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#日記

SS『朝焼けと目が合う』

SS『朝焼けと目が合う』

 ふと目が覚めた。頭だけではなく、体までも覚醒していて、いつもの憂鬱な目覚めとは何かが違っていた。体にかけていたはずのタオルケットはお腹だけを守ってくれている。夏の焦燥が私を襲うけど、まだ寝ていても許される時間のはずだ。枕もとのスマートフォンをつけて、通知を確認する。そしてそれらを無視してロックをかけた。その時思い出す、私は時間を確認したかったのだと。だからもう一度あけて五時前であることを見つめた

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散文 下手な私なんて

散文 下手な私なんて

私は動揺している。日々の暮らしの疲れが取れない。心臓より上の胸が痛い。苦しい。思考が暗くなっているようで、何も考えれていない。
命は一瞬で尽きていく。
なのに、私は無駄な時間を過ごしている。
既読がつかないのも、既読が着いてるのに返事が来ないのも両方とも怖くて仕方がない。そんなこと平気な人間だったはずなのに、私はどうしてもどうしても、何か悪いことが起こっているのでは、と考えてしまうんだ。
悪いこと

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散文 オイスターソースは牡蠣なんだ?

散文 オイスターソースは牡蠣なんだ?

換気扇の音が響く。
足から伝わる冷気が私の足を重くする。
作った肉じゃがは、醤油を入れすぎた気がする。美味しそうだけどしょっぱいのかも。
なんてこともない日常。
平和な日々。
心が穏やかだ。
昨日までは何かに取り憑かれたように、鬱々とした思考がめぐり考えていないようで黒い霧が脳を覆っていた。
でも、何故か私の心は、頭は晴れやかで、生きているのが楽だと感じた。
私の日々のあれは、普通の人が抱えている

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散文『愛と思い出の反比例』

散文『愛と思い出の反比例』

こめかみに汗が流れる。お風呂の中はうるさく無音で、たまに家が鳴る。温まってなんか居なくて、でも暑くはなりたくない。だから私はお風呂から上がることが出来ずにいる。
今日の一日を思い返して、お腹の底があたたかくなる。よくある表現だが、この場合の「あたたかく」はどの漢字だろう。暖かい?温かい?お腹の底とは体温なのか、そもそもお湯的な何かなのか。実態を感じることは人生に置いてなかったけれど、今私が感じてい

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