ひとり 杏

人文学系の修士学生です。 ご提供できるもの ▷ 詩と、短い (たいてい一万字以内の)…

ひとり 杏

人文学系の修士学生です。 ご提供できるもの ▷ 詩と、短い (たいてい一万字以内の) 物語を書きます。 いただきたいもの ▷ 全国各地・世界各地の芸術祭や芸術活動のレポを集めています。 よろしくお願いします。

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  • 作ったお話

  • 思い出したいシリーズ:中学校の理科編

  • 忘れていたシリーズ:中学校の社会科編

最近の記事

秋の訪問

うちの部屋に、テントウムシが来てたんです。 秋の始めくらいだったかなあ、キンモクセイが香りだした頃でした。まだひと月前にもならないかなあ。 夕方帰ってきて、「やっぱりまだ早かったか」とか思いながらマフラーやら毛帽子やらをぽいぽい脱ぎ散らしてたら、壁に張り付いてるテントウムシを 見つけました。 見て、 「うわ」 と思いました。正直べつに可愛いとも感じませんでした。「なんやこれ。ええ?あ、テントウムシか。」なんでまた部屋の中に。寒いんかな。まあええわ、ほっとこ。そのまま、何

    • 童話「盲聾の星」第十話

      第一話→童話『盲聾の星』第一話|ひとり 杏 (note.com) 6. それからしばらく経った春の夜、あの彗星がラムダたちのもとへ帰って参りました。 「おおい、待たせたね」 何やら、大きなボールを抱えています。失意のあまり、長いこと弱々しくしか光れなかった星たちは、突然まぶしい光が現れてたいそう驚きました。 「そら、ご覧」 彗星が空にボールを放りました。さて一体、ボールのように見えたものはなんとも美しい満月です。 「この明るさはなんだ」 見えない眼をきょろきょろ

      • 童話「盲聾の星」第七話

        第一話→童話『盲聾の星』第一話|ひとり 杏 (note.com) 4. ただ、ひとつだけ、ラムダが予想していなかったことがあります。あまりにも星が増えてしまったものですから、遥か地上のお姫様は、どれがラムダなのかたまに見分けがつかなくなってしまうのです。またラムダの方も、仲間を増やすためにとやたらめったら動き回ったものですから、とうのむかしに眼が潰れてしまっておりました。ですから、目の見えないラムダの代わりに仲間の星たちがいつもお姫様を見守っており、彼に様子を教えてあげまし

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        記事

          童話「盲聾の星」第八話

          第一話→童話『盲聾の星』第一話|ひとり 杏 (note.com) 5. さて、冬も終わろうかというころ、セリーヌ王女の病状がひどく辛いことが続きました。がらんと静まりかえった田舎にかすれた咳の音だけが響くようになって、もう幾日が経ったでしょう。お姫様はもうバルコニーには出て来られず、ベッドの上で侍女に身を起こしてもらうのがやっとでした。 ラムダもみんなも耳をすまして、はらはらしておりました。そんな星の群れを裂くように、突然びゅんと割り込んできたのは彗星です。 「おや、お

          童話「盲聾の星」第八話

          童話「盲聾の星」第九話

          第一話→童話『盲聾の星』第一話|ひとり 杏 (note.com) 彗星は、どこへ行ったのでしょう。 ラムダの両親がいる北へ向かったのです。そして、2つの大きな星と美しい星に逢いました。 「お宅の坊ちゃんは立派にやっているよ。ただ、あのお嬢ちゃんの命はそろそろだろうな。どうしたものか」 父さんと母さんは息子の無事を喜びましたが、お姫様のためにあるものを届けてやってほしいと彗星に頼みました。 「そうだな、それがいい。わしが責任を持って届けよう」 彗星は、快く引き受けまし

          童話「盲聾の星」第九話

          童話「盲聾の星」第六話

          第一話→童話『盲聾の星』第一話|ひとり 杏 (note.com) さて、季節が一巡りしたころ、増えた星々のはじめの一粒は、とうとうちびになってしまいました。いつしか、相手をなるべく傷つけないで済むように、自分の躰をすり減らす癖がついておりました。そうして星を増やして空を彩っていったのは、半分はお姫様の見上げる夜空を華やかにするため、もう半分は自分の償いのためです。 今や南の夜空は、額縁のない、どこまでも限りのない点描の絵画のようでした。或いは、大所帯のオーケストラ楽団が舞

