クオンの本のたね

出版社クオンのWebマガジン「クオンの本のたね」です。クオンで出版される「本」の種(た…

クオンの本のたね

出版社クオンのWebマガジン「クオンの本のたね」です。クオンで出版される「本」の種(たね)たちです。 書下ろしエッセイや翻訳など、ここから大きく育ち、美しい花や葉を茂らせていく様子をどうぞ応援してください。 http://www.cuon.jp/

マガジン

  • 張碩(チャン・ソク)詩選集、つくっています

    韓国の詩人・張碩(チャン・ソク 장석)さんの日本オリジナル詩選集を、戸田郁子さんの翻訳で2024年夏に刊行します。このマガジンでは、訳者の戸田郁子さんと編集者・五十嵐真希さんが、詩選集が完成するまでの制作日誌をお届けします。

  • 言語の旅人、米国人韓国語教師R・ファウザー 外国語学習を語る

    鹿児島の大学で日本人の学生を相手に韓国語を教え、ソウル大学の国語教育科初の外国人教授となった、ロバート・ファウザーさん。 「どうすれば外国語が上手くなるのか?」 「外国語学習に王道はあるのか?」 といった学習者にとって永遠の悩みから、 「人類はどのように外国語を学んできたのか?」 「そもそも人が外国語を学ぶ理由は何か?」 などの広いテーマまで、これまでいくつもの外国語を学んできた「言語の旅人」ファウザーさんが韓国語で綴ったエッセイです。 教え子でもある稲川右樹さんの翻訳でお届けします!

  • 【近刊】CUON韓国文学の名作006『幼年の庭』

    韓国の激動の歴史の中で読み継がれてきた作品を紹介するシリーズ「CUON韓国文学の名作」006『幼年の庭』(呉貞姫〔オ・ジョンヒ〕著、清水知佐子訳)の関連記事まとめページです。

  • あなたが輝いていた時

    圧倒的に輝く不滅の光ではなく、短く、小さく、何度も点灯する光の一つひとつが人々に希望をもたらし社会を変えていく――。そう信じてやまない財団法人ワグルの理事長のイ・ジンスンさんは、2015年から市民参与政治と青年活動家養成を目的とした活動を精力的に続けています。 そんな彼女が、6年間にわたって122人にインタビューし、ハンギョレ新聞で連載したものの中から、12人分のインタビュー記事を収録したのが『あなたが輝いていた時』(文学トンネ)。日本語版の出版(2023年予定)に先立って、noteで連載公開します。 翻訳は、同人誌『中くらいの友だち』を主宰し、韓国の社会事情にも詳しいライター・翻訳家の伊東順子さんです。

  • 韓国文学の読書トーク

    「百年残る本と本屋」を目指す双子のライオン堂の店主・竹田さんと、読書会仲間の田中さんによる、「新しい韓国の文学」シリーズをテーマ本にした読書会形式の連載です。(毎月25日更新)

最近の記事

詩の翻訳にまつわる、あれこれ

 張碩(장석 )詩人の邦訳詩集の作業が進行中だ。夏頃には出来上がるだろう。金承福さんから邦訳の依頼を受けたのが2023年7月だったから、ちょうど1年がかりで実現の運びとなる。  詩人は1957年生まれ。1980年に朝鮮日報の新春文芸で詩人としてデビューを果たした。その後40年の沈黙を経て、2020年に初詩集を刊行し、2023年に4作目となる詩集を発表した。邦訳詩集はこの4冊の中から、61編を選んだものだ。  金承福さんは張詩人の詩集を読んだとき、「病んだ時代への治療薬のよ

    • ハン・ガンによるエッセイ『そっと 静かに』プレイリスト

      ハン・ガンのエッセイ『そっと 静かに』(古川綾子訳)には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、そして自らつくった歌について綴られています。 1章、2章のエッセイで触れられている音楽をできる限り実際に聴いていただけるよう、プレイリストを作りました。 本とともにお楽しみください。 *音楽を連続再生したい方はこちらから 太字はエッセイのタイトルにもなっている曲、それ以外はエッセイ内で触れられている曲です。 下線付きのものはYouTubeへのリンクを設定しています。 1

