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まなかい ローカル72候マラソン

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まなかい… 行きかいの風景を24節気72候を手すりに 放してしるべとします。                                        万葉集        …
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#気候風土

霜降:第52候・霜始降(しもはじめてふる)

霜降:第52候・霜始降(しもはじめてふる)

霜が降りる、霜が置く。

冠雪の便りも方々から聞かれるようになった。北国では霜も降りる頃だ。

東京ではまだ少し先。

育った信州の寒さもあって、小さい頃から大人になっても、霜焼けができた。

指先は全部、耳朶まで真っ赤になって、腫れて、温まると痒かったなあ。

空気中の水分が物に付着して氷の華を咲かせる。

その華が、葉っぱの中から新たな色を揉み出す。それが「もみぢ」。「もみつ」の名詞形。古くは

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啓蟄 第9候・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

啓蟄 第9候・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

小さな青虫が紋白蝶になる

軽井沢へ行った日、見慣れた浅間山は雪雲の中 この日はここから更に雲って行き 山が吹雪いているのが見えるほど 終日山沿いの街には風花が舞い続けた

季語に「雪の果(ゆきのはて)」がある

雪雲はもう里まで降りてこれないようだ 冬が終わろうとしている

雪が、白い蝶となって沫雪のように舞うのかもしれない

翌日見せてもらった庭

春空に斑(はだら)雪

まだ冬と春の間でうと

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啓蟄 第8候・桃始笑(ももはじめてさく)3/11

啓蟄 第8候・桃始笑(ももはじめてさく)3/11

桃の花が咲く 桃が笑う。

あんなにも明るいピンクを放つことがすなわち笑うことなのだ。

春空に透き通る桃色。

次々と笑い声が大気に満ちて晴れ晴れと遥かな空の春。 笑顔が弾ける春。

spring 発条 のように、発ル ハル。 何度来ても初めてのはる。

桃色は若々しい色。薄絹に染められた淡い赤が「紅」。「紅」は「べに」と読めば妖艶な感じがするが、旁の「工」は虹(にじ)とも通じ、音は光と通じる。

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啓蟄 第7候・蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

啓蟄 第7候・蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

郡山はまだ梅も咲いていなかった。ゆっくり、そして一気に春はやってくるのだろう。

啓蟄と聞くと、いつも宮崎駿の『風の谷のナウシカ』を思い出す。2011/3/11以降強く。毒はばら撒かれてしまったけど、愚を負うて歩くしかない。

「毒」という文字は頭に過剰に飾りをつけた女性を象っているという。頭の飾りはもしかしたら頭でっかちとなってしまった人の姿なのかもしれない。つまり身体の感覚に鈍感で、パンパンの

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雨水 第5候・霞始靆(かすみはじめてたなびく)

雨水 第5候・霞始靆(かすみはじめてたなびく)

土が潤えば霞もたなびき、花も咲くわけですが、雨水の前の日、脱水症状となり出先で車を置いてタクシーに乗り換え、病院へ駆け込みました。

温かで霜も降りず、雪も降らない冬に、身体はちゃんと休めていなかったようで、春となって動こうとなったら水が足りなかった!ぐるんぐるんと世界が周り、気持ちが悪くて、、、水が足りない植物の気持ちがわかりました。

雪は大地に水を少しずつ少しずつ湿潤させるようです。雪国で生

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雨水 第4候・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

雨水 第4候・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

 春は足元からやってくるという。雨水は日が長くなって気温も上がり、氷も溶け、雪も雨に変わり、それを感じた地中の虫や見えない微生物たちが動き始める頃。気象も行きつ戻りつしながらジグザグと春になっていく。日本橋に誕生した新しい保育園の外構が引き渡し。コロナに負けず、ピカピカの園児たちの水仙の芽のようなうるうるとした園での学びがはじまると嬉しい。

 お庭とバルコニーには方位に合わせ春夏秋冬を象徴する木

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立春 第3候・魚上氷(うおこおりをいずる)立春【末候】割れた氷の間から魚が飛び出る

立春 第3候・魚上氷(うおこおりをいずる)立春【末候】割れた氷の間から魚が飛び出る

宇都宮とは、不思議な地名。移しの宮、虚ろな宮、現の宮、、、二荒(ふたら)神社の別称「一宮」が訛ったという説もあるようですが、遠くの幻の宮が、うつつに移った宮、という方が浪漫を感じられます。二荒という名もサンスクリット語のpotalakaの音訳「補陀落」から来ているとされ、チベットのポタラ宮とも通じています。冒頭の写真は外構の設計依頼のあったお客さんの家の近くの路地を出た正面にあった空き家の庭。緑は

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