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本業はIT系→脱サラで社会起業家。社会起業の経緯や事業の紹介、ビジネス戦略などについて…

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本業はIT系→脱サラで社会起業家。社会起業の経緯や事業の紹介、ビジネス戦略などについて綴っていこうと思います。https://coreral.com/

マガジン

  • 「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス

    グローバル規模でのヒット商品を狙うにあたっていまや「感性」への訴求は不可欠の要素です。インターネットによる情報のグローバルなシームレス化を前提した「感性ボーダレス化時代」ならではです。

  • SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?

    SDGsの内容は理解できても、それを現実のビジネスに落とし込みをしていくとなると、難しいと感じる方が多いのではないでしょうか?このマガジンでは、SDGsをはじめとする共通価値や共通善と呼ばれる社会的責務に対して、企業の第一線で働くみなさんが実際の事業戦略の立案にどのように反映させればよいか、理論とシミュレーションでご案内していきます。

最近の記事

SNSを通じた世界の“ジャパナイゼーション”

 欧米で無宗教化が進んでいるようです。ヨーロッパでは神の存在を確信する人よりも不在を確信する人のほうが多くなっており、ヨーロッパ諸国に比べて信仰の喪失が遅かったアメリカでも、1990年以降に無宗教の人が急速に増えているそうです。そして、2050年には、大半の人がどの宗教ともまったく無関係という状態になると見られています。このことについて、心理学者のフランク・マルテラ(Frank Martela)は、「科学的世界観が広まり、多様な宗教に触れることで、宗教が自身の属性ではなく、単

    • 日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第3話】

       前回の記事からずいぶんと間が空いてしまいましたが、今回はタテ型組織の特徴が悪い方向へ発露した事例をとりあげてみたいと思います。2005年に起きた福知山線脱線事故です。  2005年4月にJR西日本が運営するJR福知山線(JR宝塚線)の塚口駅~尼崎駅間で起きた列車脱線事故は、乗員乗客あわせて107名が死亡、562名が負傷するという、戦後の鉄道事故史に残る悲惨な出来事でした。事故の詳細については、国の運輸安全委員会が詳細な事故調査報告書をまとめています。本稿も事実関係は当該報

      • 日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第2話】

         前回は、中根博士の「場の共有性」にもとづく日本の集団構成原理についてご紹介し、それが日本企業の“縦割”と“横串の難しさ”を生んでいることを指摘しました。今回は、中根博士の説をベースに、社会心理学の分野から山岸俊男博士の信頼性理論と、日本社会を鋭く分析した山本七平の所論を参考に、「場の共有性」と「資格の共通性」に由来する組織的特徴について整理していこうと思います。  組織的特徴について整理するまえに、山本七平について、少し述べたいと思います。  山本七平は、ベストセラーと

        • 日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第1話】

           日本企業の宿痾ともいわれる“縦割”の根源は「場の共有性」にもとづく集団構成原理にある――半世紀以上も前に中根千枝博士が『タテ社会の人間関係』として明らかにしています。今回はこの中根博士の所論のエッセンスを、わたしなりの理解でご紹介したいと思います。  第0話でご紹介したように、中根博士は社会の集団構成原理を「資格の共通性」と「場の共有性」で定義しました。  「資格の共通性」は、集団の構成員が資格によって選別され、その共通性が最も重視されるものです。「資格」とは、血縁、社

        SNSを通じた世界の“ジャパナイゼーション”

        • 日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第3話】

        • 日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第2話】

        • 日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第1話】

        マガジン

        • 「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス
          3本
        • SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?
          7本

        記事

          日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第0話】

          SDGs、感性とつづき、今回からは「場の共有性」がテーマです。  「横串」という言葉は、おそらく日本独特の表現でしょう。横串にちかい英語は、“cross-functional”ですが、これは「横断」と訳すべきもので、横串とはニュアンスが違うように思います。  横串とは、日本の組織が構造的に抱える課題である“縦割”を前提としています。まさに串でブスッと刺さないと、意志疎通や情報共有すら難しく、部門間では協力どころか足の引っ張り合い、社外との提携など夢のまた夢…という切なさが

          日本企業はなぜ「横串」が難しかったのか?【第0話】

          「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第3話】

           今回も前回に続き、感性訴求型ビジネスの成功例として、香港の新興コスメブランドであるKailijumeiをケーススタディとしてみていきたいと思います。前回にみたように、同社のマーケティングは秀逸ですが、事業戦略も同様に秀逸というか、緻密です。  ところで、事業戦略の策定では、S+O(強み+機会)がセオリーとされますが、わたしは真に競争力のあるビジネスモデルはW/T(弱み/脅威)の克服から生まれるものと考えています。Kailijumeiのビジネスの軌跡は、まさにそれを実証した