      • 【イベントレポ】韓国の詩人と考える文学の世界<後編>

        ―辻野:オ・ウンさんがデビューした2000年代は詩の形態が多様化し、参与詩が環境問題を扱う「生態詩」へと変質したり、いわゆる「回想の詩学」が流行ったりした、ある種の過渡期だったと思います。オ・ウンさんは同人「チャンナン」のメンバーでもありますね。詩壇のフェーズが変わる中、どういう思いで詩を書き続けてきたのですか。 オ:私がデビューしたのは21歳で、同時期にデビューした詩人たちは7~20歳も年上でした。私は詩壇における生存戦略として、両親より年下だったらヌナ(姉さん)、ヒョン

        • 【イベントレポ】韓国の詩人と考える文学の世界<前編>

          ー辻野裕紀(以下 辻野):お二人とも詩人ですが、世代も性別も作風も違います。お互いどんな存在ですか。 オ・ウン(以下 オ):韓国の詩の世界でとても頼もしい方で散文もとてもお上手です。詩人は自分の作品だけに注力して書いていると思われがちですが、他の人の作品を読み、見えない刺激を受けるんです。その刺激を一番くれる方だと言えます。 キム・ソヨン(以下 キム):オ・ウンさんは韓国の詩の領域を広げた方です。オ・ウンさんの詩を読むと、タンクを持ち上げるヘリコプターを思い起こします。す

        詩の翻訳にまつわる、あれこれ

        マガジン

        • 張碩(チャン・ソク)詩選集、つくっています
          1本
        • 言語の旅人、米国人韓国語教師R・ファウザー 外国語学習を語る
          1本
        • 【近刊】CUON韓国文学の名作006『幼年の庭』
          1本
        • あなたが輝いていた時
          12本
        • 韓国文学の読書トーク
          17本
        • どこにいても、私は私らしく
          49本

        記事

          【対談】四元康祐×オ・ウン :空っぽの存在として、今ここの現場を見つめる(後篇)

          今ここ、現在の詩人として四元 話題を変えましょう。僕は韓国の詩の歴史に興味があるんだけれども、ウンさんは詩を書くなかで詩の歴史を意識することはありますか。 オ・ウン 実は詩人になろうと思って詩壇にデビューしたわけではないんです。浪人時代にノートの隅に書き付けたものを兄が見つけて、これは散文詩みたいだからと、私に内緒で新人賞に送ったんです。そうしたら当選してしまいました。 だから、詩の勉強をしないまま詩人になってしまったんです。デビューした後に、詩を読んで勉強しました。

          【対談】四元康祐×オ・ウン :空っぽの存在として、今ここの現場を見つめる(後篇)

          【対談】四元康祐×オ・ウン :空っぽの存在として、今ここの現場を見つめる(前篇)

          世界中の詩人と交流し、連詩や対詩、翻訳などで様々な話題を呼んできた詩人の四元康祐さんと、詩人、エッセイスト、ポッドキャスト司会者などオールマイティに活躍する韓国の若手詩人オ・ウンさんとの対談が行われました。オ・ウンさんの邦訳詩集『僕には名前があった』(吉川凪訳、クオン)の感想から始まり、「詩人という存在」「詩と散文」「言葉遊び」など話題があっという間に広がった、詩と詩人を巡る対談の模様をお届けします。 詩人としてのギャップ四元 オ・ウンさんの詩集『僕には名前があった』を読ま

          【対談】四元康祐×オ・ウン :空っぽの存在として、今ここの現場を見つめる(前篇)

