れ、顧客はモノに価値を見出すのではなく、モノに付随するコトに価値を見出すようになっている。コトの価値として、モノにまつわるストーリーが重要になっている。小売におけるストーリーの重要性は、各所で触れられている。 ストーリーを語る上で重要になるのが、「何」を「どのように」語るかである。言い換えれば、語る内容と語り方の2つが大事になる。 「何=what」は、顧客に伝えたい内容であり、すなわち顧客へのメッ

    • オンラインに必要なもの

      昨今の社会情勢により、商談の形が大きく変わった。 バイヤーが行う商談は、簡単に言えば、自社の店舗で取り扱う商品を、取引先から購入することが目的である。 数ある取引先の、数ある商品の中から、製品のスペックやクオリティ、生産背景などをチェックし、自社の店舗にマッチする商品を選び出す。 さらに原価や数量、あるいは納期やオプションなどの諸条件を交渉し、取引を成立させる。 築地などの卸市場での仕入、あるいは八百屋などの個人商店での買い物を想像すると、イメージがしやすいか

      • 宣伝しない宣伝

        これからの小売において、大きく役割が変わるもののひとつは、プロモーション(宣伝)である。 従来の小売のプロモーションは、①機能や効果などの商品のプロモーション、②セールやポイントアップなどの販促プロモーション。③理念やビジョンなどのブランドのプロモーションの3種類にわけられる。 これまで小売業は、①の商品プロモーションと、②の販促プロモーションに注力してきた。 その結果、大量の単品、あるいは単企画のプロモーションが溢れ、宣伝が宣伝としての効果を果たさなくなった。

        • 大衆品と実用品

          日本のチェーンストア理論の祖、渥美俊一氏の提唱する品揃えの概念に「大衆品」と「実用品」という考え方がある。 大衆品は、Everybody Goodsであり、多数の人が共通して使用するポピュラーな商品のことである。これは言い換えれば、客層を広く取れる商品のことである。 一方、実用品は、Everyday Goodsであり、継続して使われる、何回も繰り返し使われる商品であり、消費支出の大半を占めているという。言い換えれば、リピートが発生する商品のことである。 渥美氏は、品揃え

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        記事

          今求められる、ブランドプロデュース力

          前回の記事で、これからは小売においても、体験が重要になり、今後は小売がエンタメにシフトすることについて述べた。 これまで小売が従事してきたモノを売るという行為は、体験の手段のひとつになった。 小売関係者がまず意識しなくてはならないのが、モノを売ることだけが小売の役割だという呪縛から自由になることである。 今までモノを販売することに時間のほとんどを費やしていた小売関係者にとって、マインドセットを切り替えるのは容易ではない。 しかし、ゆるやかに進行していた体験への

          今求められる、ブランドプロデュース力

          体験にシフトするには

          前回及び前々回の記事で、これからの小売はプロダクトよりもコンセプトが重要になり、 体験が価値になることについて言及した。 現代の小売は、POSシステムなどの活用により、品揃えの精度が上がり、手に入らないモノは少なくなった。 しかし一方で、どこでも同じ品揃えをするようになり、店舗の同質化が進み、それがショッピングの楽しさは損なわれている。 加えてECが普及することで、商品のバリエーション、ワンクリック決済や即日配送などの利便性は、ますますオンラインに代替されるように

          体験にシフトするには

          これから小売が提供するもの

          前回の記事で、これからの小売においては、プロダクト(製品)よりも、コンセプト(概念)が重要になり、その上でモノを売るのではなく、カルチャーを売ることについて触れた。 事業の継続について考えるとき、まず、顧客は何に代金を支払うかについて考える必要がある。 顧客は、プロダクトそのものではなく、提供する価値に代金を支払うのである。 これまで顧客が代金を支払っていたのは、プロダクトに価値があったからである。 今までになかったプロダクトを手に入れることにより、顧客の生活

          これから小売が提供するもの

          リアル店舗の価値

          オフライン店舗は今、大きな分岐点に立たされている。 成長性については、人口減少による国内市場の停滞に加え、頼みのインバウンドも昨今の社会情勢で先行き不透明になった。 また事業特性として、物理的なスペースの制限があるオフライン店舗は、品揃えの豊富さにおいては、ECに勝ち目はない。 人件費や家賃を店頭の売上だけで賄おうとするリアル店舗のビジネスモデルは、もはや限界に来ている。 リアル店舗が生き残る唯一の方法は、何かに特化した専門店・スペシャリティストアにシフトする

