病理診断科における労働衛生 part 2

からの続きです.

# 法律により環境が大きく変化した

どどたん先生が病理に入る前のことですが,法律が変わってホルマリン(ホルムアルデヒド)の取り扱いが厳しくなりました.この法律でがらりと環境が変わりました.

これまでは病理の部屋といえばホルマリン臭くて息もしずらいところでしたし,ホルマリンに慣れてからが一人前だという先生もいたくらいです.しかし,ホルマリンは発がん性があるとされており,こんな環境下で仕事なんて到底許容できるものではありません.でも多くの病院では特に対策を講じることはありませんでした.

しかし法律が変わってからホルマリンの濃度が 0.1 ppm というかなり厳しい基準になってしまい,その法律を遵守するため push pull などの換気装置が導入されるに至りました.それまではあまりに刺激が強くて呼吸をするのも大変だった病理検査の臓器処理室が深呼吸をしても支障のないとても clean な環境になりました

# 産業医学の歴史を見ているようだ

少し話がずれます.われわれ日本人というのは,残念ですが法律なりルールで縛られないと自傷行為をしてしまう国民のようです.過労問題もそうですが,法律で縛らないことには休むことすらままならないのです.

産業医学の歴史を振り返ってみても,労働安全衛生法などの労働関連法案が制定されてから仕事中に亡くなる人が激減しています.これは公衆衛生の授業でよく習う有名な事実です.ここら辺の感覚というのはどうやら欧米の人には少し理解が難しいようです.

実際に今医師の残業問題が取りざたされていますし,我々は法律できちんと制定されることをとても願っていますが,それもこの歴史的な経緯があるからにほかなりません.

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