          【ためし読み】CUON韓国文学の名作006『幼年の庭』

          韓国の激動の歴史の中で読み継がれてきた作品を紹介するシリーズ「CUON韓国文学の名作」。 第6弾は、韓国におけるフェミニズム文学の源泉ともいえる作家、呉貞姫による小説集『幼年の庭』です。 収録作品8編の中から、著者自身をモデルにした表題作「幼年の庭」冒頭を公開します。ぜひご一読ください。  ワット アー ユー ドゥーイング? あなたは何をしていますか? アイム リーディング ア ブック。私は本を読んでいます。ワッツ ユア フレンド ドゥーイング? あなたの友だちは何をしてい

          【ためし読み】CUON韓国文学の名作006『幼年の庭』

          10月5日刊行・K-BOOK PASS 06『空間の未来』(ユ・ヒョンジュン著)ためし読み

          日本語版序文よりこの本は、新型コロナウイルスの勢いがピークに達した時期に書かれた。現在は日常生活でマスクを外せるほどコロナの影響から解放されつつあるが、ここに書かれた内容はポストコロナ時代にも読まれる価値があると思う。ある人の本性を知るためには、危機に晒された時の様子を見るべきだといわれる。緊迫した危機の状況で本来の姿が現れるからだ。建築と空間、そしてその中の人間と社会も同じだ。コロナ禍のような危機に直面した際に見られる姿が、私たち人間と社会の断面を如実に見せてくれると思う

          10月5日刊行・K-BOOK PASS 06『空間の未来』(ユ・ヒョンジュン著)ためし読み

          【書評】都市で暮らし、行き交う人びとに言葉遊びで想像を膨らませる|オ・ウン『僕には名前があった』|評・友田とん(代わりに読む人)

           折り目正しく働く日々の通勤でふと「橋の上に上がろう」と「決心した人」、大勢が集められた講堂で自分は人なのだろうかと自問したり、罵り合いながらも、やはり人でありたいと願う人(「望ましい人」)、そうかと思えば、挫折を知らず「この世で最も背の高い家を建てよう」と決断した途端に、目の前を高い壁に阻まれる「凍りつく人」。オ・ウンの詩集『僕には名前があった』には、都市で暮らすいろいろな人が集まっていた。その日常の身近な言葉で綴られた詩はエッセイのようでもあり、また突如少ない字数で語られ

          【書評】都市で暮らし、行き交う人びとに言葉遊びで想像を膨らませる|オ・ウン『僕には名前があった』|評・友田とん(代わりに読む人)

          原始的感覚の力 ソン・アラム 【後編】/『あなたが輝いていた時』

          音楽だろうが映画だろうが小説だろうが、結局は全て同じこと 高校生の頃からミュージシャンとして活動をしながら、ソウル大学の美学科に入学しましたよね。そして小説家になった。そんな話を聞いた人たちはどんな反応をしますか? 尊敬というよりも、ちょっと悔しがるんじゃないですか(笑)。IQテストも満点だったとか? IQ満点の方には初めてお目にかかります。 ――(きまり悪そうな表情で)出版社にそういうことを宣伝に使わないでくれとずっと言っているんですが…… 気になるので聞きますが、満点

          原始的感覚の力 ソン・アラム 【後編】/『あなたが輝いていた時』

          原始的感覚の力 ソン・アラム 【前編】/『あなたが輝いていた時』

          ソン・アラムはラッパーだった。1998年に高校の同窓生たちとヒップホップグループ「真実が抹消されたページ」を結成し、『大学生は馬鹿だ』『お母さん』『燃え尽きたタバコを消す』などの論理的かつ社会に批判的な曲を発表して、一部に熱狂的なファンをもつミュージシャンだった。 超高速ラップの「ソン伝道師」という名で知られた彼は、10年後に自らのバンド経験をもとにした『真実が抹消されたページ』(2008)を発表して小説家デビュー、龍山事件*¹をモチーフにした『少数意見』(2010)に続き、

