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記事の小説まとめ

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記事で書かれた小説をすべてまとめています。
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#高校生

【毎週ショートショートnote】 告白水平線

どうしよう。

林檎ちゃんと、恋人になってしまった。

なんで、こうなった。

っていうかさ。

林檎ちゃん、好きな人いたよね!
いいの僕で!?

どうしよう…。

「どうした。なんか考えごとしてるな?」
「なんで、わかるの! っていうか、気づくの早すぎだよ!」
「私でも、わかりますよ。犬先輩」

七色のチーズが、かかったサイコの鶏唐を三人で食べながら、僕は言うべきかどうか悩む。

「ほら、言って

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【毎週ショートショートnote】デジタル混入島

「計測器がないと、意味ないですね。ってなわけで、アプリに嘘発見器をインストールしました。勝負再開です!」
「もういいでしょ。不毛な争いは、やめよう」
「まずは、私からです!」

理香ちゃんは僕を無視して、林檎ちゃんにむかって、大声で叫ぶ。

「林檎さん、私は親友ですか?」
「親友じゃないね」
「親友になったら、恋人になれますか?」
「理香ちゃん、女の子だから、なれないかな」
「私が男になったら、つ

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【毎週ショートショートnote】アナログ巌流島

「犬先輩! 勝負です!」
「え、なに?」
「どっちが、林檎さんをよろこばせられるかの勝負です!」
「なんで、そんなこと、しなきゃならないのさ」
「勝負です!」
「どんな勝負なの?」
「林檎ちゃんは、口をはさまないで、ややこしくなるから」
「ルールは、林檎さんを口説いて、恥ずかしがらせたら勝ちです!」
「え…それ、僕になんのメリットがあるの?」
「私が先行です!」

理香ちゃんは、大声で叫ぶ。

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【毎週ショートショートnote】建設の頓珍漢

好きという気持ちが家なら、きっと私は建てかたを間違えた可能性が高い。

「こっちが好きなタイプ教えたんだから、林檎ちゃんだって答える義務がある。だから、教えてくださいお願いします」
「必死か」
「僕だけ教えて不公平だもん」

家を建てる前にすることは、間取りを決めることだと思う。
部屋はどのくらいとか、キッチンはここ、風呂はここでトイレはここ。外装を先に決めるという手もあるかもしれないが、それは立

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【毎週ショートショートnote】伝説の安心感

「鎌犬って、どんな女の子がタイプなんだ」
「なんでそんなこと聞くの」
「フラれまくってるのに、よくもまあ、告白しまくれるなと思ったから」
「林檎ちゃん、なんでも素直に言って許されるわけじゃないんだよ」
「鎌犬と私の仲じゃん」

どういう仲なのかは、僕にもわからないが、好きな女の子のタイプを聞かれているのだろう。
面倒くさいけど、後々のことも考えて渋々答えることにした。

「お母さんみたいな安心感の

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(1人リレー小説 全2巡) 甘いもの食べに行こう (2巡目)

いっしょに昼飯を食べないかと弁当を二つ持ってやってくる男子をフったら、違う男子に必ず告白される。

そんな噂を聞いた私は、早速、その男子の特定をした。

鎌犬(かまいぬ)というその男子は、本当に弁当を二つ作って来ていた。
そいつが何度もフられ、何度も弁当を二つ食べるさまを遠くから見ていた。

そして、気づいたことがあったのだ。

弁当がうまそうなことに。

「どうよ。はじめて来たスイーツバイキング

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【毎週ショートショートnote】理科室まがった

理科室をまがれば、イケメンに会えるらしい。
噂をきいて、私は来る日も来る日も理科室をまがった。
まがると言っても、理科室のつきあたりの非常階段を使うところで、ようやくまがれる。
つまり、イケメンは非常階段をつかっているのだけど、私はジンクスを信じて、理科室をまがりつづけた。

そして、一週間後。
「おっと」
「す、すみません!」
ようやくひとにぶつかることに成功した!
「大丈夫?」
目にやきつけな

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(1人リレー小説 全2巡) 甘いもの食べに行こう (1巡目)

好きな女の子とのランチタイムを目指して、八連敗中のぼくは、いつものように校舎裏でご飯を食べていたら、不良にからまれて、二つのうち一つのお弁当を食べられた。

別にいいんだけどね、おなかはいっぱいだったし。
問題はそこじゃない。

「あー、うまかった。な、今度スイーツバイキングにでもいかねえ?」

なんか、お弁当を食べさせたらスイーツバイキングに誘われた。

いろいろと言いたいことはある。

お弁当

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【毎週ショートショートnote】ビジュアル系男子に教えられた琴

林檎(りんご)ちゃんは、見た目だけなら、ビジュアル系男子だ。

プラチナブロンドの短い髪に、耳にピアス。
僕より大柄で、一番背の高い生徒が履くズボンの丈は足首より上だ。

そんな林檎ちゃんは、僕に構ってくる。

「鎌犬(かまいぬ)ー!」
「しーっ! 静かにして!」
「えー、なんでだよ」

なんで後ろから抱き着くの、もう。
女の子だって、意識する。

時刻は昼休み。
僕の弁当が目当てなのはわかるけど

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【毎週ショートショートnote】草食系男子に教えられたこと

「鎌犬(かまいぬ)ー!」
「しーっ! 静かにして!」
「えー、なんでだよ」

そう言いつつ、私は鎌犬にもたれかかる。
鎌犬は顔を真っ赤にしている。

どうやら鎌犬は私を女の子認定しているようだ。
最近、気づいたのだけれど。
気づいたからには、遊ぶに決まっている。

「周囲の目が気になりすぎるから、せめて僕を呼ぶときは、静かに呼んでください」
「えー、なんでだよ。つまんないじゃん」

そう、つまらな

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【毎週ショートショートnote】騙せ林檎パン

昼飯時、校舎裏にて私は弁当つくる系男子といっしょに購買で買ったパンを食べていた。

「こんなの林檎パンじゃない。アップルパイだ」

「はあ? これアップルデニッシュだぞ」

「それはズルい」

この弁当つくる系男子は、ひたすらに手製弁当をつくり、いっしょに女子と食べることを夢見ている。

最近は、その弁当を私が食べている。
もちろん、この男子に誘われてではない。
うまそうな弁当につられたのは私だ。

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【毎週ショートショートnote】噛ませ犬ごはん

校舎裏、ぼくは二つのお弁当の一つをもくもくと食べる。

今日で、八連敗中だ。

手作りのお弁当をいっしょに食べないかと女の子を誘うだけなのに、白い目で見られる。

あげく、ぼくが女の子に弁当を拒否られた後、その女の子に告白すれば、すんなりつきあえるようになるってさ。

ぼくは、好きな女の子とご飯を食べたいだけなのに。

満腹になりながらも、もう一つの弁当を手をのばしたときだった。

「腹いっぱいな

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