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ピーのパパ
2023年3月23日 06:13
周囲から嘲弄され、子どもからも馬鹿にされる。過酷な状況の中にいる五位の微かな夢。「芋粥を飽きるほど食べたい」ある年の正月二日、酒の席で自分より地位の高い藤原利仁から言われる。利仁の権威を誇示したい欲望により五位の夢は【他者の手で】いとも簡単に叶えられてしまう。五位は道中こそ芋粥を楽しみにしていた。しかし、いざ目の前に大量の芋粥が並び、食べるよう勧められた際にはと苦しむ。周囲から
2022年1月12日 23:00
久々にnoteに書きたい!と思うほど良い小説だった。教師の私にはより面白く感じられた。教師にはぜひ一読してもらいたい。夏目漱石自身が松山で教師をやっていた頃の体験を下敷きにして生み出された物語。親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。あまりにも有名なフレーズから始まるこの物語。主人公は生粋の江戸っ子、坊ちゃん。坊ちゃんは愛媛の中学校に勤める。そこにいるのは、個性豊かな教師陣。校長の狸
2021年11月29日 22:20
なぜもっと早くに出会っていなかったのだろう。いや、出会っていたはずだ。大人になり、作者や時代背景についてわかることが増えたからこそ、面白く感じることができるのだろう。読めば読むほどハマっていく。3作品読み終えたので一記事更新。ネタバレにご注意を。谷崎潤一郎『痴人の愛』面白かった…。物語は源氏物語のように譲治がナオミを育てる関係から始まる。ナオミの自我がはっきりと出て手に負えなくなり、ナオミを手
2021年11月20日 15:49
最近読んだ純文学。青空文庫とソラリの運営者に感謝。森鴎外『舞姫』現代の女性を敵に回すこと間違いなしの小説。仕事と女性(愛情)を天秤にかけるという普遍のテーマ。そして豊太郎のどっちつかずさに終始腹が立つ(笑)「おい!そこは断れよ!」「おい!よくもそんなことが言えるな!」とツッコミながら読んだ。相沢くんは大変だっただろうなあ。太宰治の『人間失格』でもそうだったけど、主人公の軸がなさすぎる!!
2021年11月10日 22:01
「ソラリ」という青空文庫の電子書籍アプリを使い、読書をしている。流石、「日常の中に日本文学を」と謳っているだけある。日常のちょっとした時間に読み進めることができている。このキャッチコピーを私は気に入っている。最近読んだ本は以下の通り。太宰治『人間失格』何時でも誰にでも当てはまる物語。終始、人間的な弱さから起こる社会問題が描かれている。そのため、どの世代に対しても訴えかけるものがある
2021年8月17日 20:06
取っつきにくい政治の話を軽やかに描く。『本日はお日柄もよく』に続き、原田マハさんを読むのは2冊目だが、どちらも読後感がよい。ちなみに、『本日はお日柄もよく』に登場したスピーチライター久遠久美が『総理の夫』に名前だけ登場している。少しテンションが上がる。この小説は、東大理学部卒、大財閥の息子で、鳥類研究をしている主人公「相馬日和」の日記形式で進んでいく。本文の中に何度も「この小説を読んでい