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「分からなくていい優しさ」が欲しいなら、本を読み創作をしよう。
私は、まぁ、人よりか、いくらか読書が好きだ。
学生時代は教師に少しは目をかけられるくらいは読んでいた。国語の授業も好きだった。授業で取り扱わない、別ページの小説ばっかり読んでた。よくいるやつだ。
授業中にノートを取りながら、別のノートに小説を書いたりしてた。ちなみに会社ではalt+tabで画面を切り替えながらメモ帳に小説打ち込んだりしている。わるいやつだ。
話がそれた。まあ色々本を読んでいた
⑭あんたが眠るまでそばにいるよ/sequence
「俺たちここでおわりなんすかねぇ」
そう言った黒星の横を黒いナイフが駆け抜ける。私はぐっと笑う。
「そうかもしれないな」
「だいじょうぶすか」
彼の言葉にあまり元気はない。もうこいつともずいぶん長くやってるが、ここまで元気ないのは珍しい。
「まあな」
私はそう強がる。でもわかる。これが戯言だってこと。私のおなかにはひとつ穴が開いている。ぽっかりと夜が訪れたみたいにひりひりした現実
⑬溶けているんだよ?/less
君、といってもこの言葉は誰に宛てている訳でもないと言う事を、他でもないこの僕にまず断っておこう。
君は小説を読んだことがあるだろうか。僕はないんだ。嘘。実は一回だけある。それはある日、僕が潜水病になる前の遠い記憶にある。僕の家には本はなかった。本以外にもほとんどなかった。父が僕にそういったものを与えなかったからだ。父は僕に無を与えた。それってアイ・ハヴ・ナッシングってことなんだよね。
僕
⑫いしはおもいから、うちがわに、しずむ/inside
フォガティは家出をすることにした、から始まる小説のようなものを僕は書いたことがある。そしてそれをネットに放流したらどうなるかを眺めていたが、結局情報の海に翻弄されてくたびれただけだった。僕はその船が僕の元に戻ってくる前に削除した。エイミーと相談した結果そうなった。
僕はパーカーと分かれて(ちょっと不本意な形になったが)ホテルに向かった。白装束たちに教えられた通りに道を進めばすぐに見つかった。
⑪潜水的病/inside
「もういいぞ」
ぷつんと切られる。
「よくやった」
以遠さんの声が上からする。僕はしばし良く分からない。きょとんとする。
「お前の作り出した虚構でタマクラが満ちた」
以遠さんが満足そうに言う傍らで、黒星さんが「たいしたもんだよ、ほんとうに」と素直に感心している声が聞こえる。「ろくなやつじゃないけど、虚構の精度にかけてはお前はすげえやつだよ」と愛の無い言い方をする。
「私もそう思う」
ちゃん
⑩僕が落下してもヘアピンは浮上しない/outside
フォガティは、フォガティだよと言った。意味が分からない。そして隠し持っていた拳銃で僕を撃つ。風穴が開いた。口からごぽっと血が溢れる。弾丸の摩擦で焦げた肉のにおいが漂う。僕をかばった園原が力なく僕にもたれかかる。
「なぜだかはずしてしまった」
そしてきっきっとフォガティは笑う。声が反響する。僕は園原の身体から力が抜けていくのを一番近いところで感じている。力が無い感じだ。
「それ、もう一発は
⑨観測されるあちら側/inside
白い部屋だった。ホワイトホールがあるのだとしたらこんな感じだろう、という白さ。僕はそこにぽつんといる。そして同じようにヘッドホンのようなものがある。シンプルな造りで、丸が二つと放物線が一つ。機能美は、ある。それは認める。認めると、我慢していた吐き気が一気にこみ上げる。のどもとまでせり上がる。このとってつけたような、白いことしか取り柄の無い白さ。
だからこの空間が僕は嫌いなんだ。
「セット完
⑧紹介する自己/line
僕は嘘をつくりだすことを生業としている。職業名はない。よく間違えられるのは小説家だけど、そうじゃない。それはなりたかったけどなれなかった。ただそれだけ。今は違う。案外、自分が必要とされている場所が分かったなら、何もかも放り出してそっちにいってしまうものだ。夢も、それまでの努力も捨ててまでも。
黒星さんたちと会うまでの僕は主に、ふつうに生きていた。ふつうに生きるのも大変だ。苦悩も希望もごっちゃ
⑦海に潜られる/outside
翌日、僕の身体からはすっかり興奮剤の余韻は抜けていて、すっきりとした気持ちのよい朝を迎えた。ああーっ、とゆるい声を出して背伸びをする。窓からふんわりと朝日が差し込んでいた。いいね!
