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1on1ミーティングの道具箱 - 第9回 プロのメンターが1on1のヒントとコツを紹介するシリーズ 道具:話を深める ②質問の基本

相手を理解する上で不可欠な聴くことと質問。話し手の「その人らしさ」が分かるようになるには? 話し手が思考を深め、新たな気づきを得られるためには? 効果的な質問のヒントとコツをご紹介します。

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継続的に結果を出していくには、粘り強さが必要です。
この記事を読む「3分ルーティン」を
ご一緒に続けながら現場で実践していきましょう。


「1on1ミーティングの道具箱 」シリーズ 第9回



現在地



はじめに


私たちは人生経験から
身についたよくない習慣に戻ってしまうこともしばしば。
それは自然なことであり、私を含む誰でもあること。

「1on1ミーティングの道具箱」シリーズで大切なことはこの3つです。


・失敗してもまた挑戦
・自分のペースで継続
・小さな進歩も楽しみ



第2章 ラポールを形成する



傾聴とは誠心誠意、集中して相手の語りや表現を聴くこと

 聴き手が話し手との関係の中で


3つの態度/姿勢
自分らしく落ち着きと余裕を持てる
話を聞いて相手を否定したり、すぐにアドバイスせずに受け止める
話し手のものの捉え方・考え方・感じ方にそって理解しようとする



前回の #8 "Quiz & FUN"


相手に質問するとき、どのようなことに気をつけますか?



この問いを考えながら自身の1on1ミーティングをふり返る。



1on1ミーティングで話を深める質問



1on1ミーティングでの聴き手/上司の役割行動(例)



「1on1ミーティングでの聴き手/上司の役割行動(例)」の図をご覧の通り
対話において適度に質問を交えることで、話を深めていきます

相手を理解する上で不可欠な聴くことと質問。
テニスや卓球のラリーを楽しむとしたら、相手のボールをしっかり見て、
注意深く返さなければなりません。聴く行為と質問も同じ関係。

「質問する」は、1on1ミーティングでの「傾聴の3つの態度・姿勢」を体現する重要なスキル

さまざまな「質問」を上手に使い分けてコミュニケーションの効果が
あがるよう、しっかりと要点を理解し身につけていきましょう。



目的


♠情報収集

♠確認

♠関心(傾聴の姿勢)の伝達

♠会話の促進(会話を弾ませる)

♠発問法(思考や気づきを促す)

♠感情への働きかけ(はっきりとしていない感情の表現を促す)



種類


基本的な質問♧

♧クローズド・クエスチョン

「はい」「いいえ」を特定したいとき、すぐに答えが返ってくる質問


閉じられた質問 (クローズド・クエスチョン)


特徴


・答えが決まっている
・深く考えなくても答えられる
・すぐに答えを得られる


有効な場面 ( ❕=ポイント)

・対話での緊張をほぐしたいとき(対話の導入時、アイスブレイク)

❕ 答えやすい質問で場が和み、対話の流れがよくなってきたら
  オープン・クエスチョンを使い会話を広げていきましょう


・情報を効率よく収集したいとき

❕ 「はい」「いいえ」でもないときにはうまく答えられず、返事が
  「えぇ、まぁ…」など曖昧になることがあります


・回答する負担を減らしたいとき

❕ あまり自己表現が得意でない人にはオープン・クエスチョンの後、
   疲れが出やすい傾向があります

     1on1ミーティングではあまりないケースですが、何を訊いても「はい」
     あるいは「いいえ」のどちらかに偏って返答する場面もあります
    

・相手の決断や決意を高めるとき(行動や責任を確認するためにも)

・ピンポイントで明確にしたいとき


留意点


・使い過ぎると相手は尋問を受けているような不快な感情をもってしまう
・相手から得られる情報が断片的になりやすい
・状況、理由、根拠まで話してもらうことはできない



♧オープン・クエスチョン

思いや考えを引き出したいとき、考えるきっかけとなる質問


開かれた質問 (オープン・クエスチョン)5W1H


特徴

・5W1H
・答えの範囲を限定せずに、相手が自由に答えられる
・気持ちや考えなどが自由に表現されやすい


有効な場面 ( ❕=ポイント )

