『智者道徳に遠し』:偏差値と中庸
内村鑑三の『代表的日本人』を読んで以来、二宮尊徳の思想に関心を持って来ました。代表的な著作は『二宮翁夜話』と『報徳記』でしょうか。その『二宮翁夜話』のなかに、第101節として、『智者道徳に遠し』とあるのです。少し引用してみましょう。
「翁はこう言われた。才智すぐれた者は、多くは道徳に遠いものだ。文学があれば、申不害や韓非子の刑名の学を唱え、文学がなければ、『三国志』や『太閤記』を引く。『論語』『中庸』などには一言も及ばないものだ。なぜなら、道徳の本理は、才智では理解できない