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前前前職から働き続けたよ。そのぶきっちょな待遇めがけてやってきたんだよ〈2〉

【はじめに】


前回記事では、前職の会社(2社目)独自の文化である「賞与プール理論」や「年間休日120日の虚偽表示」について投稿させていただいた。
本記事はその続きとなる。

【全身全霊でポイ活に励む私】


当然、「賞与プール理論」というものは存在しえないし、求人票および面接時の説明における「年間休日120日」が実質「年間休日108日」な実態が分かったところで、私は相当な不満がたまった。
「聞いていた話と違う!」である。
風俗のパネマジは60分~120分ほどで済むが、人生の一番主要な部分である仕事の求人票のパネマジは、退職をしない限り未来永劫続く可能性がある。
いわば、働く上での「根幹」が文字通り根元から崩壊してしまったのである。
むしろ、不満が出ない方がおかしいともいえる。
そんな不満が態度に出たのであろう。
私は所長の指示で、入社2年目で本社に異動となった。
「本社に異動」と言うと聞こえはいいが、なにも華々しいものではない。
私は本社にて営業事務課に配属となった。
朝の30分でその日の1日の業務が終わってしまう恐ろしい課であり、早い話が会社のお荷物だ。支社の窓際社員が本社の窓際社員になっただけである。
栄転でも何でもない。

本社に異動となったとはいえ、支社も人手が足りずにたまに作業に駆り出されることもあった。
珍しく支社から呼び出しを受けて行うこととなった、ある夜勤の日のこと。
私は作業を終え、事務所に帰ってホッと一息、スマホであることをしていた。
そのスマホでしていたあることとは、「ポイ活」である。
聞き馴染みのない方のために説明をすると、ポイ活とは「ポイント活動」の略称である。
基本はポイントを獲得し、現金交換やAmazonポイントなどに景品交換する活動のことを指す。
そのポイントの獲得の仕方も多岐にわたり、アンケートに答える、クレジットカードを発行する、移動距離に応じて、などいろいろだ。
有名なポイ活アプリで、「マクロミル」や「トリマ」などがある。
私は当時、その中でもアンケートを通じてポイントを獲得する「マクロミル」にハマっていた。

事務所の椅子に座り、いつも通りスマホでマクロミルを開く私。
夜間作業をして見れなかったこともあり、多くのアンケートが配信されている。
「どれから手を付けようか」と吟味していた私に、あるアンケートが目に入ってきた。具体的なアンケート名は覚えていないが、こんな内容のアンケートだった。

「会社の評判サイトに、会社のレビューを投稿してみよう!後日ポイント付与」
というものだ。
マクロミルでは、大きくポイントを稼げるものでもせいぜい40P~70Pなものが多い。
ただ、そのアンケートはなんと時間がかかるため500P以上も稼げるというではないか!
マクロミルでは「1P=1円」という、ほかのポイ活アプリで例をみないほどの高還元率でポイ活の王道とも呼べる代物だ。

私「500Pでも500円・・・うーむ・・・・」
私はその魅惑的なポイント付与に目がくらんでしまった。

私は作業後の疲労感や深夜2~3時ということも手伝い、物事を正常に判断が出来ないあたおかになっていた。

私「もう遅かれ早かれやめるし、儘よ!!」
私はそのアンケートをやってしまったのである。
ちなみにその時に回答した会社の評判サイトは、「yahooしごとカタログ」である。


【臭い記憶には蓋をしろ】


本社に異動となりはした。
が、職場が変わっても所詮は従業員数の少ない中小企業。
本社にも顔なじみのある同僚(と言っても人生の先輩ではあるが)も多く、よく話す機会があった。
新しい職場にも馴染み、いつも通り談話していたあるとき、その同僚がこんなことを言ってきた。
同僚「D.T.さん。なんかこんな会社の評判あるんですけど見た事ありますw?」、

スッ
滑るようにPCの画面が私の目に飛び込んでくる。


ここにはこんな文言があった。

「炊き出しに参加できるものならしたいです」

この文言を見たとき、脳内で強烈なフラッシュバックが起こった。
まるで、走馬灯のように鮮やかな半年前の記憶が蘇ってきた。
忘れていた・・・

いや、目が疲れているのかもしれない。
そうだ、そうに決まっている。
そんなこと書かれているはずがない。

しかし、目を手でゴシゴシしようが、ちょっと遠くを見て目を休めようが、純然としてそこには、
「炊き出しに参加できるものならしたいです」
と存在感ある文言があった。
「炊き出しに参加」なんて表現、俺しか使わない・・・
加えて、営業事務なんて私含めて3人しかいない
・・・ということは?

