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「何ができるか」から、「どう変わるか」へ

商品を顧客に提案するときは、「この商品は〇〇ができる」と表現することが一般的である。
 
例えば洗剤であれば、「汚れをしっかり落とすことができる」や「部屋干しできる」といった要素がアピールポイントとなる。
 
しかし、これからは「〇〇できる」ということよりも、「〇〇できるから、どうなる」ということの方が顧客に伝わりやすい。
 
顧客が知りたいのは、「その商品に何ができるか」ではなく、「その商品を使うことで、自分の生活がどう変わるか」である。
 
つまり、「何ができる」はプロダクト目線であり、「どう変わるか」はカスタマー目線である。
 
そして、これからはカスタマー目線での品揃えが重要になってくる。
 
先の洗剤の例で言えば、「よごれをしっかり落とすことができるから、運動をする子供のいる家庭におすすめ」や「部屋干しできるから、一人暮らしの女性におすすめ」となる。
 
スペックだけで判断できる顧客もいるが、大多数の顧客へはシーンでの提案まで行う方
が親切である。
 
これは売場づくりにおいても同様だ。
 
特に実店舗は売場での資格情報が多く、単品の訴求に適しているECと比べて、シーンでの提案がより有効である。 
 
売場の一ヵ所だけでも生活シーンの提案があると、それだけで顧客へのメッセージとなる。
 
しかし、シーン別の売場をつくることは、単品分類の売場に比べると難易度が高い。
 
それは、単品別売場は商品選定の基準が明確であるのに対して、シーン別売場は、基準があいまいで、個人で思い浮かべるものが異なるからである。
 
鉛筆は誰が見ても鉛筆だが、デスクワークに最適な商品、という切り口では、人によってイメージはバラバラとなる。
 
シーン別の売場を作成する上でベストなのは、複数の意見を出しながら、最終決定を少数で行う、ということである。
 
例えば、鍋の好適具材で売場をつくるケースでは、該当商品をすべて集めようとすると、野菜売場の商品はすべて持ってこなくてはならなくなるだろう。この場合、どの商品を選んでも正解である。
 
正解の数と売場の面積は必ずしも一致しない。
 
シーンのつくり方によっては、正解の数と売場の面積が一致しないことが多々ある。
 
該当商品が多い場合、あるいは複数の切り口が考えられる場合、最終決定者が、商品をキュレーションする必要がある。
 
そして、そのキュレーションこそが、その店舗の個性となる。
 
このとき、顧客のペルソナを明確にして、その顧客が本当に使用するかどうかを精査しなくてはならない。
 
例えば、ターゲットを子供のいる若い母親に設定したにも関わらず、男性用の商品が混ざっていては、訴求ポイントはぶれてしまう。
 
ピックアップした商品を、1点1点ターゲットと照らし合わせながら、売場をつくっていく必要がある。
 
顧客への訴求は、商品スペックの紹介ではなく、使用シーンを提案することが、これからの店舗には求められるのである。

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