          原始的感覚の力 ソン・アラム 【前編】/『あなたが輝いていた時』

          苦しみの話を、苦しみながら聞いてくれる人  ク・スジョン 【後編】/『あなたが輝いていた時』

          あまりにも残酷すぎて、信じられませんでした いつから韓国軍の民間人虐殺についての研究を始められたんですか? ――よもや民間人虐殺の論文を書くことになるとは、自分でも思っていませんでした。当初からベトナム戦争における韓国軍の研究をしてみたいという気持ちはあったのですが、実際に勉強を始めたところ、どのベトナム人教授も韓国軍については知らないんです。本当にどの教授も。だからベトナムの公式な記憶の中には、韓国軍は存在していないのです。 どうしてなんですか? ――ベトナム人の立場か

          苦しみの話を、苦しみながら聞いてくれる人  ク・スジョン 【後編】/『あなたが輝いていた時』

          苦しみの話を、苦しみながら聞いてくれる人  ク・スジョン 【前編】/『あなたが輝いていた時』

          ク・スジョンが伝えるベトナム人の証言は想像を絶するほど残酷だ。1999年5月、『ハンギョレ21』*¹を通して初めて、韓国軍によるベトナムの民間人虐殺のレポートした時、ク・スジョンはホーチミン大学の歴史学科に在籍する修士課程の学生だった。韓国軍の公式記録からまるごと抜け落ちた歴史、事件から30年以上も封印されてきた野蛮と狂気の実態が、30代の若き女性研究者によって初めて暴きだされた瞬間だった。ベトナム反戦運動の嵐が米国をはじめとした全世界で吹き荒れていた時も、ソンミ村虐殺事件*

          苦しみの話を、苦しみながら聞いてくれる人  ク・スジョン 【前編】/『あなたが輝いていた時』

          韓国文学の読書トーク#16『アオイガーデン』

          田中:今回紹介する小説は、いつもとちょっと雰囲気が違います。 竹田:SFっぽい雰囲気を感じる、短編集でしたね。 田中:そして、特徴的なのは人によっては過激だと感じる、グロテスクな表現が含まれているところでしょうか。 竹田:人によっては、手に取るときに注意が必要かもしれません。僕は、日本での2000年代作家たちの作品をちょっと思い出しました。 田中:あの時も人間の身体性とグロテスクな描写を追究した作品がありましたね。 竹田:でも、今回の課題本はちょっと違う感覚もあったので、それ

          韓国文学の読書トーク#16『アオイガーデン』

          淡々と生きるための、揺るぎなさ イム・スルレ【後編】/『あなたが輝いていた時』

          ものごとにはすべて二面性がある ものごとにはすべて二面性がある。彼女の両親は経済的には無能であり、子どもの教育にも無関心だった。ただし特別な援助もしない代わりに、特別な干渉もしなかった。大らかな両親と兄妹たちは、イム・スルレがどんな決意や選択をしようが決して止めはしなかったし、なんの計画もないまま無為徒食の日々を送っていても文句を言わなかった。家には童話の一冊もなく、高校2年生までテレビもなかったほど、知的、文化的には恵まれない環境だった。そんな渇望感のせいなのか、中学校の

          淡々と生きるための、揺るぎなさ イム・スルレ【後編】/『あなたが輝いていた時』

          淡々と生きるための、揺るぎなさ イム・スルレ【前編】/『あなたが輝いていた時』

          今回のインタビューは起伏がなく淡々としている。炭酸飲料のような刺激的な味わいも、唐辛子のような激辛の一打もない。熾烈な争いが火花を散らす世の中で、熱すぎず、冷たすぎず、甘くも、酸っぱくもない、微温の心地よさはむしろ貴重かもしれない。生き馬の目を抜くような日々、尖った言葉の応酬に疲れ切った時に、まるで温かな重湯がしみわたるように身体の内側から癒やしてくれる人に出会った。ソウル市聖水洞のオフィスの前でその人が、にっこりと微笑みを浮かべた顔でゆっくり車から降りてきた時、私には初対面

          淡々と生きるための、揺るぎなさ イム・スルレ【前編】/『あなたが輝いていた時』