同僚A「書いてること滅茶苦茶ですよw
現職って書いてるんですけど、誰なんでしょうねw
勇気あるなあw」

私「え、ちょっとまって。。。え・・・?」

同僚A「D.T.さん、どうしました?」

私「あ。。。これ書いたの俺かもしんない・・・」

同僚A「え。。。」

私『え、待って。「炊き出しに参加できるものならしたいです」って俺ぐらいしか書かないだろうし・・・
いや~、身に覚えしかないw」

同僚A「マジかwwwww」
同僚B「やるうw」

一同大騒ぎである。
幸い、その場に居合わせた者は皆、会社に不満を持っており、英雄視こそあれ、蔑視されることはなくその場は済んだ。

ちなみに、ほかにもこんな投稿をしていた。

【悪い点】

【良い点】

今、改めてみてみると無茶苦茶である。
良い点にも悪い点を書いている。
「良い点も悪い点」というのは逆説なのか・・・?
これは「負けるが勝ち」のように真理(結論)と反対なことを言っているようで、よく考えると一種の真理(結論と同じこと)を言い表しているのかもしれない。

文章的にも破綻している箇所が見られる。
最初、「PCごしに自宅が見えるのが、嫌な人には良いかもしれません」
の意味がよくわからなかった。
ただよくよく考えると、
「テレワーク、特にビデオ通話をしているときに、同僚に自室が見られてしまうのが嫌な人には向いていないかもしれません」
ということを言いたかったのではないだろうか。
いずれにせよ、書いた当の本人でさえ意味が伝わりにくかった。
当時の私は「とりあえず、適当に文字埋めてポイントをもらおう」と勢いで書いたに違いない。

【バレた・・・!?】

私はポイ活を通して会社のレビューを投稿したため、むしろ「本当に反映されてたんだな~」と感慨に耽った。
同僚にバレこそしたが、不思議と罪悪感はない。

だって、真実しか書いていないのだから

そんな思いからか、私は同僚にバレて2~3カ月経ったころには、会社のレビューを投稿した記憶は再び忘却の彼方へ行ってしまった。

太陽の照り返しが強く、真夏らしい蒸し蒸ししたある昼下がりのこと。
思いもよらぬ事実を知ることとなる。
私は、例の同僚Aから給湯室に呼び出された。

私「え、何かあったんですか?」

同僚A「D.T.さん。まずいっすよwww
ちょっと前にD.T.さんの会社のレビューについて話したじゃないですか?」

私「・・・・!!!???
あ~、ありましたねw
すっかり忘れてましたよw」

同僚A「あれなんですけど、D.T.さん。どうやら社長にバレてるらしいですよwww」

私「・・・・えっ?」

同僚A「そうです。なんかその件でこないだ幹部ミーティングで話し合ったらしいです。D.Tさんやっちゃいましたねwww」

私「社長が知ってるの???」

同僚「はいwww」

毎朝、普通に「おはようございます!」と挨拶を交わしているあの社長が、あのレビューを知っている・・・?
普段、何気なく会話をしているあの社長が、私のレビューを知っている・・・?
いつからバレていた・・・!!!???
民事裁判にかけられたら、オレ勝てなくね・・・?
頭が混乱してきた。
私は驚愕の事実に頭が追いつかなかった。
と同時に、「なにを思って社長は私と接していたんだろう」と考えると恐怖で鳥肌が立ちそうになった。

私「これは、オレ、首になっちゃうかも・・・?」

同僚A『「ない」、とまでは言い切れないですね。
まあ、滅多なことじゃ起きないと思いますがw』

私『その「滅多なこと」に当てはまりそうだよ・・・』

私&同僚A「・・・ハハハハハwwwww」

私は会社を遅かれ早かれ辞めると決めてたとはいえ、かなりメンタル的にボディブローを受けた。
「どうしよう…」
と同僚Aとの話を終え、自席に着いて悩む私。
「仕事に集中して忘れよう!」と思い至ったが、肝心のやる仕事もない。
あるのは、私の目の前に位置する使用用途のないPCだけだ。
…時間の経過が遅く感じる。
その日の午後は悠久の時を生きたような心地だった。


