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岡田将生研究㉗「ゴールド・ボーイ」「1122いいふうふ」冷と暖、真面目さの逆ベクトル
2024年3月公開の主演映画「ゴールド・ボーイ」、7月配信のアマゾンプライムドラマ「1122いいふうふ」、作品の方向性も楽しみ方も役柄も何もかも真逆といっていい新作2作品で、岡田将生は全く別の新たな魅力を発揮している。前者は冷徹な連続殺人鬼、後者は優しい公認不倫夫で、どちらも一般には理解しがたい人物だ。共通点と言えば、30代半ばの子なし妻帯者、そして根底に潜む歪んだ真面目さ。
「ゴールド・ボ
岡田将生研究㉖「掟上今日子の備忘録」徹底解剖!隠館厄介の吸引力
岡田将生の出演ドラマの人気投票で、放送から10年近くたっても尚、必ず上位にランクインする2015年放送の「掟上今日子の備忘録」。コミカルさとシリアスのバランスが絶妙でファンタジックな傑作だ。岡田の演じた隠館厄介は、忘却探偵掟上今日子(新垣結衣)の依頼人であり助手であり事件の容疑者でもある。一見タイムリミットミステリードラマであるが、脚本を書いた野木亜紀子氏は自身のツイッターで「ラブストーリーです
もっとみる岡田将生研究㉔「伊藤くんA to E」とはなんだったのか?
俳優岡田将生を語るとき、かなりの頻度で引き合いに出される映画「伊藤くんA to E」(2018年)で演じた伊藤くん。ひとことで言えば「ヤバい奴」いや「かなりヤバい奴」。こんな役も見事に演じた岡田将生、ということなのだが、「伊藤くんA to E」という作品自体は、残念ながらヒットしたとは言いづらく、話題作というわけでも、賞レースにのったわけでもない。だが、岡田の俳優としての実力や個性について言及す
もっとみる岡田将生研究㉓2023年総括:原点回帰と新たなステージへ
2023年の岡田将生は、映画「1秒先の彼」で本格スクリーンデビュー作「天然コケッコー」(2007年公開)以来の山下敦弘監督とのタッグで注目を集め、俳優を休もうかと悩んだ時期に出会った代表作、ドラマ「ゆとりですがなにか」(2016年、2017年SP)の続編映画「ゆとりですがなにかインターナショナル」公開で話題となった。どちらも岡田の魅力を知り尽くす人気脚本家宮藤官九郎の作品であり、否応なくデビュー
もっとみる岡田将生研究㉒愛される理由
近頃岡田将生は「パブリックイメージ」について悩んでいるらしい。2022年放送のラジオにゲスト出演した時も、2023年7月に宮藤官九郎のラジオに出演した際にも、同じようなことを言っていたので、どうやら本人にとっては深刻なことのようだ。ここで少し考えてみて欲しい。芸能人のパブリックイメージは、故意に作られるものではなかったか?売り込むためにイメージを作りこんで、2枚目で行くか、3枚目路線で売るか、戦
もっとみる岡田将生研究㉑ファンタジーとリアリティーの狭間で
2021年の人気ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」。岡田は、主人公とわ子の3番目の夫中村慎森をシニカルかつ愛らしく演じ話題をさらった。冒頭で、三人の元夫をなぞらえて「1回目はsuddenly、2回目はcomedy、3回目に至ってはfantasy」というとわ子の父の台詞がある。1回目の夫とは究極のモテ男(松田龍平)との急な結婚、2回目の夫は面白可笑しい男(東京03角田晃広)との結婚。では、3回目の
もっとみる岡田将生研究⑳「謝罪の王様」~出会いは新たな扉を開く
2013年公開「謝罪の王様」は、脚本宮藤官九郎×監督水田伸生×主演阿部サダヲの黄金トリオがおくる3作目のコメディ映画として注目を集め、「謝罪エイターテインメント」という新しい切り口と豪華な出演者が話題を呼び、興行収入21.8億円のヒット作となった。本作で岡田は、”CASE2.セクハラを謝りたい!”で、東京謝罪センターに依頼する沼田卓也を演じ、「気持ち悪い」と評判になった。特筆すべきは、クドカン、
もっとみる岡田将生研究⑲悲恋ものの名手
近年、映画「ドライブ・マイ・カー」や「CUBE」などで狂気の演技が話題の岡田将生だが、かつては恋愛映画にも引っ張りだこの時期があった。2007年「天然コケッコー」で、ラブストーリーと呼ぶにはあまりに初々しく瑞々しい作品で本格スクリーンデビューを飾ると、2013年の「潔く柔く」まで、実に9本の恋愛要素を含む映画に出演している。そのうちドキュメンタリー風に高校生カップルを描いた「ハルフウェイ」、が
もっとみる岡田将生研究⑱キャリアにおける”イケパラ”の重要性
第一線で活躍する俳優には、必ず売れるきっかけとなった作品がある。岡田将生にとっては、2007年に放送された人気テレビドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス」(堀北真希主演、通称イケパラ)がそれにあたる。小栗旬、生田斗真、水嶋ヒロといった当代きっての人気イケメン俳優がひしめくこの作品で演じた関目京悟役によって、岡田将生の名は広く世間に知れ渡ることになった。
”イケパラ”は、初回15.
岡田将生研究⑯舞台作品に見る美しさと危うさ~倒錯の世界
先日、主演ドラマ「ザ・トラベルナース」が大好評のうちに最終回を迎えた。人気の秘密は、練られたストーリー展開に加えて、毎話のお約束、岡田演じる主人公那須田歩と中井貴一演じる九鬼静のコミカルなやり取りにある。師弟のようで親子のようでもあった2人の本当の関係性が明らかにされた最終話。「運命の人」という占いの言葉が飛び出し、看護師仲間からあらぬ誤解を受けたまま物語が終わり、さらに公式ツイッターが「いつま
もっとみる岡田将生研究⑭バディ・トリオもので輝くヒロイン感と俳優力
圧倒的なカリスマ性で作品を引っ張る主演俳優がいる中で、岡田将生は、バディものトリオものでより魅力が引き立つ俳優の一人である。連続ドラマ初出演の「生徒諸君!」も3TDというクラスのを牛耳る3人組のひとりであった。岡田の主演ドラマで続編が製作されたのは、「ST警視庁科学特捜班」(続編は赤と白の捜査ファイル)「不便な便利屋」「ゆとりですがなにか」の3本でいずれもバディ・トリオものである点も興味深い。以
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