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新人さんへ伝えたい「正しい知識の身に着け方」

■「正しい知識を身に着けることの大切さ」

スピードが求められる社会において、如何に戦力となる人材を素早く育てるかが企業にとって重要になってきています。
そのスピードは、テクノロジーの発達とともに、今後も更に加速するでしょう。

「言われてやること」=「業務」
「考えてやること」 =「仕事」

と言われておりますが、企業としては「仕事ができる人材」すなわち、「事業を発展させられる人」「新規事業を考えられる人」をどのように育てていくかが重要になってくるわけです。

よく「仕事は見て覚えなさい」と言われたものですが、確かにボスや先輩の立ち振る舞いを見て学ぶこともたくさんあります。

しかし、「正しい知識の身に着け方」はそう簡単には学べません。

小中高や大学の勉強では、各教科や分野を暗記するだけで良かった部分が多いですが、仕事の現場においては複数の事柄(分野)が関係性を持ち、
複雑に絡み合ってることも少なくありません。

仕事に問題が発生した場合、如何に素早く原因を発見し解決できるかが重要になってくる訳ですが、そのためにも、「正しい知識の身に着け方」が重要であると考えています。

■「私の苦い経験を活かした新人教育」

私は、建築やインテリアの意匠設計(デザイン)を本業としておりますが、昨年から他社さん(建設会社)の新入社員研修などの教育現場に呼ばれる機会があり、定期的に講師をおこなっています。
新人さんは国籍・年齢・職歴も様々ですが、自分の苦い経験を活かした研修を心がけています。

自身も十数年前には新入社員時代があったわけで、新人の苦しさや辛さをよく分かっているつもりです。

大学院を修了してから、組織系建築設計事務所やアトリエ系建築設計事務所を転々とし、現在に至るわけですが、本当に覚える事が多すぎて、ほぼ毎朝6時には出社し、夜中2~3時に帰宅するような生活を送っていました。
締め切りに追われている時は事務所に泊まり込み連日徹夜数ヶ月休日なしも経験しました。
そして、日中は厳しいボスに叱られ、怒鳴られる。。

もちろんそんな生活を送っていたら、心身ともにボロボロになるわけです。
私の場合は、身体を壊して3年近く全く動けない時期もありました。

新人時代は、建築の多少の知識と意欲はありましたが、大学で学んだこと以上に建築実務で覚えることが多く、どこから手を付けて良いのか分からなくて途方に暮れていました。
また、関わっていた案件も大きい上に、メディア発表や賞レースに参加するなど、作品づくりに全力をかける職場環境であったため、なおのこと大変でした。

この話を建築実務の知らない人に話す機会がありますが、「大げさに言ってるんでしょ?」と言われ、なかなか理解してもらえません。
まあ、そもそも理解してもらうつもりも全くないのですが・・・笑

どの業種や職場でもあることですが、才能ある新人が志半ばで他業種へ転職することも少なくありません。
この子が建築業界に残っていたら、どれだけ素晴らしいものを世の中に残しただろうと思うことさえあります。

そのような思いもあり、新人さんには仕事のコツ(知識の身に着け方・思考で大切なこと)を伝えています。

ここでは、一部を簡単にご紹介できればと思います。
他業種の方でもご参考になる部分があるかと思いますので、ご一読頂ければ幸いです。

■「正しい知識の身に着け方」

①「わからない事がわからない」ことを理解する

最初はどの分野においても「わからない事がわからない」ことがたくさんあります。それをまず理解することが大切です。

例えば、建築分野の場合、建築学・構造力学・物理学・科学・化学・材料学・法律学・経営学など分野が多岐に派生しているため、建築に携わる人間は、時と場合に応じてデザイナー・技術者・研究者・科学者・法律家・経営者・職人などの様々な立場に立ち、物事を考えていかなければなりません。

そのため、広範囲の膨大な専門知識を短期間に身に着けることは容易ではないため、正しい「知識の身に着け方」「情報収集の仕方」が重要になってくる訳です。

それが、知識の大樹を育てるきっかけとなります。

②「原理原則」を知る

「答え(結果)」には必ず「理由(原因)」があるように、「物事の成り立ち」をしっかりと把握することが大切です。
答えを忘れてしまった場合であっても、理由がわかっていれば答えや検索方法が自ずと導き出せる訳です。
答えを暗記しても何もなりません。「原理原則」を理解してみてください。

例えば、建築基準法や条例等の法令は、必ず原理原則に則って定められているため、各条文が生まれた「背景」を理解し、条文の数値が示す意味を理解することが重要になります。

上記の内容を応用すると、建築設計において、意匠設計(デザイン)で譲れない点が建築基準法に絡む場合であっても、原理原則を理解していれば、役所協議で相手と正しく議論できるはずです。

また、よく新人さんで、相手へ出来る事や出来ない事を確認する際、どうして出来るのか出来ないのかの理由を確認せず、結果だけ上司に報告してくる人がいますが、仮に理由が明確であれば、相手から出来ないとの回答があった場合であっても、解決策の糸口を見つけられるかもしれませんし、それが自己実現につながるかもしれません。

それほど「原理原則」を知ることは重要なことです。



③「正しい情報検索」の仕方

様々な情報を検索する際、「出典元」「根拠」がはっきりしている事が重要です。
出典元の場合は、官公庁や研究機関などの公的機関、大手メーカーであることが大切です。

現在は、インターネットSNS様々な情報が手に入る時代であり、一般人がまとめサイトで情報発信をしていたり、Yahoo!知恵袋で答えが出ていたりしますが信憑性に欠けます

建築業界の場合、設計や施工で問題が起こった場合、瑕疵を問われる場合が少なくありません。
出典元や根拠をしっかり残すことで、会社や自分を守ることにもつながるので、正しい情報検索の方法を心がけてみてください。

■「最後に」

私も未熟なところがあり、他人に偉そうな事は言えませんが、上記内容を実行し改善した方もいらっしゃいます。
上記3点の意味とご自身を照らし合わせ、よく考え実行して頂ければ、多少なりとも仕事が楽になるかと思います。
宜しければ是非試してみてください。

■「次回」

次回は上記に関連して、新人さんへ伝える「正しい思考方法」をまとめさせて頂ければと思います。
今後とも宜しくお願い申し上げます。


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