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【どうなるモバイル】 楽天グループ株式会社

今回は、「楽天グループ株式会社」をリサーチしました。
決算のたびに大きく取り上げられて、注目度の高い会社ですね。
携帯電話事業は果たして…
それでは、さっそく見ていきましょう〜


①概要

基本データ

事業内容:インターネットサービス・フィンテック・モバイル事業
設立
:1997年
上場市場:東証プライム市場
時価総額:1兆1800億円
従業員数:単体:8,409名 連結:32,079名(平均年齢34.4歳)※
平均年収:797万円※
※有価証券報告書/会社四季報 2023年4集 秋号を参照

インターネットがまだ普及する前の時代に、「人がオンラインで物を買う時代が来る」ことを予見した三木谷さんが、6名で楽天市場を立ち上げたのが祖業です。その後ITバブルの波に乗り、時代の趨勢を捉えてどんどん業容を拡大してきました。

現在では、ECサイト運営、金融事業、携帯電話事業などからなる、日本を代表する経済圏「楽天経済圏」を擁するに至っています。

②事業内容

インターネットサービス:楽天市場、楽天トラベルなど
フィンテック:
楽天銀行、楽天証券、楽天Payなど
モバイル:
楽天モバイルなど

モバイル事業には2019年から参入し、4年で全体の15%の売上を占めるまでに急成長しています。しかしながら、先行投資等での赤字体質で、収益としては全体の足を大きく引っ張ってしまっている状況です。

③業績

直近の決算

営業利益:本業で稼いだ利益
経常利益:営業利益+本業以外の損益の合計
純利益:税金などを引いたあとの最終的な利益

2020年から売上高は伸長していますが、赤字が続いています。
特に2022年までは赤字幅も急拡大していました。
一方、2023年は赤字幅が縮小しています。

モバイル事業への先行投資がグループ全体の収益を圧迫していますが、他事業は好調なことと、モバイル事業も他社回線の活用などを通じてコストを削減する施策が奏功しているのだと思います。

貸借対照表(B/S)

続いて貸借対照表を見てみましょう。
貸借対照表(バランスシート=B/S)は、その会社が持つ資産を可視化したものです。

流動資産:現金にしやすい資産(現金・受取手形など)
固定資産:現金にしにくい資産(土地・建物など)
流動負債:1年以内に返済が必要な負債(短期借入金・引当金など)
固定負債:1年以内に返さなくても良い負債(長期借入金・社債など)
自己資本比率:総資本のうち自己資本が占める割合。高いほど健全。

自己資本比率が非常に低い水準です。
30%代が望ましいと言われている中でこの数値なので、財務上はかなり不安定なのではないでしょうか。
やはりここでも、モバイル事業の拡大のための先行投資や借り入れが、影を落としているようです。
ただし、流動資産が流動負債を上回っているので、すぐに資金ショートが起きるようなことはないでしょう。

損益計算書(P/L)

続いて損益計算書です。
損益計算書(P/L)は、その会社がどう稼いで、何にお金を使ったのかを可視化したものになります。

売上高:本業で稼いだ収益
売上原価:売上を上げるために直接かかった費用
販管費:商品の販売や管理にかかった費用(広告費や賃料など)
営業利益/損失:本業で出た利益/損失
営業利益率:売上高のうち営業利益が占める割合。高いほど効率よく稼いでいる。営業損失の場合は算出できない。
(楽天の決算では、売上原価と販管費を合計して営業費用と記載しておりましたので準拠しました)

先述の通り、赤字幅は縮小したものの赤字が継続しています。
営業損失の推移は若干改善傾向にあるようですので、モバイル授業の立て直し次第では早期の黒字化も遠くないかも知れません。

株価の動向

最後に、直近5年間の株価推移です。

出典:Google Finance

モバイル事業が業績を圧迫していることから、2022年以降の下落が著しい状態です。
証券や銀行、市場などの従来からある事業は好調なので、業績はモバイル事業次第ということですが、なかなか赤字を吸収しきれていません。

また、今後借入金の返済期日が迫るので、財務上のリスクも株価に反映されていると思われます。

いずれにせよ、モバイル事業の成否が楽天の今後を大きく左右するのは間違いありません。

④まとめ

以上、「楽天グループ」についてリサーチした結果、
・日本を代表する「楽天経済圏」を構築
・モバイル事業が全体の業績を左右
・財務状態は厳しく、今後の負債の返済が重要に
・株価は下落傾向で、モバイル事業にかかっている

でした。

個人的には、楽天の存在の影響によって、例えば携帯料金の値下げに繋がったり、競合する通販サイトAmazonの日本での利用料が安く抑えられたりしていると考えております。
その観点では、今日の苦境を一刻も早く脱して危機を乗り越えてほしいと思っています。

今後も個人的に気になった企業についてどんどんリサーチしていこうと思います。

参考資料

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