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白露:第43候・草露白(くさのつゆしろし)

真綿のような彩雲を見た。


朝晩の気温差が大きくなると、

草に露が結ぶ。

露は丸い。

まあるいものは魂だ。


重陽の節供は本来なら寒露の頃だが、新暦では白露の今頃。

本当は重陽の節供は、秋から冬の間の行事ではある。

終わらない夏と秋の間という感じではあるが、

露は降りる。


その露と菊の花を媒介するのが真綿。

ちなみに菊は花の部分は大概黄色だ。

形も放射状ラジアル、太陽が弱まってくる時期に輝かしい暖かさを思い出させるので、太陽復活のシンボルとなっている。

デイジー、マリーゴールド、向日葵は太陽っぽい。

タンポポやアザミやアーティチョークなども菊の仲間。


重陽の日の前夜には、

庭に咲く菊に真綿を被せておく。真綿というのはシルクで繭から取る。

繭ひとつ分ふわふわのものを菊に被せる。絹は発色も良く、肌触りの良い美しい繊維だ。

繭は命の再生するコクーン。子宮。


夜露によって真綿に菊の精が移される。

露、真綿、菊、これらマジカルなものたちに肖る。


その真綿で顔や肌を拭えば若返る。

生命が賦活され、命の更新がされるのだ。


それを大事な人たちと着せ合う。そう、恋の季節でもある。

寒露の頃ともなれば、収穫も終わり、いよいよ寒くなり、お互いを労わりあい、冬を無事超えられるようにと祈る行事なのだろう。


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