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「感性」ボーダレス化時代の2Cプロダクトビジネス【第1話】

前回のSDGsから、今回は「感性」にテーマを移して、ビジネスのおもしろさを綴っていきたいと思います。

 インターネットの発展と経済のグローバル化は、ビジネスにおける凄まじい競争と同時に、資源と戦略のフラット化をももたらしました。いまや企業が取り得る手段は驚くほど広くなっています。それゆえに、イノベーティブな発想による製品やサービスを創出し、グローバル市場へ展開できれば、企業規模にかかわらず、「急速」な成長を遂げることも可能です。

 ところで、人・モノ・カネのボーダレス化が叫ばれて久しいですが、今日的には「感性」も国境を越えるといえます。アップルのiPhone、テスラの電気自動車といったヒット商品は、そのプロダクトの完成度はもとより、人の感性への訴えかけが背景にあります。両者に共通する感性を一言で表すと優雅(elegant)でありワクワク(fun)です。

ジョブスとイーロン

 今日的には善(good)も重視されています。テスラの電気自動車と代替肉のビヨンドミートは、ともに地球環境の持続性確保という共通善的な価値を背景としています。昨年に突如として起きて世界を席巻したBLM運動も、その原動力は人種差別に対する善からの問題意識でした。

 このような事象について、最近の経営学では「共感」や「ストーリー」という言葉で表現することが多いようですが、わたしにとっては、やはり「感性」という言葉のほうがしっくりきます。

 人の感性を拡げるには、これまで時間と場所とコストが必要でしたが、インターネットの発展はそれらをゼロにしました。インターネット上で無尽蔵に蓄積されるデジタル情報と、SNSによるつながり、さらにスマートフォンの普及によって、人がデジタル情報に接する時間は飛躍的に増大しました。感性をボーダレスに拡散できる環境条件が整ったわけです。

 このことを、わたしは「感性ボーダレス化時代」と名付けたいと思います。そして、この感性ボーダレス化時代においては、人の感性をうまくとらえて、プロダクトをグローバル展開することこそが、2Cプロダクトビジネスを成功させる条件といえましょう。

 筆者が考える2Cプロダクトビジネスにおける訴求点を次の図に示します。

レーダーチャート

 レーダーチャートの上半分が感性にかかわる訴求点、下半分は直接的な効能にかかわる訴求点です。どちらかといえば、上半分は定性的で、下半分は定量的なものが多いといえそうです。ただ、このレーダーチャートで示した項目や占有度合いはあくまでも(オレ様基準の)暫定的なもので、今後、変えていくかもしれませんので、大雑把な概念としてみていただければ結構です。

 従来のプロダクトビジネスで重視されていたのが下半分とすると、現代においては上半分が重要です。とりわけ「Dream=日々の生活が変わる期待感」は、グローバル規模でのヒット商品を狙うならば、不可欠の要素ではないかと考えます。

 次回からは、このような訴求点をしっかりと把握し、巧みなビジネスで2Cプロダクトビジネスを成功に導いた事例として、香港の新興コスメブランドをご紹介したいと思います。

(第2話につづく)

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