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起業のきっかけとお金のお話。

前回の記事では、6年前(2014年)に私が起業するまでの経緯をお話しました。

今回は、2回の起業未遂事件を経て、起業したきっかけや、起業後、最初にぶつかった「お金」の壁についてお話したいと思います。

店舗との出会い

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突然ですが、この写真は何だと思いますか? 

答えは、弊社が一番最初に開店した「冨士天ぷら いだ天 河口湖本店」の改装前の写真です。感の良い方ならお分かりになるかもしれませんが、元はコンビニの店舗でした。

サラリーマン時代、猛烈に起業がしたくなっていた頃、私の休みの日を使って、後に弊社の取締役・現顧問になる坂本さんと一緒に、坂本さんが経営する会社(株式会社かじやコーポレーション)の事業であるホテル物販(お土産商品)の納品についていくため、久しぶりに山梨県の富士河口湖町を訪れました。(プライベートのキャンプでは河口湖へ何回か訪れていました)

ちょっとした気分転換もかねて向かった河口湖でしたが、改めて河口湖や富士山周辺を開業の地として考えた時に、自然環境に恵まれた素晴らしい土地に魅力を感じ、この土地で起業したい!と思ったのが最初のきっかけです。

海や、山、湖、森、自然環境って当たり前ですが決してお金で買うことのできない重要な経営資源だと私は思います。

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一度考えはじめたら、即行動にうつさないと気が済まない私は、その場でインターネットを使って物件情報を調べ、地元の不動産屋に電話をします。
そこで出会ったのが空きテナントとなっていたこの元コンビニ物件でした。

デューデリジェンスもせず(そもそも、起業してデューデリジェンスという言葉を知りました(笑))そういう意味においては何の根拠もありませんでしたが、私は「ここにお店を開く!」と決め、当時、別の場所で仮予約していた物件もその場でキャンセルします。もちろん、銀行や事業計画書を見せる必要のある方には、ここで起業すると決めてから、後付で超大作級の事業計画書を作成し、お見せしましたが。^_^

初めて開店した店舗とは、実はこんなきっかけで出会いました。
弊社は、飲食店などのコンサルティングもおこなっているので、これから飲食店などを経営したいと考えている方などから「加藤さんは、どうして縁もゆかりもない河口湖で創業したんですか?きっかけは?」などと、よくご質問を受けるのですが、実はきっかけも、店舗との出会いも些細なことだったのです。

創業融資の壁

縁もゆかりもない土地(山梨県河口湖)でしたが「富士山から世界へ出てやろう!」と言う気概で起業を決意したものの、早速、創業融資の壁にぶち当たります。

ここで、これから飲食店を経営したいと思っている方の為に、開店にかかるお金について少しだけお話しておきます。なお、いまからお話するのは財務的な区分けではなく、分かりやすいよう実体の区分けで説明します。

まず、開店資金には大きく、設備投資資金(店舗内装工事・厨房機器・什器備品・敷金・前家賃等)と、運転資金(食材購入・オープニング人件費・水光熱・細かい雑費)の2つに分かれます。

私の場合、開店にあたって、設備投資資金で約2,000万円、運転資金で約1,000万円、あわせて3,000万円必要と見込んでいましたが、当初、予期していなかった追加の工事などがかさみ、最終的には設備投資と運転資金であわせて約5,000万円かかりました。

居抜き物件なのか、何の業態をするかによりますが、飲食はカフェでも開業費は平均で800万円程度と言われており、比較的、初期投資が必要な業界です。なので、開業資金があれば、誰でもお店を始めやすい反面、辞めにくい業界でもあります。(一度始めると借入が多いので、サラリーマンには戻り難かったりします。)

親友のS君と坂本さんから100万円づつ出資してもらい200万円、私が持っていた株や定期貯金をかき集めて200万円。母親が父親に黙って、私のお年玉や将来の何かの為に取ってくれていたJAの定期貯金を解約して200万円。(今だから言えますが、父親には、「独立するなら、勝手にやれ。その代わり実家に迷惑をかけるな」と言われ軽い勘当状態でした。)初代料理長のHさんが出資してくれた20万と合わせて、620万円が私の最初の自己資金でした。

日本政策金融公庫(昔の国金と言われていた金融機関)では創業融資で無担保・無保証と言われてますが、手元資金の2倍程度が融資額の大まかな目安のようで、平均の借入額は600万円だそうです。(2014年の日本政策金融公庫国民生活の公表実績) 

私の例で言うと、自己資金620万円×2倍の1,240万円の借入が上限の目安です。なので、私はその上限を大幅に超え、創業融資で2,000万円を申し込みました。

いくつもの金融機関に融資の申し入れをおこないましたが、起業したばかりの私の会社に融資をしてくれるところなどなく、資金調達に苦しみました。最終的には、地元の信用金庫と日本政策金融公庫に融資をしていただくことになったのですが、申し込みから融資がされるまで約5ヶ月掛かってしまいました。(通常は2ヶ月程度)

