オンラインというバックヤード
小売の商品分類の考え方に、アイテムとSKUという分類がある。
アイテムは、シャツやジャケットなどの品目を指す。
SKUはStock Keeping Unitの略で、商品の最小分類単位のことであり、アイテムをさらに細分化したものである。
例えば、あるTシャツの場合、アイテム数は1でもカラーがホワイト、レッド、ブラックの3色のカラー展開があれば、SKUは3である。
さらにそれぞれMとLの2サイズ展開であれば、3×2で6SKUとなる。
つまりTシャツ1アイテムについて、6SKUの品番がある。
通常はこのSKU単位で管理する。
最適なSKU数については、いつもバイヤーの悩みの種となる。
単純にSKUが多くなれば、それだけデータや店舗での管理の手間がかかる。
また、同じ顧客が一人で同じTシャツのMサイズとLサイズを購入するケースはあまりないように、SKUを増やしても、1客あたりの買い上げ点数のアップは見込みにくい。
さらにSKUを増やすことは、それだけ在庫のコントロールも複雑になり、仕入や製造のコストも上がる場合がある。
このように販売する側は、効率をアップさせるために、なるべくSKUを少なくしようとする。
しかし、顧客は、MとLの2サイズよりも、S、M、L、XLの4サイズから選ぶ方が、自身により最適な選択ができる。
顧客にとってSKUが増えることは、必ずしも悪いことではない。
現在の最適な方法は、店頭の陳列は代表的なSKUに絞り、オンラインではSKUを拡大することである。
そして、店舗はECの在庫とあわせて接客を行うことである。
それは、オンラインをバックヤード化することでもある。
店頭で実際に商品を手に取り、不足しているサイズやカラーはオンラインで取り寄せるようになり、店舗はより体験性の高い空間になる。
オフラインにオンラインを組み合わせることで、顧客への提案の幅はぐっと広がる。
WEB限定カラーや、試着専門のショップなど、オフラインとオンラインの行き来は、今後ますます加速する。
そのためには、オフラインとオンラインのシームレス化が急務である。
現在はオフライン店舗とECは別の運営を取っている企業も多いが、やがてそのような区別はなくなり、オンラインもオフラインもあくまで顧客にとっての手段になる。
手段になったときに初めてスムーズにシームレス化され、顧客の買い物体験の利便性が増す。
これからの小売にとってキーワードとなる「常時接続」の実現のためにも、シームレス化はマストである。
リアル店舗では一定のアイテム数を維持し、オンラインでSKUを拡大することが、顧客にとってメリットのある品揃えになるのである。