第2話:弱虫ウサギとピンクの夕日
哲学者が現れる場所は「ビジネス森」と呼ばれていた。
哲学者が凄かったのは、
ただ本をとんでもなく沢山読んだり、
森小屋の重厚な造りの机にかじりついて勉強したことを
教える人じゃなかったからだ。
哲学者はそれは「知識」でしかないと言った。
哲学者の教えは「知恵」だった。
実は哲学者は、元々は都会に住んでいて
世界中の凄い都市にも沢山行って
世界中の超一流という人達に会い、
実際に実践する人だった。
現場で悪戦苦闘して、
それを「知恵」として森の動物達に説いていた。
だからこそ、哲学者の話は
森の皆の心を捉えて離さなかった。
気弱なウサギのMillyが言った。
「私は弱虫で、いつもくよくよ悩むの。でも、哲学者は、私も君と同じ様に悩んだのだよ、でもね…と言って教えてくれたわ。」
悩んでもいい。
しかし、悩み続けるな。
つまり、
『悩む時間を意識して短くしよう』ってこと。
これなら、ちょっと出来そうな気持ちになるよね。
「私、これなら出来ると思うの。
どうして私はダメウサギなんだろうっていつもくよくよ悩むけど
それじゃあ何も前に進めない。楽しくないわ。
だけど、悩む時間を短くすることならちょっと頑張れる」
Millyはそう言って、内側がピンク色の長い耳をピンと立ててすまし顔をした。
本で読んだ知識を、したり顔で、難しくカッコよく言う奴は森にもいるよ。
横文字ばかり使ってさ。
でもそれじゃあ、お腹にどすんとは来ない。
やってみようとも思わない。
でも、経験に基づいた知恵は
森の誰もが「うん、うん」と首を縦に振って、
なんだか勇気が湧いてくるんだ。
森に夕陽が迫っていた。
皆で夕陽に見とれていたら、哲学者はいつのまにか消えていた。
音も立てずに静かにサッと。
でもなんだか静かに存在の香りが残っていて、
鼻先にふわぁっと、
懐かしさや会いたいなという気持ちが漂った。
後になって哲学者はそれを『残心』というものだと教えてくれた。
でも、この話はまたいつか。
哲学者はひとりが好きなんだ。
寂しい意味じゃなくて、孤高っていう言葉が似合う人。
きっとひとりで今日のピンクの夕陽を味わいたかったんだ。
リスもそうだから、その心が手にとるようにわかった。
それが、おんなじだった。 (続く)
◾️第1話はこちら
https://note.com/coach_eri/n/n874929ce022a
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