          リアル店舗の価値

          オンラインというバックヤード

          小売の商品分類の考え方に、アイテムとSKUという分類がある。 アイテムは、シャツやジャケットなどの品目を指す。 SKUはStock Keeping Unitの略で、商品の最小分類単位のことであり、アイテムをさらに細分化したものである。 例えば、あるTシャツの場合、アイテム数は1でもカラーがホワイト、レッド、ブラックの3色のカラー展開があれば、SKUは3である。 さらにそれぞれMとLの2サイズ展開であれば、3×2で6SKUとなる。 つまりTシャツ1アイテムに

          オンラインというバックヤード

          これからの、顧客と店舗の関係

          顧客と店舗の関係は、時代によって変化してきた。 戦後から現在にかけて、GMSやショッピングモールの台頭により、小売の大規模化が進んだ。 一方で、画一化されたチェーンオペレーションの弊害や、「お客さまは神様である」という言葉の誤った認識により、顧客と店舗の利益は、対立することが前提として捉えられることが多くなった。 なるべく安く買いたい顧客と、なるべく高く売りたい店舗では、一見利害が対立しているように見える。 人口増による高度経済成長、あるいは物質的に豊かになっ

          これからの、顧客と店舗の関係

          「何ができるか」から、「どう変わるか」へ

          商品を顧客に提案するときは、「この商品は〇〇ができる」と表現することが一般的である。 例えば洗剤であれば、「汚れをしっかり落とすことができる」や「部屋干しできる」といった要素がアピールポイントとなる。 しかし、これからは「〇〇できる」ということよりも、「〇〇できるから、どうなる」ということの方が顧客に伝わりやすい。 顧客が知りたいのは、「その商品に何ができるか」ではなく、「その商品を使うことで、自分の生活がどう変わるか」である。 つまり、「何ができる」はプロダ

          「何ができるか」から、「どう変わるか」へ

          決断疲れを取り除く

          小売の世界では有名なジャムの実験がある。 スーパーの試食コーナーで、片方のテーブルには6種類のジャム、もう片方のテーブルには24種類のジャムを並べ、どちらの販売効率が優れているかを検証するというものだ。 結果は、6種類のジャムのテーブルでは、試食した人のうち30%が購入したのに対し、24種類のジャムのテーブルでは、3%しか購入に到らなかった。 これはあくまで購入した割合の話で、試食の人数によって売上は大きく変動する。 100人の30%と1000人の3%は、どちらも

          決断疲れを取り除く

          マーケットの開拓者

          バイヤーの仕事は大別すれば、2つに分類できる。 既存商品の調整と、新商品の開拓である。 既存商品の調整は、すでに店舗で販売している商品の販売実績、季節指数、現在の在庫状況から、不足する分を補うために、追加で発注を行うか、あるいはこのまま売り減らして行くかの判断をすることである。 例えば、先週あるアイスを50個仕入れて、30個売れた場合、店の在庫は20個残っていることになる。 今週はさらに気温が上がって需要が高まり、45個売れると予測する。 この場合、今週は不足

          マーケットの開拓者

          「売る」の見直し

          店舗における接客は、近年はどちらかというと、ネガティブな文脈で語られることが多い。 アパレルなどでよく見られる例では、大半の顧客は販売員の過剰な接客を煩わしく感じている。 一方で、自身に課せられたノルマのため、心から勧められない商品も、顧客に提案しなくてはならないという自分の役割と良心の間で葛藤する販売員もいる。 これは顧客、販売員双方にとって、不幸なことだが、小売の現場ではしばしば散見される光景である。 本来であれば、自分がいいと思うモノを人に勧め、勧められ

          「売る」の見直し

          攻略本のある世界で

          オフラインでの活動が制限されたことで、小売のEC進出はますます加速することになる。 実際に今回の事態が後押しとなり、新しくECを始めるブランドも増えてきている。 既存の小売や飲食店にとっても、リスクヘッジの手段として、ECの在り方を再認識することとなった。 一方で、オフラインのデジタル化も進んでいく。 すでに中国では、生きたロブスターをデータ化することも可能になっている。 日本でも、東急ハンズがNTTと共同で、商品のマッピングサービスの開発に着手している。

          攻略本のある世界で

          小売は、個人技からチームプレーへ

          昨今の社会情勢により、多くの商業施設が休業に入った。 店を閉めたリアル店舗は、一時的にオンラインに活路を見出そうとする。 結果的に、ブランドにとっての未来を考えた時に、半ば強制的にオムニチャネルと向き合う事態となった。 オムニチャネルは、顧客が目的やライフスタイルにあわせて、商品の選定や受取の際に、オンラインとオフラインを使い分けることができるインフラのことである。 実店舗とECがそれぞれ独立しているマルチチャネルや、実店舗とECで在庫データ等を共有するクロスチ

          小売は、個人技からチームプレーへ