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スクール事業における『営業』の考え方

教育サービスにおいての営業を、いわゆるモノを売る営業と同じ感覚で捉えると失敗します。お客様が、売られるスタンスではなく選ぶスタンスでいるからです。

学校やスクールと営業って、なんとなくイメージとして合わないですよね。
ですが官民の違いはあれど、多くの学校やスクールを運営している母体には『営業』と名の付く部署や役職が存在しています。僕自身も、『営業統括部長』という肩書きを持っていますしね。

どうやら学校というサービスは、お客様側も運営側も営業に慣れていないというのが、僕のこれまでの感想。学生側が選んで学校側は受け入れるという構図が日本の学校では一般的ですから、無理もありませんね。もちろんその側面は大いにありますし、実際名のある学校は勝手に入学希望する生徒さんが多いと思います。しかしそういった学校ほど、対面での説明会や情報発信、その他の広報活動を全国で精力的に行っています。

私たちが運営している2ndPASSは、現時点で日本最大のパーソナルトレーナー育成専門のスクール。創業からわずか3年で全国展開し規模をここまで拡大してこれたのは、スクール運営と営業を切り離して考えなかったからだと思っています。
なかなかゼロから学校やスクールを作って全国に広げるっていう経験をしている人はいないと思うので、できる範囲でシェアしてみたいなと。


【スクール業における営業の役割】
まず、スクール業における営業の役割について。これは、モノを売るという従来の営業の考え方ではありません。『分からないことがあったらこの人に聞こうと思ってもらうこと』が役割です。相談役になれればいいわけです。
先述のように、お客様はモノを売られるつもりで問い合わせをしたり資料請求をしていません。選ぶための情報が欲しいだけなのです。ですから、そこにこちらから売るぞ売るぞ光線を出してしまうと、たちまち距離を取られてしまいます。そしてお客様は未知のことに対して不安だから、分からないことを相談できる相手が欲しい。ネットにも情報はありますが、リアルで相談したい。だから、マニュアル対応ではなくしっかり相談に乗ってあげなければいけない。
そしてこれもスクール業の特性の1つだと思いますが、入学することを既に決めてくれているお客様がいます。逆に、ただ何となく資料請求ボタンを押しただけで、問い合わせをしたこと自体覚えていないというレベルの人もいます。この両者に対しては営業活動は必要ありません。全体に占める割合も2割程度。残りの8割のお客様とどのようにコミュニケーションを取るかが、スクール業における営業の肝です。そして、いくつか選択肢がある中で自分のサービスを選んでいただく確率を高めるのです。

【お客様はどのくらいの期間検討するか】
そもそもスクール業は、営業期間が非常に長いサービスであると言えます。問い合わせてその日に入学する人はほぼいませんし、見学や説明会にお越し頂いた方も一度持ち帰って検討しますし、見学や説明会にはそもそも来ないという方も非常に多いです。長い方は2年前にお問い合わせて今入学するなんてこともあります。
『検討中』というステータスのお客様が大量にいて、この方々が残りの8割のお客様に当たります。この8割の方がどのくらい入学してくれるかがスクール業における営業結果を決めます。この方々に対して継続的にかつ効果的な情報を発信し続ける事がスクール業における営業活動です。そしてその情報の内容、発信のツール、頻度などを顧客ごとに選ぶ必要があります。これは、いわゆる営業企画というやつですね。


【お客様に対してどのようなアプローチをし続けるべきか】
これはあんまり詳しく書いちゃうと営業機密なのであれなんですが(笑)でもなんとなく考え方は書こうかな。
まず、お客様を一括りにしてはいけません。よく企業からメルマガが同じようなメルマガが届いて目を通さずに削除、なんてことありますよね。あれは、顧客リストの無駄遣いです。よほどの大企業や有名ブランドであれば効果はあると思います。規模にも寄ると思いますが、2ndPASSのような規模であればお客様のステータスや情報は把握できるはずです。1人1人何故検討中なのかを把握しなければ、その方への適切なアプローチ方法や内容を決めることが出来ません。ですから、顧客管理からもう営業活動が始まっていると言っても過言ではないのです。
そしてそのお客様の状態や要望によって、アプローチ方法は変えます。全員に同じ案内を送ることはありません。

【スクール業はモノ売りではない】
お客様は何かしら挑戦の助けになってほしかったり、仕事上スキルや知識を求めたり、職を変えたかったり、人生を豊かに送るために学びに来たり、形は無いけど人生においての長い期間と大きな金額を投じてスクールに通ってくださるわけです。簡単な決断ではありませんね。
そんなお客様に、検討を急がせて良い訳がありません。お客様が自信を持って決断できるまでしっかりとお付き合いする。質問されたら答える。こういう情報嬉しいかもな、と考えて情報をお送りする。
お客様がスクールに求めるのは、授業や講習の質の高さは勿論ですが、決め手は実はそこではないんですね。だって勉強したことがない内容をどうやって判断できるでしょうか?
決め手となるのは、安心感、信頼感、誠実さなど、定性的なもの。
それをお客様にお伝えし続けて、自分達のサービスを選んでいただけるようにすること。それが、スクール業においての営業です。

(あくまでも今のところ、そして個人の見解。悪しからず…笑)

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