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#毎日更新

道だけ

道だけ

ここまで
来てしまったのは
道だけだった

鼻唄まじりの太陽が
空から落ちたのも

雨が枯れた日に
あの人がいなかったのも

鏡に映ったあの日が
幻だったのも

どうでもよかった

ただ
これまでがあったから

歌え

歌え

俺たちは問う。強さとは、悲しさとは、あの日交わした言葉とは。時間ばかりが過ぎてゆく。あの頃の友はもういない。変わりゆくのは俺たちだけか、筋肉は隆光し、狡賢こくなり、女にうつつをのかす。それでも俺たちはまだあの魂の行方を知っている。赤を見ろ!あの暁を!紅蓮に焔を重なり、民の歓喜は神の御加護になるだろう。さあ、見せろその黒を。

さあ、歌え
ブレーメンは響く。若者の高笑いより華やかで、死者の声より陰鬱

もっとみる
焚火のそばで

焚火のそばで

ふとした瞬間に
扉が開き
生命のみなもとに
降りていくと
暗がりのなかで
静かな炎が燃えている
とっくに消えたと思っていたのに

じわりと心があたたまり
まるで焚火に
手を当てているかのような
心の落ち着く瞬間だった

そんな場所がまだ
干からびもせず
存在しているらしいのだ

二元論

二元論

強い弱い
成功 失敗とか
二元論はもうどうでもいい
そんなものは聞き飽きたから
ただ、そのままでいい
何も変える必要なんてない
ただ、自分でいたい
それじゃあダメなのか
そのまんまの自分を
ただただ、黙して
祝福したい

真実

真実

彼は、
深々とした暗がりにいて
いつまでも弱々しく
傷つきやすく
ありのままだった
しかし、真実だった

秋は蜜柑

秋は蜜柑

そうだよ。

秋は蜜柑、おちたところ
香るは金木犀の若葉だった

狼は地面を土を
いや、香りを舐めては
気づいた

駆け廻るは
牙の如く光り
比べぬ憎悪こそ
呼べもしない悦びだと

奥から続いた日々
雨に打たれる夜は白蔭
美しさの畏れは散った

忘れるものか。

メモ

メモ

空虚の中に漂う確たる美しさを見出しては
美しさの理を彫りだしたのである。
現存する其れが在らずとも現れるだろう。
彼は儚くともやってのけたのダ。狂わしい喜びに円舞することも、
歴史に悲鳴をあげることも、全てを捨て、前に進むのである。

                ———新雪散る金閣寺にて

あかし

あかし

悲しみは執着のあかし

でも、それだけじゃない

この世にいたことのあかし

たしかに、

存在したことのあかし

祝福

祝福

自分を祝福したい

一瞬でもいいから

この世に生まれた自分を

心の底から祝福できるのなら、

あらゆる成功も

地位も

名誉も

お金も

人が求める幸福は

いらないよ

蓮池に

蓮池に

蓮池に 落せし月は 夢の跡 連なる恋は 夜にとけゆく

癒

心の満足は、我が内以外に存在しないということ。
自分の外には存在しない。
どんな物質も、名声とかあらゆる欲望も、
この心の砂漠を癒すことはできない。
この、我が内にある喜び、静けさこそが、
心の砂漠を、渇きを唯一癒してくれる
オアシスなのだ。
その喜びとは、天地に遍く充満する気である。
宇宙である。創造である。

月

暁を わすれむ月は 宵貴き 君想う 光らし闇ぞ

ゼウス

ゼウス

巨大で
崇高で
何ものにも
媚びず
宇宙の王であり
力であり
生命であり
大地であり
創造と破壊であり
精霊であり
ギリシャの最高神である
その名はゼウス

宇宙よ

宇宙よ

あらゆる者たちよ
わたしにはあなた達しかおりません
私を抱き止めてくれるのは
あなたたちだけです
頼れるのもあなたたちだけです
あなたたちを頼らせてください
私を慰め
勇気づけ
癒してやってください
そう、信仰が
その信仰がわたしを自由にする
その信仰に価値がある