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これからの、顧客と店舗の関係

顧客と店舗の関係は、時代によって変化してきた。
 
戦後から現在にかけて、GMSやショッピングモールの台頭により、小売の大規模化が進んだ。
 
一方で、画一化されたチェーンオペレーションの弊害や、「お客さまは神様である」という言葉の誤った認識により、顧客と店舗の利益は、対立することが前提として捉えられることが多くなった。
 
なるべく安く買いたい顧客と、なるべく高く売りたい店舗では、一見利害が対立しているように見える。
 
人口増による高度経済成長、あるいは物質的に豊かになっていく過程では、対立関係にあっても事業そのものは伸長していった。
 
しかし、人口も所得も縮小していく国内市場において、今までのやり方では顧客、店舗双方にとって、魅力的な顧客体験を維持することは難しい。
 
顧客は自身の生活をより豊かにしたいと願っており、そのために店舗が存在する。
 
顧客の生活を豊かにしたい、されたい。
 
これこそが、顧客と店舗の共通の目的である。
 
そしてこれからポイントになるのは、顧客と対立関係ではなく、友人関係を築くことである。
 
友人関係はどちらが上でも下でもなく、あくまで対等である。
 
顧客を友人と捉えることで、友人の数(客数)ではなく、関係性の深さ(来店頻度)が重要であることがわかる。
 
顧客に誠意をもって接し、生活を豊かにしてくれる友人として信頼される店舗を目指すべきである。
 
 
従って、これまで新規顧客獲得に向けてきた施策は、既存顧客との関係強化にシフトする必要がある。
 
関係強化の施策としては、顧客のアフターフォローが挙げられる。
 
顧客は買った時点から、商品との関係が始まる。
 
使用方法やメンテナンスの提案、あるいは問題点のヒアリングなど、顧客との商品の関係を店舗が手助けしていくことも、大事な役割のひとつになる。
 
またアフターフォローを通じて、顧客との関係を継続することもできる。
 
販売した時点で顧客との関係が切れてしまっていた業態も、接点を持ち続ける方法を探るべきである。
 
また、プロモーションの手法も見直す必要がある。
 
友人同士でも、発信するメッセージが自身の宣伝ばかりでは、自分のことしか考えていないと思われて、敬遠されてしまう。
 
そのためには、発信するメッセージの中の宣伝の割合を控えめにしたほうが良い。
 
ポイントは、顧客とのキャッチボールである。
 
例えば顧客から質問を引き出して、それに答える形をとることで、顧客の問題を解決し、なおかつ、間接的なプロモーションにもなる
 
このときに宣伝や売り手の都合が先行してしまうと、やはり顧客から敬遠されてしまう。
 
顧客への対応は親身にかつ親切に行う必要がある。
 
友人関係に必要なのは思いやりと信頼である。
 
これからの顧客と店舗の関係において、共通の目的に向かって友情を育むことが、重要になるのである。

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