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otatakahiko
散文 オイスターソースは牡蠣なんだ?
換気扇の音が響く。
足から伝わる冷気が私の足を重くする。
作った肉じゃがは、醤油を入れすぎた気がする。美味しそうだけどしょっぱいのかも。
なんてこともない日常。
平和な日々。
心が穏やかだ。
昨日までは何かに取り憑かれたように、鬱々とした思考がめぐり考えていないようで黒い霧が脳を覆っていた。
でも、何故か私の心は、頭は晴れやかで、生きているのが楽だと感じた。
私の日々のあれは、普通の人が抱えているものじゃないんだとびっくりする。
何処かにずっと死にたい思いがあり、生きるのが辛いと思っているのが普通だと。
でも、そうじゃないらしい。
今の私は、そんなことを考えることがない。きっと明日にはその元の私に戻るのだろう。そして、数日たったらこの楽な私が一日だけ降臨する。そうだったらいいな。
美味しいであろうご飯を目の前に、私はふと思い出した。名前も覚えてない。Twitterで言い寄ってきた男の人。
彼は、肉じゃがが嫌いと言った。
クッキーも嫌いだと言った。
大量のご飯を、美味しいものを嫌いだと言った。
だけど、ご飯を作ってくれる彼女が欲しいと言った。
この人は、好きな食べ物は無いのだろうか。自分で好きな物だけを作って暮らすという選択は無いのだろうか。不思議だった。
私も好き嫌いが多い方だ。
ネギは嫌いだし、人参も少し苦手だ。私はまだまだ子どもだ。
彼はいくつだったかなぁ。
私よりも年上だったと思う。何も覚えていない。
私の中では、肉じゃがが嫌いなこども。
それ以上になることがない。もう接点のない、遠ざけたい存在。
好きになんてなれない。
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