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『若輩者で恐縮です。』 超ひと見知りの私が、町内会長になった話|未来

気まずく終えた総会の翌日、
犬上さんからメールが届いた。
「会長、お疲れ様」と記されていた。
人には人の思いがある。
悪い人では決してない。
これからも、会えば笑顔で挨拶をしようと思っている。


初めて町内会長をやってみて、
多くの人と関わった。
「超」ひと見知りの私にしては
快挙と言うより他にない。

全国で自治会・町内会の加入率が減少しているという。
うちも会員が減る一方だ。
そりゃそうだろな、めんどくさいもん。

いろいろ言われて疲れたし、
会議や行事も負担に思う。
褒められるよりけなされる。

それでも私は「町内会が必要だ」と、
今改めてそう思う。


私は、プライバシーのかけらもないが人情溢れる下町育ち。
親も地元の町内会で長らく役員をやっていて、
仕事の勤めと地域の務めを果たして一人前と教わった。
だから、今住む地域に引っ越しても町内会に加入した。

それが私にとって「自然」なだけで、
特に意識をしたことはなかった。

自ら動くといろんなことに気づいていく。
多くの笑顔があることを。
多くの善意があることを。

そして、平和に見える日常が薄氷の上にあることも。


今年の日本の総人口は、
約1億2489万人(1月1日現在)
日本人の人口は、1年前と比べたら
約86万人の減少だという。(総務省発表)

毎年毎年、大きな街が丸ごとひとつ消えているのと同じこと

ー人口の参考ー
東京都世田谷区 約94万人(23区トップ)
大阪府堺市 約80万人(政令市)
山梨県 約80万人

すでに「超高齢化」した日本では、
ますますこれが加速する。
その一方で、地域の課題はどんどん増える
役所も人手不足でもはや、手が回らない。

誰かに任せて生きていくのは、
もうできなくなった
のだ。

その地域の現実に、
目を背けることはもうできない。


草抜き、防災、ゴミ拾い。
誰かがやらなきゃいけないことが、
地域の中にゴロゴロしている。

地域で決めなきゃいけないことも。

だが、今のままでは続かない。
時代は変わる。
町内会も変わらねばその未来はないだろう。

「みんなのためにやっている」

その恩着せがましさがあだとなる。

やれる人がやれば良い。
やれる範囲でやれば良い。
善意が集えばそれで良い。
損だと思えばやらねば良い。

いつの時代も「お互い様」で社会は回る。

みんなのためは自分のためだ。


私は今日も空き地の草を抜く。
町内会のみんなとともに、汗をかく。
私が苦手な虫がわいたら嫌だから。

誰かのためなど思わない。

【おわり】

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