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#56 大阪についての愛を語る(前説)

 ここのところ、書くことから遠ざかっていました。何でだろうね。でもきっと、そういう時が定期的にあるんじゃないかな、と思っているんです。好きなものって、没頭しているときは楽しいけれど、時々苦しくなるんです。

 昔は連続投稿記録が自分の中のモチベーションの一つとなっていて、それに向かって頑張っていた。きっと私は怠惰なので、生活する上で何か突き上げてくれるものがないとダメなのかもしれない。そう、私は基本的にダメ人間なのです。

 毎日決まりきったルーティンワークに飽き飽きしていて、常に何か自分を刺激してくれるようなものを探している。仕事もそれなりに忙しくて、気がつけば夏休みを取り損ねていて。とにかくちょっと疲弊していたのかもしれない、精神的な意味で。

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 9月の中盤、思わず夜行バスに乗りました。かなり突発的に、計画性もなく。お金の節約はもちろんだけど、楽して到達するのは何か違うような気がしてバスに乗ったんです。コロナも最近は脅威に翳りが生じたのか、バスの中はほぼ満席状態になっていました。思いのほか寒くて、備え付けのブランケットにくるまる。柔軟剤の匂いがする。

 向かった先は大阪。なぜ大阪かというと、至高のカレーを追い求めて。なーんて言うとかっこいいけど、要はただ普段とは違う場所で美味しいカレーを食べることによって違う景色が見えるのではないかな、と思っただけなんですよね。(マータあなたカレー食べてるんですか、もはやインド人ですね、と友人から言われたのだけど、正しくそのトーリかもしれない。だって美味しいんですもん。辛いカレー食べると生きている気がするんですもん)

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 午前6時半、大阪の梅田駅に到着。夜行バスに乗ったことのある方はご存知かと思いますが、夜通し揺れるバスは定期的に休憩と称して止まるのでうとうとしていても結局起きてしまうのです。異常なスピードで道路を走るのでガタガタしておちおち眠ることもできない。寝不足のまま大阪に降り立つ。仕事で来ることもあるけれど、自分が馴染みのない場所に降り立つのっていつでもワクワクしますな。

 梅田の道には夜行バスからガラガラ荷物を運ぶ人以外、人気が無くて不思議と安心する。誰も干渉してくる人もいないし、静かで空気はピンと張り詰めている。風が心地よく、空にはうっすらと月の残像が見える。お店はまだほとんどがシャッターを閉めたままでまるでゴーストタウンのようだった。

 当然ながらカレー屋さんもやっていないので、東梅田の駅ビル地下にあるサンシャインという喫茶店でひと心地つきました。昨日の夜から何も食べていなかったことを思い出して、レーズンパンを注文。甘酸っぱさが身体に染みるわけです。気が付いたら珈琲お代わりして2時間くらい滞在してました。

 喫茶店を出てそのまま1時間くらいかけてただただ歩く。スーツケースをゴロゴロゴロゴロ転がしながら。橋を渡って向かった先は、肥後橋。そのままカレー屋さんを2軒梯子したところでキャパシティを越えました。本当に美味しいカレーでした。美味しいご飯って、腹持ちがとても良いのです。次の日になるまでお腹が減らなくなるくらい。

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 今回旅の拠点としたのは鶴橋駅。初めて降り立ちました。もう休みの間はひたすらカレーを食べて漫画を読み倒そうと思っていたので、漫画がたくさん置いてある宿泊場所を選択。実は滞在中台風が通過して電車が18時くらいに計画運休になるという事態に見舞われたのですが、その間ひたすら漫画を読んでいました。

 それはさておき。何気なくふらりと外に出て探索してみると鶴橋は元々コリアンタウンが近くにあってとても楽しい場所でした。コリアンタウンといえば一応東京の大久保駅あたりにコリアンタウンがあるのですが、そちらはもう完全に観光化していてライトな雰囲気。大阪の鶴橋にあるコリアンタウンは割とガチめで見て回るだけで面白かったです。

 なんて表現したら良いものか。アジアの屋台村を訪れたような感じで、日本の商店街ともまた違う様子でした。面白かったなぁ。至る所に韓国料理がひしめいていて、懐かしい気持ちになりまして。今回鶴橋で正解だったかもしれないなぁとそんなことを思っていました。

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 それから丸々5日間ひたすら大阪にある有名なカレー屋さんをめぐりまして。個人的に好きだなぁと思ったのは四天王寺夕陽ケ丘駅近くにある「虹の仏」というカレー屋さん。店員さんがRainbow Buddaという帽子を被っていて思わずクスリ。

 大阪のカレーはどちらかというとスリランカのカレーに近く、それが日本のだし文化と相まって東京とは異なる独特の美味しさがあるんです。カレーのお供にザーサイが出てきたりとか、少し奇を衒った副菜もあったりとか。東京は美味しいカレー屋さんってかなり分散しているけど、関西は割とギュッと凝縮されていて回りやすい。

 結局蓋を開けてみれば毎日最低2食はカレーを食べ、その合間に珈琲を飲む、その繰り返しでした。このループは最強。美味しいものは正義だなぁ。……とまあここまで書いて思いましたが、もはや大阪というよりまたカレーについての愛を語っているような気持ちになってきます。

 いやいや、本当に楽しかったんですよ大阪。やっぱり自分が普段いる場所から離れて知らない街をただ当て所もなく歩くのって楽しい楽しい楽しい!次に何が出てくるかわからない感覚。朝と夜でまた景色も変わる。これって結果的に海外を旅している時と似ているのかもしれないですね。

 これは感覚的なものなのかもしれないですが、東京にいる時よりも大阪の方が人の温もりというか感情みたいなものを感じることができた気がします。確かにその場所にたくさんの人たちが息をしているような感じ。私は相手のことをよく知らないし、相手もしかり。それであっても確かにお互いの空気を感じるような雰囲気がちょっと新鮮でした。(つづく、たぶん)


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