そして透明な壁越しに僕は園原を見た彼女はまだ寝ている。疲れているのだろう。いや、適度に疲れているからぐっすり眠れるのだろう。健康的な疲労から来る睡眠は何よりも変えがたい。僕なんかはすぐにへばって寝るのにも体力使っ
⑥独白される空想/inside
何もしなくていい自由と、何かしていい自由がある。僕達はいつもだいたいそこら辺で迷っている。だいたいは決断できない。決めたつもりになってるだけ。その決断は後の決断のための囮にすぎない。でも今僕は紛れも無く前者を勝ち得ている。なぜならこうして誰もいない公園でブランコに座っていられるから。漕がないよ。今はブランコを漕がない自由を選んでいる。
僕の独白は大抵くだらない。意味も無く言葉を語り続けるか、
⑤潜水問答/outside
内臓が砕けそうだ。
痛む腹を押さえ、ぼくは園原の後に続く。
「おなか減ったの?」
「うん」
流石に何か食べないとね、と彼女は言う。
そうだね。
でも今の僕に何かを食べることができるのだろうか。バロバロに多分いくつか内臓を取られてしまった。心臓の時はあまり痛まなかったのに。
「お腹が減りすぎてキリキリするよ」
きっと空腹のせいだ。そうなんだ。お腹が減った
④襲われる所為/inside
それまでにジャン・ジュネの花のノートルダムを読んでいたのはなんとなく覚えている。それで、急にそのページの半分が明るくなって、白い紙に反射した光を眩しく思ったんだ。僕は電車に乗っていた。電車の窓から差し込む光が、僕を思い出させてくれた。見渡すと周りはすごく満員で、立っている人たちはみんな例外なく辛そうだった。
「おい」
と隣で男の人が言う。
「お前本当に大丈夫なんだろうな」
③潜水誘引/outside
稚拙。。。。排泄。。。。夭折。。。。
この記号郡をぼくは妖艶だと思った。それらは僕らの目の前にあった。目の前に橋があって、そこの手すりの端に何かで彫ったように刻まれている。真鍮製の表面を削ってできたそれは、冷たく傷ついている。園原はそれを解釈しようと首をかしげたり、指でなぞったりしたが、やがて、時間の無駄よとため息を吐いてあきらめた。
「わたるんでしょ?」
橋、と彼女は僕に問いかける。
②される発狂/inside
エイミーが発狂したので、川に捨てた。汚い川だった。ごみが溢れていて、彼女は何度もそれらに引っかかった。その度に衣服が削られてエイミーはぼろぼろになった。その時初めて裸のエイミーを見たと思う。のっぺりとしていた。ごみに引っかかって不安だったけど、ちゃんと流れてくれた。戻ろうとしたとき、ポケットから紙くずが落ちた。僕はそれを拾って帰る。
エイミーを捨てた帰り、僕はバスを待ちながら及ばずとも風に転ばさ
①潜水思考/outside
破滅に捧ぐ歌を考えよう。
僕は今、橋を渡りながらそんなことを思っている。
ミシシッピ川みたいな脳の毛細血管に、思考を垂れ流しているのだ。うっかり人に聞かれないためにも大事なことはたくさんある。
「あなたがたはそうやって何かをいのることしかできない」僕の国の偉い詩人が言った言葉だ。思い返せばなつかしく感じる。
潜水病に陥りながら、僕は僕に潜る。そして溺死したピアノを弾くんだ。そ