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【小説】この世界で、ゴールデンブルースを聴くものよ:第1話
『スペースデブリが――』
誰かの声は、肝心なことを言わずに途切れる。
満月の夜だった。気付けば窓の外は真っ暗で、月を見上げた時に『やっぱり、駄目だった』と同じ声が聞こえた。38万キロメートル先の〝月面〟からだ。
月面にいる、天道倭宇宙飛行士からだった。
31歳の若さで月面着陸を成し遂げた栄光の裏で、わずか一本のネジと、宇宙軌道上に浮遊する人工衛星の破片(スペースデブリ)が不
『スペースデブリが――』
誰かの声は、肝心なことを言わずに途切れる。
満月の夜だった。気付けば窓の外は真っ暗で、月を見上げた時に『やっぱり、駄目だった』と同じ声が聞こえた。38万キロメートル先の〝月面〟からだ。
月面にいる、天道倭宇宙飛行士からだった。
31歳の若さで月面着陸を成し遂げた栄光の裏で、わずか一本のネジと、宇宙軌道上に浮遊する人工衛星の破片(スペースデブリ)が不