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#ロックンロール

クロッカス

中身の無い歌を
垂れ流すラディオ
僕にだけ聞こえる
ロックンロールを
掛けてくれないか
心が壊れそうな夜は
狂った風が吹き荒れる
街に足を向けられず
揺籃に籠る僕に
クロッカスの花を
たわむけてくれないか
見えない何かに怯える夜は

シナモンを効かせた
ミルクティーを出す
夜にだけ開くカフェで
何時ものレモンパイと
ミートパイを買おう
古びた店に置かれてる
トランジスタアンプから
流れるqのロックンロールに
身を任せて踊り疲れたなら
ZX-9Rユメタマを飛ばして
夜の街を駆け抜けようか
直ぐに消えちまうあの
蛍の光よりも速く

錆びたギター

僕の錆びたギターは
二度とメロディを奏でない
スタンドに乗せられ
風化して逝くだけ
僕の心に灯る炎はもう
消えてしまった
ロックンロールで震えない
體で生きて行くだろう
搔い摘んだ夢を磨り潰しながら

献花

しけた毎日を
破壊する
ロックンロール
安いラジカセに
カセットテープを
嵌めたなら
パーティーが
始まるのさ
今は灰に為った
貴方にだけ捧げよう
献花よりも
綺麗で素敵な
ロックンロールを

左利きの医師は鉄の羊の夢を見ない

白衣を着込んだ
左利きの医師は
鉄の羊の夢を見ない
そんな話をしていた
あいつは死んだ
とても凍れる冬の夜に
外は月が朧気に
唯々輝いていたんだ
俺達は何となくだけど
気が合ったんだ
好きな単車や
ロックンロールの話で
偶に盛り上がった
深くは知らなかったけど
それで良かったんだ
だけどあいつは死んだ
とても凍れる冬の夜に
無残な骸を晒して

ラブ・ロック

ラブ・ロックで
ジントニックを
ロックンロールが
鳴り止む前に
ラブ・ロックで
ウオッカトニックを
ロックンロールが
消え去るまで
幾ら飲んでも
酔う事の無い體に

ダンスシューズ

エナメルの
ダンスシューズが
ロックンロールを
奏でる瞬間
皆が震えるだろう
少女の魔法の様に
誰も動けず
凍り付くだろう
名前の無い
祈りに似た呪いの様に

気に入らないのさ

磨いたブーツで
夜の街を歩くヤンキー
目に映る者の全てが
敵に見えたんだ
気に入らない奴を
殴り倒しても
心は何も晴れず
ミルクホールへ向かう
ロックンロールを聞く為に

ピンク・ドラゴン

イングランド製の
トゥカップ入り
ドクターマーチンを
履いたなら
ピンク・ドラゴンへ行こう
オールバックで
髪を纏めて
買い物をしよう
少年の日の心を
今日だけは隠さないで
ピンク・ドラゴンを出よう
色褪せる事の無い
ロックンロールを聞きながら

ステッピンブーツ

パレードグロスで
輝いている靴で
君とステップを踏もう
ロックンロールを
聞きながらさ
リズムの少し崩れた
歌が好きなのさ
素敵だと僕は思う
本当なんだよ
幾つになっても
僕はロックンロールを
好きと言いたいんだ
言葉では伝えられないけど
君は分かってくれる
そんな気がするよ

チェリークーぺ

夜中にギグを行う
ミルクホールまで
チェリークーペを飛ばそう
番犬の監視を巧く
すり抜けたなら
あの娘を迎えに行こう
ロックンロールが
鳴り響く店のドアを
開けて君と踊ろう
磨いた靴底がすり減るまで

レモンズ

何も起きない日々が
幸せだと知らずに
彼らは大人に為る
誰かに怯えながら
キャバレーで
レモンズが歌う
ロックンロールが
街外れに流れて
僕は少しだけ泣いた
生きる事は悲しいから

ティアーズ

赤いドリズラーに
着替えたならば
43回目のロックンローラーへ
今直ぐに還ろうか
ティアーズをグラスに
注いだならさ
共にダンスを踊ろう
パレードグロスの靴で

ルージュプランツ

ルージュプランツが
咲き乱れる小道で
貴方と唇を重ねよう
心が離れてしまわぬ様に
少し歩いたら
ミルクホールへ向かおう
ロックンロールが
鳴り止まないあの店へ