          童話「盲聾の星」第六話

          童話「盲聾の星」第五話

          さて、ラムダは他星との衝突を繰り返すうちに、どのようにして星が増えるのかをやっと知りました。そうです、星と星が衝突して躰が欠けた分だけ、新たな星が生まれるのでした。両親が仲間づくりの方法を言えなかった理由が、少しわかったような気がしました。 ラムダがはじめて周りを見渡しますと、どうでしょう、夜空に星は増えたけれど、そのどれもが傷ついた姿をしております。ある者は生まれながらにして腕がもげており、またある者は顔に痛々しい痣があります。これは、自分がほしかった仲間たちと呼んでよい

          童話「盲聾の星」第五話

          童話「盲聾の星」第四話

          3. さて、ラムダはときたま、脳天を殴りつけるような孤独に襲われるのでした。すると身を投げ出して、むやみやたらに動き回り、あちこちの星たちぶつかりました。それが星の増殖方法だとは、まだこれっぽちも知らずにおりました。ええ、彼には大切な守るべきお姫様がおります。けれど、わたしたちのうちの誰が、大切な人が遠くに一人いるとしても、自分は離れた空にたったひとりでは、気が触れずにいられるでしょうか。 しかし、あのセリーヌ王女だけが、遥か遠くの地上でかなしそうな表情を空に向けています。

          童話「盲聾の星」第四話

          童話「盲聾の星」第三話

          2. たくさんたくさん考えたラムダは、7日目の朝、父さんと母さんに申しました。 「北の大陸には父さんたちがいらっしゃるし、街灯だってあると聞きます。明かりはもう十分。ぼくまで行く必要はないでしょう」 それは、半分だけ本当のことでした。たしかにラムダの言うとおり、今や都は夜も賑やかで、星が3つもいらないくらい、あちらこちらの建物の明かりが消えないのでした。もう半分の理由は、ラムダが言うまでもなく父さんも母さんも気づいておりました。小さなラムダには、もう守らねばならないものが

          童話「盲聾の星」第三話

          童話『盲聾の星』第二話

          「ねえ」 コホンと咳をした後に続く可愛らしい声が、眠れないラムダの耳に届きました。彼女の咳払いはあくまで弱った喉が発声するための準備であって、王族の咳払いだというのにちっとも偉そうな感じがしません。 「あなたも行ってしまうの?」 バルコニーに出てきたセリーヌ王女の、麦穂のような金色の髪が、遠くでさらさら揺れています。それだけ言うと力なく唇を閉じてしまった彼女を見て、ラムダは思わず、いいえと言う風に大きく瞬いてみせました。わたしね、とお姫様が言います。 「あなたたちご家族

          童話『盲聾の星』第二話

          童話『盲聾の星』第一話

          ――「ぼくはおっかさんがほんとうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より―― 1.  信じられますか。その時代は、まだ世界に月はなく、いくつかの星だけが夜空を照らしていたのです。大きな父さん星と美しい母さん星がいて、息子の星は、名をラムダ[i]といいました。  地上の南の小島には、病に臥せっている人間のお姫様・セリーヌ王女がおりましたから、気のいい一家は特にその少女が気がか

          童話『盲聾の星』第一話

          詩『縁側とうちわ』

          詩『縁側とうちわ』

          詩「いとおしい道」

          久しぶりに、詩を人目に曝します うふふ

          詩「いとおしい道」

          思い出したい理科『骨と筋肉、なぜうごく?』

          ③からだを動かすしくみ (1) 骨格と筋肉 ・骨格:骨でからだをしっかり支えながら筋肉で動かすことによって、力強くすばやい動きができます。 脊椎動物のように内部でからだを支える内骨格と、昆虫のように外部からからだを支える外骨格とがあります。 骨格のところどころには関節があり、ここでからだを動かします。ヒトの関節は軟骨に覆われ、衝撃を吸収できるようになっています。 ・筋肉:骨とけんでつながっています。筋肉は自分のちからで収縮できますが、みずから緩むことはできません。

          思い出したい理科『骨と筋肉、なぜうごく?』

          忘れていた地理31『日本の自然・‹そなえる›』

          ⑤ 自然と生きる (1) 気候がもたらすもの  日本は台風の通り道。強風は高波を生み、気圧の低い台風の場合は海面上昇による浸水にも注意が必要です。 そのほか、次のような災害もあります。奈津から冬にかけて順にご説明しましょう。 ・冷害:北海道、東北の北東部で『やませ』という冷たい風が吹くと低温となり、農作物の成長に被害が出ます。 ・干害:日照り。空梅雨などで雨が少ないと、農作物は枯れてしまいます。瀬戸内地方でよく起こります。 ・豪雪:冬に極端なドカ雪が降ってしまうと、春先に

          忘れていた地理31『日本の自然・‹そなえる›』