・対話を広げたいとき、深めたいとき

❕ クローズド・クエスチョンで緊張がほぐれたら、
  オープン・クエスチョンを使って本題に入りましょう

  相手の話を促す「それから質問」

  例:「それからどうしましたか?」「それでどうなりましたか?」


・より多くの情報を引き出したいとき

❕ 聴き手(あなた)の予想外の情報が得られる可能性があります



・気づきや内省を促したいとき

❕ 考えなければ答えられない質問をします

  相手の心の中にある思いを整理して、言語化する機会を与えることに
  よって「内省」をも促します

  例:「どう思いますか?」「どのような気持ちになりますか?」


・自己表現を促したいとき

・思考を深めることを促したいとき


留意点

・自己表現が不得手な人には答えにくい(負担になる場合もある)



いろいろな種類の質問にはそれぞれに適した使い方がある



※  これから⇓ の質問の種類♦は次回「質問力UP」でご説明します。


♦スケーリング・クエスチョン

程度を把握したいとき

♦肯定質問

前向きに考えることを促したいとき

♦未来質問

未来志向で考えることを促がしたいとき

♦思い込み解消の質問

思い込み(一般化)を修正し、解決に向けたいとき

※ 第4回と第5回 参照

♦コーピング・クエスチョン

努力を承認したいとき

♦リフレーミング

見方/考え方を変えるとき

※ 第4回と第5回 参照



訊く ⇔ 聴く姿勢を示す非言語メッセージ


♥少しだけ話し手の方に身を乗り出す
♥自然なアイコンタクトをとる
♥話の内容に合った表情

第7回 参照



注意点


♠1つの質問に、1つの事がら

・1つの質問の中で、訊くことは1つだけ
相手の応答を待ってから、次の質問をする
・順を追って、1つずつ質問する


♠質問は分かりやすく

・相手に答えてほしいことを分かりやすく質問する
・意図の分からない質問にならないように、ことばの省き過ぎに注意する
・人、場所、時間、期間を明確にして、具体的に質問する


♠相手本位で

・相手が答えたい内容であり、かつ、聴き手が答えを求めている内容

❕ 相手(話し手)のための質問であって、
   聴き手が興味/関心で知りたい内容ではない


♠観察する

・質問に対する相手のことば(回答)だけではなく、表情・身ぶり・
 声のトーンなど非言語的メッセージをしっかりと観察する ※ 第8回参照



いかがでしたか?


1on1ミーティングの目的である成長や課題解決につなげていくには
まず相手を知ることから始めましょう。

質問することで得られる相手の生活、感情、考え、夢、価値観などから
「その人らしさ」が分かり心理的距離が縮まります。

対話を広げ、弾ませ、深めていくと相手は内省や気づきまで得られます。



次回、第10回では

「聴く姿勢」を土台に相手の話、ストーリーを深めていくスキル
     ②質問力UP
をご紹介します。


「1on1ミーティングの道具箱」シリーズを通して

複雑な状況をうまく処理したり、
コミュニケーション(会話/対話)を円滑に進めたりするために
一本やりではない、成熟したコミュニケーションができる「道具」を
身につけた「フレキシブルなマネジャー」を目指しましょう。



ポイント


質問することによって相手の話を深め、気づきを促す



次回のテーマ


相手の話を深めていくスキル ②質問力UP


#9 Quiz & FUN



「あなたは質問をするとき、何かクセはありますか?」



次回までに考えてみましょう!


メッセージ


You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.


馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない

イギリスのことわざ
馬が水を飲むかどうかは馬次第。➡ 人は他人に対して機会を与えることは
できるが、それを実行するかどうかは本人のやる気次第である。


with all of my thanks and friendship


お知らせ


1)
「1on1ミーティングの道具箱」シリーズ 公開  お休みの予定日
                      (変更の場合あり)                  

 7/17(日)8/14(日)9/18(日)10/9(日)

2)
「1on1ミーティングの道具箱」シリーズをお読みいただきありがとう
ございます。皆さまにお忙しい中より続けていただけやすいようにと、
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