マガジンのカバー画像

まなかい ローカル72候マラソン

71
まなかい… 行きかいの風景を24節気72候を手すりに 放してしるべとします。                                        万葉集        …
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

秋分;第46候・雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)

秋分;第46候・雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)

秋分。太陽は真西に沈む。彼岸は西の果てにあるから、彼岸の住人となった死者たちに想いを致す。お墓参りで花を供え、手を合わせ、いろんなことを話したり思い出したりしながら、植え込みのお手入れをしたり、清めてさっぱりとしてもらう。

はじめて今年、母と一緒におはぎを作った。餡子と黄な粉と胡麻。分量がおかしくて二人しかいないのに40個以上できた。手の中で炊いた餅米を丸める。丸めると心もまろくなる。ゆっくりと

もっとみる
白露;第45候・玄鳥去(つばめさる)

白露;第45候・玄鳥去(つばめさる)

渡りをする燕。4月の清明の頃、桜前線より早く列島にやってきて、

餌となる虫が減る晩秋に、子育てを終えて戻っていく。

もちろん個体差はあろうが、4000キロを渡ってくるという。しかも単独で。

帰りもそうなのだろうか。家族ができても。

新月に玄鳥が去る。

そうか、この前見たのは飛ぶ練習をしてたのか。ちょうど一ヶ月、いや二ヶ月ほど前か。

  雨の降る日に、信州の里山を歩いていると「玄鳥の木」

もっとみる
処暑;第42候・禾乃登(こくものすなわちみのる)

処暑;第42候・禾乃登(こくものすなわちみのる)

みのり と いのり 不可分のペアのことば。

「いのり」は「準備」で「みのり」は「成果」。準備(いのり)に既に成果(みのり)があって、成果(みのり)の中に準備(いのり)があるという。(『面影日本 日本の本来と将来のために』 構成;松岡正剛 より)

居つく、斎く、禊して、じっと何かの音信を待つ姿。そうして聖なる言葉を伝える(「宣る」)のが「い のり」 。戒め、忌み籠りの「い」に「のる」がつく。何か

もっとみる
白露;第44候・鶺鴒鳴(せきれいなく)

白露;第44候・鶺鴒鳴(せきれいなく)

秋も深まり、蜻蛉も赤くなり、木々も薄紅葉が目に付くようになった。

鶺鴒も恋の季節。美しい声で囀るのが聞こえてくる。高速道路を走りながら、窓をあけた一瞬に飛び込んでクロスしたその声にハンドルを握りながら嬉しくなった。現場である軽井沢までの道中2回ほどそれは起きた。

それにしてもこの鳥がいなかったら、日本の国土は生まれていなかったかもしれないから事は重大だ。

『日本書紀』では、不思議なことに、国

もっとみる
白露:第43候・草露白(くさのつゆしろし)

白露:第43候・草露白(くさのつゆしろし)

真綿のような彩雲を見た。

朝晩の気温差が大きくなると、

草に露が結ぶ。

露は丸い。

まあるいものは魂だ。

重陽の節供は本来なら寒露の頃だが、新暦では白露の今頃。

本当は重陽の節供は、秋から冬の間の行事ではある。

終わらない夏と秋の間という感じではあるが、

露は降りる。

その露と菊の花を媒介するのが真綿。

ちなみに菊は花の部分は大概黄色だ。

形も放射状ラジアル、太陽が弱まってく

もっとみる
処暑;第41候・天地始粛(てんちはじめてさむし)

処暑;第41候・天地始粛(てんちはじめてさむし)

毎月一日、早い時間からの現場や出張がなければ、氏神様での月次(つきなみ)祭に参列させていただく。

祝詞を聞きながら拝殿で傅いていると、社叢の欅や楠の樹立ち高く響き渡っていた蝉時雨も盛りを過ぎ、熱気もようように落ち着いたようで、拝殿に送られてくる風に「天地始粛(てんちはじめてさむし)」を実感した。

「さむ」は「冷める」ことであるが、覚める、醒める、褪めるなどと同根であるとされる(『字統』)。であ

もっとみる