融資を待つ間、契約を待ってくれていたテナントの大家さんには、今でも本当に感謝しています。

創業融資は、多くの人に立ちはだかる壁の一つです。私も事業の成長にあわせて、融資を重ねていくことでいろいろなノウハウを学びました。

金融機関の窓口となっている商工会や商工会議所には、起業したら必ず加入して融資の相談したほうがいいとか、金融機関は与信管理で実は個人のこんなところまで見ているとか、ここで話すと長くなりすぎてしまうので、もし、そのあたりを詳しく知りたい方がいれば、noteのコメント欄からメッセージください。私がお答えできる限りでお話させていただきます。

また、私流の借入のポイントをまとめた上でいずれ記事にもしたいと思います。(借入のポイントを配信して欲しい方はぜひスキとフォローをお願いいたします!)

お金が溶けていく

こうして無事に融資を受け、当面の資金は確保できたものの、開店できるまでには、お店の工事や、スタッフの採用などで思っている以上に時間がかかります。

私の場合、融資を受けてから開店するまでの間、約5ヶ月ほどかかったのですが、それまでの間は当然ながら売上ゼロの状態が続きます

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一方で、開店準備の為に、神奈川の自宅から河口湖まで、毎日、峠を超え、通勤してたので、1日に数千円の交通費がかかっていました。それに加え、開業に必要な備品などの購入などもしていくと、あっと言う間に何万円ものお金がなくなっていきました。

地元の方々やこれまでお世話になってきた方々などへの起業のご挨拶などで名刺一枚渡すことにでさえ、コストがかかっているということを実感しはじめます。(名刺を渡す相手もすごく考えてました。) 

起業当初は無職と同じですから、当面、生活していくためのお金も必要になります。私の場合は、住宅ローンや車のローン、日々の生活費として、1ヶ月当たり最低15万円程度必要な計算でした。生活費はみなさんの住んでいる環境やライフスタイルによって異なりますが、この生活費は先ほどお話した開店資金とは全く別に用意する必要があります。

こうして時が経つにつれ、収入がゼロの状態でどんどん手元のお金が溶けていくことに焦りを感じるようになります。

ピンチの時にチャンスが来る

そんな時、いだ天の工事をお願いしている方から河口湖の湖畔で3階建ての物件の情報が入ってきました。空きテナントで使ってないから賃料が破格とのこと。このままだと、今後の資金が枯渇するかも知れない、とりあえず、物件を見に現場に向かうことにします。

ですが、実際に案内された物件を見るとちょっと怪しい。赤い絨毯に赤い看板。大きい水晶と大きい神棚に、ヒーリングルーム。それもそのはず、元々このお店は、超有名芸能人が通い詰めていた悪霊払いを売りにしていた占いサロンでした。空きテナントでしばらく借り手がいないというものも納得いきました。

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そんな印象をもった店舗ではありましたが、お金が溶けていく不安や、融資がずれ込み、いだ天のオープンが当初の計画より遅れているということもあり、とにかく日銭を稼ぎたいと思っていた私は即決で借りる事にします。

壁のペンキを塗りや内装工事など、できる限りの大工仕事は自分たちでやり、出来ない電気工事などだけプロにお任せしてコスト低減を図りました。なんと2週間で店舗のリニューアルを終え、カフェをオープンすることができました。その当時、朝晩休みなく、一緒に汗をかいてくれた会社のメンバーには感謝しかありません。

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「ピンチの時にこそチャンスが来る」よく言われることですが、この時、私はそれを身にしみて痛感しました。

無事にカフェがオープンできたことで、お客様の顔が見え、売上(収入)を少しでも得られ、お客さまから「美味しかったよ!また、来るよ」と言われると本当に嬉しく、精神的にもかなり救われました。

また、当時のスタッフはもちろん、前職からの付き合いで手伝ってくれた方々や坂本さんの支援が本当に嬉しかった事を覚えてます。

この小さな湖畔に作ったカフェが、今年(2020年)夏には遠いベトナムの地(ダナン)でも開店する運びとなったことを考えると、本当に感慨深い気持ちになります。

【プレスリリース】現地法人「クリエイティブリゾート ダナン」 海外進出(現地子会社設立)のお知らせ

それから1ヶ月後、待望のいだ天をオープンする事になるのですが、それはまた次の機会にお話したいと思います。

長文をお読みいただきありがとうございました。記事の感想などコメントいただけたら嬉しいです。また、よろしければスキとフォローもお願いいたします!


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