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《Archives 汎優生主義 Pan-Eugenics》 【生存とテクノロジーを巡る覚書-20】

*通し番号13:属性;無記
1.
<b>:
生まれてくる子どもは、健康で五体満足であって欲しいと思うので、副作用が無ければ、遺伝子を変えて予防したい。

2.
<b>:
障害防止以外の外見等の希望による遺伝子操作は反対。カップルの個性が無くなるし、何でもかんでも自分たちの希望が通るようでは、人間らしさやぬくもりも感じられない社会になる。

3.
<b>:
人間として非常に難しい話だと思います。道徳的に考えて難しい。ある意味悲しい話だと思う。

 これまでの分析において明らかになった成果が、この最後の事例によって典型的な形で確認されている。まず、テーマ文1への応答記述においては、あえてコメントを付加する必要を感じられないまでに典型的な「新優生主義」的発想が表出されている。言うまでもなく、ここでの「健康で五体満足」という表現は、先の事例における「変な子」と鮮やかな対照をなしている。「副作用がなければ」という言葉は、あらゆる予測不可能なケースを含む技術的介入の「失敗」という意味での「副作用」によって「変な子」が生産されてしまう可能性に対する危惧や不安を表現している。

 テーマ文1に対する応答記述からテーマ文2に対する応答記述へと移行する過程で、これまでに分析された文脈生成のメカニズムがいわば再現されている。ここでは、とりわけ事例10の分析が想起されるので、再び以下においてそこでの分析を要約してみたい。

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777字

《汎優生主義》をテーマに複数人のケアマネジャーを対象に行った「会話的文章完成法(Conversational Sentence Compl…

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