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サンプル:「具体例から始めてみよう!」
具体例から始めてみよう!こんばんは!どどたん先生です!さて,この本は病理診断に関するあれこれを説明する本です.
立ち位置としては「スパルタ病理塾」とか「臨床に役立つ!病理診断のキホン教えます」といった本のパクリと思っていただいて構いません.基本の基というのは誰がどう書いてもだいたい同じような内容になります.
ちなみにこの手の本のさきがけとしては真鍋先生の外科病理学入門だと個人的には思っておりま
病理後期研修医と病理診断専門医の実力と研修について
とりあえずこういう記事を書こうと思ったきっかけは
その中の一連のツイートで種々の意見が展開されているがどうも自分の感覚と異なっているので,ここで情報を整理しつつ意見を述べることにした.
病理の後期研修医は役立たずのゴミ?後期研修医は確かによく上のツイートのように,言われる.それは後期研修医は一人でサインアウトすることができず,専門医を取得して初めて一人でサインアウトすることができるようになるか
病理診断における見えないものを見ることの大切さ
# ○に見えるものたとえば ○ があったとして,これはジュースですと言われると,じゃあコップか缶の底を見たものかもしれないし,もしこれがカメラですと言われると,レンズを正面から見たものかもしれない.
ごくごく当たり前のことなのだけれども我々が見ているものというのは文脈によって意味づけされている.言い換えると,文脈から切り離されたものはしばしばその意義を失ってしまう.
病理診断において,見えない
予後や治療方針が変わらない場合に組織型細分類にはどんな意義があるのか
# 実地臨床の枠組みの中における病理診断の意義病理診断はたぶん重要そうだ,ということを大体多くの人が「なんとなく」知っていると思う.じゃあ何が重要でなぜ重要なのか,ということを聞いてみると clear cut に説明できる人は医者であったとしても意外と少ない.
現状の一般的な医療においては
受診 → 検査 → 診断 → 治療 → 完治あるいは予後の判定
という流れがあり,その流れの中で病理は
どどたん先生の実況中継:異型 atypia と異形成 dysplasia について
異型と異形成は間違えやすい異型は英語で atypia, 異形成は同様に dysplasia と訳される,というよりも atypia, dysplasia の略に異型,異形成を用いているといったほうが適切か.
どちらも一見同じようなことを指しているように見えるがために,しばしば混同してしまう.というよりも我々病理医ですら,混同したような使い方をしている事がある.
まずは腫瘍に限った話をしてみよう
どどたん先生の実況中継:病理診断のトレーニングについて
病理診断の研修の厳しさを語る!!イマドキの病理医に必要な資質をどどたんせんせが語れるかはさておき,一言でまとめると内科医的な要素>外科医的な要素でどちらも必要といえる.実際問題としてどちらかが極端にかけたら,病理医としてやっていくのはかなり厳しい.
まあ,実際そういう資質のある人が病理にやって来るかどうかはさておき,求められている人材というのは得てしてそういうもの.よく昔言われていた,対人的に難
どどたん先生の実況中継:病理医が臨床医に何を求めてるか
はじめのはなしこれから話をすることはかなり主観が入る,というよりも病理医の間でも見解が違っているので断定的に言うのは難しい.まずここは病理医自身が臨床医とどういう関係だという認識をしているのか,ラフな歴史的背景を含めて話をしてみよう.
むかしむかし,病理医は...まだ 1900 年代なかばまで,病理医は病理学者であった.主として研究者として働き,その中で片手間あるいは研究の延長線上で診断病理に従
どどたん先生の実況中継:病理検体の切り出し
これからどどたん先生の模擬授業が始まります!全員着席!!
今日の症例は大腸がんの手術検体(仮想症例)です.年齢は 70 歳,男性,ほらここに手術検体があります.この手術検体を見る前にまず臨床経過から確認してみましょう.
まずは臨床経過の確認からみんなはこの患者さんがどうやって病院に来たと思う?当たり前の話なんだけど,大腸癌の患者さんは「私は大腸癌ですから検査してください」なんてプラカードを掲げ
技師を甘やかすと仕事をしなくなる
#ちょっと変わった話
ちょっとこれから変わった話をします。おそらく気分を害する人がいるかもしれません。まぁそう言うものなんだと思って聞いてみてください。
たまにこう言う声を聞きます。
技師を甘やかすと仕事をしなくなる。
おそらくこの声に対して共感を抱いている人は少なからずいるのではないでしょうか。またこういう声も稀ですが聞きます。
病理医を甘やかすと仕事をしなくなる。
どちらが正しいの
なぜ医師はインフルエンザの検査をしたがるのか
# インフルエンザの検査の是非について
どどたん先生が昔なんちゃって内科医をしていたときは冬の時期はよくインフルエンザの検査をしていました.その時の経験を踏まえた話です.その当時から若干時間が経ってしまいましたが(ゾフルーザの登場やタミフルの 10 台への投与禁忌解除など),その本質は変わっていません.
なおこの note では小児特有の病態についてや,いわゆる新型インフルエンザについては扱い
病理診断科における労働衛生 part 3
からの続きです.
# 自己研鑽と労働 ~ 目には見えない過労
通常は感染症などの問題をとりあえずべきだとは思いますが,少し視点を変えて,通常取り上げられにくい問題点について解説を加えてこの項を終わりにしたいと思います.
産婦人科や小児科などをはじめいわゆる激務の先生たちが多いのは重々承知していますし,病理と比べようと思っているわけではありません.そこは最初に言っておきます.
病理診断科が他
病理診断科における労働衛生 part 2
からの続きです.
# 法律により環境が大きく変化した
どどたん先生が病理に入る前のことですが,法律が変わってホルマリン(ホルムアルデヒド)の取り扱いが厳しくなりました.この法律でがらりと環境が変わりました.
これまでは病理の部屋といえばホルマリン臭くて息もしずらいところでしたし,ホルマリンに慣れてからが一人前だという先生もいたくらいです.しかし,ホルマリンは発がん性があるとされており,こんな
病理診断科における労働衛生 part 1
# 実は病院の中で病理は一番危険な場所
今回は病理診断科における労働衛生のお話です.我々は産業医学の講義で
作業管理
作業環境管理
健康管理
だと習います.どどたん先生は学生の頃は公衆衛生の試験はなく,レポートだけなのであまりまじめに覚えませんでしたが,試験に出すとすればこれは絶対的に外れない,原理原則に近いものです.
さて,病院の中で労働衛生に対する意識が最も低い場所でどこだと思いますか
我々病理医が診断するときに考えていること
このノートでは病理医が標本を診断をしているときに考えていることを書いて出してみます.このマガジンでは病理学の知識の詳細には突っ込まずに一般的なことを中心に書いていきます.
# 標本を見る前から
なにごとも準備が重要です.これは病理診断に限ったことではないのですが,そもそも標本を見る前からスタートしているのです.
ごく当たり前のことですが,そもそも標本として顕微鏡の前にあるという時点で一般的な
細胞診は診断か否か part 3
からの続きです.
# 細胞診断も当然医行為
病理診断は医行為という発令がされるとちょっとめんどくさいことになりました.というのは細胞診は検査として長らく行われてきたので,診断となると医師のサインが必要です.それまでは class II 以下の明らかな良性病変は臨床検査技師のみで報告をしていたのです.
それから全例細胞診は「診断」としている限りは医師の署名が必要となりました(現時点では検査と明