          「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第3話】

          「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第2話】

           前回は、感性ボーダレス時代である現代社会において、コンシューマ向けのプロダクトビジネスを成功させる条件として、感性の訴求が必要であることを指摘しました。この感性訴求型ビジネスを巧みに成功へと導いた事例として、香港の新興コスメブランド「Kailijumei」をご紹介したいと思います。  ざっとネットで書籍や論文を調べてみましたが、経営学でKailijumeiをケーススタディとして扱った論考はないようです。本稿がおそらく初めてだと思います。  これからみていくように、同社は

          「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第2話】

          「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第1話】

          前回のSDGsから、今回は「感性」にテーマを移して、ビジネスのおもしろさを綴っていきたいと思います。  インターネットの発展と経済のグローバル化は、ビジネスにおける凄まじい競争と同時に、資源と戦略のフラット化をももたらしました。いまや企業が取り得る手段は驚くほど広くなっています。それゆえに、イノベーティブな発想による製品やサービスを創出し、グローバル市場へ展開できれば、企業規模にかかわらず、「急速」な成長を遂げることも可能です。  ところで、人・モノ・カネのボーダレス化が

          「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第1話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第6話】

           前回までの論考で、以下の点をクリアにしてきました。 ・企業が今日向かい合うのは市場よりも広い社会になった。 ・共通善から生じる様々なグローバル制度が企業の事業戦略に直接的な影響を及ぼすようになった。 ・経営学の既存理論では知識創造理論が共通善と親和性が高い。 ・共通善を特定し、具体的な事業戦略に落とし込むためのフレームワークとして「共通善階層構造モデル」がある。  今回は、共通善階層構造モデルをもちいてビジネスモデルのシミュレーションをおこなってみましょう。現実のビジネ

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第6話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第5話】

           前回までで、価値(Value)や善(Good)として定義されるものに対して、企業活動においてどのように取り組むべきかを、共通価値創造戦略理論(CSV理論)と知識創造理論で検討しました。それぞれ理論上の限界と、実務への適用が困難という点が明らかになりました。既存の大御所経営理論が役立たない(生意気ですみません!)以上は、わたしたちで考えていかねばなりません。  繰り返しになりますが、筆者(とおそらく皆さん)の問題意識は、実際の事業戦略の立案において共通善をどのように反映させ

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第5話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第4話】

           前回は、共通価値創造戦略理論(CSV理論)をご紹介しました。一世を風靡した競争戦略論の系譜で共通価値を論じた同理論は、今日のSDGsビジネスが暗黙に依拠しています。しかし、“バリューチェーン”で“クラスター”限定的という理論構造は、今日的なビジネス環境―とりわけ善を媒介にしたコミュニケーションネットワークから生じるリスク―に対応が困難であることを指摘しました。  CSV理論があくまで企業活動の客観的側面(手段)に着目してポジショニングとしての共通価値創出を提示するのに対し

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第4話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第3話】

          「共通価値の創造」(CSV:Creating Shared Value)とは?  前回までで、現代企業が求められている社会的責務が“共通善”から生じており、企業が直面する事業環境の変化(市場→社会)に応じて制度化が進んできたことを説明しました。本当は“共通善”というものがなにかを最初にお話したほうがよりわかりみになるのですが、まずはそこは置いておいて、企業にとって実務上も馴染みがある経営理論から解き明かしていきたいと思います。  この回から、文章が長くなりますので、覚悟し

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第3話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第2話】

          CSR・CSV・ESG・ルール形成・SDGs。ぜんぶ出所はおなじです。  今回の第2話から本格的な話を進めていきますが、最初にちょっと肩慣らしから始めましょう。前回、GCNJのマニュアルをご紹介しました。「CSR」という言葉がおおく出てきましたが、これはSDGsを理解するヒントになります。 企業の社会的責任(きぎょうのしゃかいてきせきにん、英: Corporate Social Responsibility; CSR)とは、企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボ

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第2話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第1話】

          日本企業向けのマニュアルはある。該当する人はnoteじゃなくてGCNJにアクセスしようね。  最初に、企業がSDGsに取り組むときのマニュアルとして、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)がシリーズ化している「持続可能な世界実現のためのお役立ちシリーズ」をご紹介します。  GCNJは、SDGsにもとづく企業活動を推進するために国連広報センターの支援で発足した日本企業の集まりです。そのはじまりは2003年にまで遡ります。2021年9月27日時

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第1話】

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第0話】

           みなさん、こんにちは。私は現在社会起業家として創業に向けて準備中です(年内に法人登記予定)。このnoteでは、社会起業の経緯や事業の紹介、ビジネス戦略などについて綴っていこうと思います。  最初のnoteでは、おそらく多くの方がモヤモヤと感じていらっしゃる「SDGsを現実の事業戦略に落とし込む方法」について綴っていきたいと思います。  SDGsは、2006年に国連加盟193カ国すべてが合意・採択した「持続可能な開発目標」(Sustainable Development

          SDGsを現実の事業戦略に落とし込むには?【第0話】