【これにて一件落着】


私は同僚Aから話を聞いて数日間ほど、気に揉んでいた。
「次の転職先決まっていないのに、Fireされたらどうしよう・・・」と。

「悩む時間が無駄だ」という人も確かにいる。
だが、悩む時間が腐るほどある私の場合はどうであろう。
そう、仕事がなく時間の経過が遅いため、現実逃避をするのである。
私は現実逃避のために、何気なくTwitter(現:X)を開き、
「ひま◎こ」という、しょうもないツイートをする私。
しかし、ツイートをするタイミングで気づくのである。

私「これだ!!」

そう、ツイートを削除することが出来ること同様、
「yahoo仕事カタログの投稿レビューも削除できるのではないか?」
と踏んだのである。

私は少し肩の荷が下りた気がした。
これでやっと解放される!

私は早速、yahoo仕事カタログを開く。
「投稿を削除する」クリックするアイコンがないのが少しひかかったが、
「まあ、会員登録解除すれば大丈夫っしょ!」
と気楽に考え、会員登録解除をしてみたのである。

その後、yahooトップニュースを見て時間を潰す私。
しかし、エンタメ情報やスポナビニュースを見ていてもどうも気が晴れない感じがした。

私「うーん・・・やっぱりひっかかるなあ。」
と思い直し、もう一度yahoo仕事カタログを見てみた。

私「・・・・???
ばっちり投稿残ってるやんけ・・・!!!???」

そう、会員登録を解除をしてみたが、私の過去の贖罪は残っていたのである。
背中から嫌な汗が出てシャツに滲む。
それどころか会員登録を削除したことで、投稿した本人にも関わらず、
レビューの1行目しか見れなくなっていた。

私「え・・・!? なんで!?」

私は投稿が削除されないことが理解できず、しっかりとネットで原因を調べてみることにした。
そこで一行の記述が目に留まる。

私「・・・あっ!」
私は目を瞠った。
以下、yahoo仕事カタログのヘルプページの記述である。

私は「終わった・・・」と思った。
頭の中が真っ白になった。

頭を抱えて悩むが、
削除できないとわかった以上、考えても無駄なので私は考えることをやめた。

かくして、デジタルタトゥーは生まれたのであった。

次にとった行動は皆さんもお察しであろう。
気づいた時には、私はGoogle先生で、「転職エージェント」と検索していたのであった。

私はこの経験から、
「デジタルタトゥーは他人に作ってもらうものではない、自分で作るものである」
と学んだのであった。

そして今もなお、私のデジタルタトゥーは、私のあずかり知らぬところで日夜独り歩きしているのである。

【後日談】


転職エージェントに登録し、現在勤める会社(3社目)に勤め始めたころ。
仲の良かった同僚A含む数人と久しぶりに飲む機会があった。
そこでの飲みの場で、私はある噂を聞いた。

同僚A「あくまでも噂ですけど、D.T.さんの会社のレビュー、100万払って削除依頼するかもっていう話聞きましたよ、」と教えてくれた。

私は、それを聞いて
(もしそれが本当ならすごいことだ!
社員には数万程度の賞与しか出さないのに、そういった悪評削除には100万円出せるんだ!
さっすが、お金の使い方がちげえや!!
その100万を社員に分配すれば、俺みたいにネットで書き込むやつも現れないのにw)
と、当時感心したものである。

現在、本記事を作成するにあたって私のデジタルタトゥー投稿を調べてみたところ、yahoo知恵袋以外にも投稿をしていたことに気づいた。
書いたのであろうが全く記憶にない。。。
以下、某口コミサイトの記述である。


なぜ、賞与を75万にしたのだろうか・・・





余談だが、今回転職するにあたり、参考として内定先の口コミを見るために某口コミサイトに会員登録をする必要があった。
その際、口コミを書く必要があったため、本記事の会社にレビューを再び投稿させていただいた。
同じ轍を踏まないよう、内容は非常に前向きな内容となっている。
前職(本記事の会社)には本当にいつもお世話になりっぱなしで、頭が下がらない。

そして、またまた余談だが、退職日当日に課長さんと昼飯をお供させていただいた。
その帰り際、課長から
「なんか会社の口コミで変な投稿している奴いるらしいんだけど、そんなことしないでね。」
と背中を鋭利なもので刺された。

だが、私もバレまいと、
私「そんなひどいことしてる奴いるんですねえ。誰なんですかね!?」
と背中に刺さった鋭利なものを抜こうとした。

すみません、課長。白状します。
そうです、僕がやりました


















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